これが本当の水平線――新たなマスターピース『希望の匂い』完成、手に入れたオープンマインドと進むべき道

水平線、オープンマインドと『希望の匂い』

 水平線がデジタルEP『希望の匂い』をリリースした。2025年を駆け抜けた彼らが得た経験や感じたこと、巡り合ったもの、そのすべてを詰め込んだEPだ。今たしかなオープンマインドを手に入れたソングライターふたりが紡ぐ言の葉には、これからの水平線が進むべき道がたしかに表現されている。

 今回も、リアルサウンドは安東瑞登(Vo/Gt)と田嶋太一(Vo/Gt)のふたりに話を聞かせてもらった。2025年後半戦の振り返りから、水平線の新たなマスターピース『希望の匂い』、そして未来まで――。雨のなか決行させてもらった写真とともに、じっくり読んでほしい。(笹谷淳介)

「ちゃんと水平線の音楽が伝わっているんだな」って、どんどんわかってきた(安東)

――前回のインタビュー(2025年9月下旬取材/※1)から約半年くらい経ったんですが、あのあとはどんな感じで過ごしていましたか。

田嶋太一(以下、田嶋):ちょうどインタビュー後あたりから今回のEPの曲に取り組み始めたんですよ。デモを揃えていきながらどういうEPにしていくかを、2025年末は試行錯誤していましたね。実際、レコーディングをしたのも12月の末だったので、年末は結構いっぱいいっぱいというか。

安東瑞登(以下、安東):ほんまにそうだったかも。

田嶋:11月には梅田でその年ではいちばんデカい自主企画もあったりしたから、夏を経てすべてを出すって感じやったよね?

安東:そうやね。「夏に俺たちはこんな経験をしてきたぜ!」という感じでライブをやりつつ、その裏では並行して「次はどうするか」ということをずっと考えていて。曲を作って考えて、というのをずっと繰り返していたような気がしますね。

――思考する時間のなかで、何か変化はありましたか?

安東:去年の夏の経験を経て、曲作りのゼロイチの意識の部分がそれまでとは明らかに違うものを持ち始めた気がしていて。だから、前のインタビューでもお話しした、よりオープンにすることを作曲の段階から意識して取り組み始めているのが、大きな変化やなと思います。

田嶋:リリースするのは春ということは決めていたので「間に合わせないと!」っていう忙殺マインドみたいな状態には入りつつ、今回のEPは岩本(岳士)さんとご一緒して。レコーディングするまでのあいだもラリーを繰り返して、今までやってこなかったようなフックやリズムへの意識みたいなものも含めて、結構変わったんじゃないかなと思っています。あとは、2025年は「体調を崩さず走り切れるか!」という感じでした。録り終えたあとは、はっちゃけ忘年会を楽しんで(笑)。

――なるほど(笑)。じゃあ、年内でレコーディングを終えてたということは、結構急ピッチで制作を進めたんですね。

安東:そうやったと思います。12月に3日間×2のスケジュールでまとめてレコーディングしたので。だから、10月と11月は「どうしよう……!」みたいな(笑)。制作モードに入りつつ、自主企画もあったし、フェスもいくつかあって、多くの人に観てもらえる機会も並行してあったので、ライブも変えていかなあかんし、新しい曲も作らなあかんし。ほんまにわちゃわちゃしてたよな?

田嶋:わちゃわちゃしてましたね(笑)。

――マインドが変化したうえで、ライブの手応えはどうでしたか?

安東:フロアを見るようになったというか。これまでは、自分たちに集中していたんですよ。でも、今は「フロアのお客さんがどんな顔をして聴いているのかな?」とか「みんな、楽しいかな?」とかを意識するようになって。楽しめるライブ作りみたいなものも考えるようになったので、今までもお客さんは体を揺らしていたのかもしれないけど、ようやくその光景を自分の目で見ることができたんですよね。「ちゃんと水平線の音楽が伝わっているんだな」って、どんどんわかってきた感覚はあります。

個性は違えど、“水平線”というひとつのバンドとして存在させる(田嶋)

水平線(撮影=是永日和)

――それこそ、オープンマインド。まわりに目を配れるようになったというか。

安東:うん、そうっすね!

田嶋:夏が終わった直後は、夏に観たフェスでの刺激で、意識的な部分はどんどんアップデートしていこうというマインドになっていて。9月、10月くらいはほんまに変化したてで、個人的には自意識が強くなりすぎてて……「うまく見せられてへんな」と思う瞬間もあったりしたんですけど、自主企画が近づくにつれてどんどんいい方向に変わっていった気がしてて。それこそ、一年間を通して考えても、11月にやった『潮の目』という自主企画でいいライブができたんですよ。新しい要素も取り入れつつ、Wアンコールまでいただいて、ほんまに最初期の破壊衝動的な曲もやったりして。それって、本編で納得できる演奏ができたからこそなんですよね。逆に、すべてを出せる状態になったというか。あれは気持ちよかったよな。

安東:実際にアンプもちょっと壊れたしな(笑)。

田嶋:そうそう! ベースの水野(龍之介)くんが終盤に僕のアンプに立ててるマイクに叫び始めて、ハイになりすぎてアンプを倒して音が鳴らへんくなるという(笑)。でも、その事件が総括としてもよかったんですよ。2025年のハイライトやったなと思います。マインド的にもよくなっていることを感じる年末でしたね。

安東:2025年の最初、春とかにやったライブと年末のライブは、ほんまに別モノな感じがします。

水平線 - たまらないね! (Official Live Video)

――それは何が具体的に変わったか、言葉にできます?

安東:苦手な質問や(笑)。なんやろうなあ………でも、オープンマインド、これに尽きる気がする。「楽しませよう!」という意識がライブにおいても出始めたんじゃないかなというのが大きな違いやと思います。今やから言えますけど、去年の春にやったライブを観返すと、「ずっとコイツら下を向いてんな!」って(笑)。「ほんまに楽しいんか?」という印象があったし、自分たちで今観返してそう思えるようになったのもデカいと思うんですよ。過去の自分を見て気づきがあるのは、成長している証かなと思います。

――その成長という部分は、『希望の匂い』からも伝わる気がしていて。このEPから伝わるのは、一皮剥けた水平線の姿なんですよね。やりたいことや目指すべきものが、よりクリアに見えてきたんだろうなと思ったんです。そう言われると、どうですか?

田嶋:そうですね。EPとしてまとまった作品ということもあるので、バンドとして今後どうしていきたいかということを見せるチャンスではあるなと思ってました。そこで、ふたりのソングライター兼ボーカルがいることの強みというか、個性は違えど、“水平線”というひとつのバンドとして存在させることを、岩本さんとも結構話し合って、そのうえで作っていけたんじゃないかなと。結果的に、もともとあった水平線のよさにプラスで外向きの意識を含ませつつ、ふたりのよさもちゃんと担保されていることを意識して作りましたし、今後の姿勢も見せることができたかなと思います。

安東:ソングライターふたりでルーツも異なるし。作ってくるものも同じバンドとは思えないものが上がってきたりするんですけど。これは僕個人としての話になるんですけど、今までは“水平線フィルター”みたいなものをかけて制作していたんですよ。もちろん寄せに行ってるわけではないけど、ある種、自分に正直じゃないというか。そのなかで、今回岩本さんとご一緒したことで、僕がフィルターをかけずに作った曲でも、サウンドの部分でちゃんと水平線らしさを担保することができるんだなと思えたんです。だからこそ、今回は「行き切ったれ!」と自分のあるがままの部分で作ったので。たぶん、今までに比べて曲の雰囲気がいちばんバラついた作品になっているなと思います。

田嶋:ああ、そうかもしれへんな。

安東:そのバラつきを水平線らしいサウンドでぎゅっと圧縮して、ひとつのEPとして完成することができたな、って。そういう感覚があります。

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