藤井 風、マカロニえんぴつ、セカンドバッカー、あいみょん……“犬・猫”をモチーフにすることで明かされる本音
マカロニえんぴつが、新曲「ハナ」を11月1日に配信リリースした。
「ハナ」は、マカロニえんぴつが初めて『みんなのうた』(NHK総合/NHK Eテレ)に書き下ろした楽曲。タイトルは、はっとり(Vo/Gt)がかつて実家で飼っていた愛犬の名前であり、リリース日も“犬の日”=11月1日にあわせたのだという。楽曲のテーマは、“犬の飼い主への思い”だ。〈待ってたよ 言われたとおり/少し眠っちゃったりしたけど〉〈身勝手なギューやチューにムカつくけど/ないとね、さみしいばかり〉と、無邪気で純真な犬の気持ちが、シンプルな言葉で綴られている。犬から飼い主に向けた優しい眼差しが伝わってくると同時に、誰かを大切に想う気持ちと、そこから紡がれる幸せを思い起こさせてくれるようだ。
マカロニえんぴつの「ハナ」が犬目線の楽曲であったのに対し、藤井 風の「Hachikō」は飼い主目線の楽曲だ。急死してしまった飼い主の帰りを、自身も亡くなるまで渋谷駅に毎日通って待ち続けたという忠犬ハチ公の逸話は誰もが知るところだろう。「Hachikō」の歌詞でも、〈You’ve been patiently waiting for me〉(君は辛抱強く僕を待ってくれた)、〈This time I’ll never let you go〉(今度はもう二度と君を離さない)というラインからは、逸話をベースにしつつも〈you〉=“君”をどのように解釈するかでさまざまな深みが出てくる。この曲が収録されたアルバム『Prema』のタイトルもサンスクリット語で“愛”を意味するが、「Hachikō」も飼い主と犬という特別な関係性を通して、真っ直ぐな愛や強い絆が表現されているのだ。
ほかにも、直近で“犬”や“猫”をモチーフにした楽曲といえば、今年7月にリリースされたセカンドバッカーの「犬とバカ猫」が思い浮かぶ。10月29日公開のBillboard JAPAN「Heatseekers Songs」において4週連続首位獲得(※1)と、SNSを中心に話題を集めている同曲。歌われているのは、好きな人とのすれ違い、別れてしまったあとに気づく自分の愚かさだ。〈2人になった途端君は本当子犬みたいだね〉と、子犬のように彼女を愛おしく思っていた主人公。しかし、彼女のほうは〈愛するということ/認め合うこと許しあうこと/君が伝えたかったことはきっと/もっとダメな自分も知ってほしいということ〉と、互いに支え合えるような関係性を望んでいたことが分かる。幼かった自分を“バカ猫”と表現しているところにも、まだ断ち切れない彼女への熱い想いが感じられる。自分たちを“犬”と“猫”に喩えながら、後悔や未練を描いた楽曲だ。
あいみょんが昨年9月にリリースした5thアルバム『猫にジェラシー』のラストには、アルバムと同名の曲が収録されている。彼女がDISH//に提供した「猫」と同じくトオミヨウが編曲を担当しており、素朴であたたかさを宿した楽曲だ。描かれているのは、主人公、彼女、猫の三角関係。彼女が可愛がる猫に対してヤキモチを焼いている主人公だが、結局は〈なんか、僕もさ どうしてか寄りかかる〉と、自身も猫に吸い寄せられてしまっているのが微笑ましい。猫が主人公や彼女にアプローチする様子を人間のように表現する一方で、〈僕の威嚇は伝わらない〉など、逆に主人公を猫のように描いているところも、この曲の面白いところだ。
“犬”や“猫”という素直で愛らしい存在を通して、人の感情や関係性を描いた楽曲たち。彼らをモチーフにした楽曲には、私たちの本音が映し出されるのかもしれない。
※1:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/155078/2

























