『超かぐや姫!』楽曲がバイラルチャートを席巻 人選とアレンジの妙で広がる名曲の数々
Viral Chart Focus
Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「SpotifyTopSongs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの2月11日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:BellyJay「MONTAGEMHIKARI」
2位:かぐや(CV:夏吉ゆうこ), 月見ヤチヨ(CV:早見沙織), TAKU INOUE「ray (超かぐや姫! Version)」
3位:鶴 and 亀「LOVE 2000」
4位:kz, かぐや(CV:夏吉ゆうこ)「Reply」
5位:Number_i「3XL」
6位:クレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」
7位:ryo(supercell), かぐや(CV:夏吉ゆうこ), 月見ヤチヨ(CV:早見沙織)「ワールドイズマイン CPK! Remix (かぐや&月見ヤチヨ ver.)」
8位:KiiiKiii「404 (New Era)」
9位:かぐや(CV:夏吉ゆうこ), yuigot「ハッピーシンセサイザ (Cover)」
10位:Xhomie34「Helios Rap Remix (JerseyClub Mix)」
今週のSpotify「DailyViralSongs(Japan)」の首位を独走するのは、先週に続きBellyJay「MONTAGEM HIKARI」。ブラジリアンファンクの野性的なビートがSNSでのミーム化を経て、完全に市民権を得たことを証明している。また、3位のhitomiの名曲をカバーした鶴 and 亀「LOVE 2000」や、6位のクレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」といった中毒性の高いフレーズを武器とする楽曲群も上位を堅持。一度火がつくとバイラルが長期化するという、現代のヒットの方程式を改めて裏付けている。しかし、今週のチャートにおける最大のトピックは、上位10曲のうち実に4曲を占拠したアニメーション映画『超かぐや姫!』(Netflix)関連楽曲の急浮上だろう。この現象は、アニメ作品のヒットに伴うサウンドトラックの人気という枠組みを明らかに超えている。いわば、一つの巨大な潮流がチャート全体を呑み込んだ結果だ。
2位にランクインした「ray (超かぐや姫! Version)」は、プロジェクトの象徴とも言える楽曲だ。BUMP OF CHICKENが2014年に発表した名曲を、現代のダンスミュージックシーンを牽引するTAKU INOUEがリアレンジ。物語の主人公・かぐや(CV:夏吉ゆうこ)と月見ヤチヨ(CV:早見沙織)が声を吹き込んだ。原曲が放つ“生”への肯定や宇宙的なスケール感はそのままに、TAKU INOUE特有のソリッドなビートとしなやかなシンセサイザーが加わることで、2020年代後半のフロアにも呼応するエレクトロポップへと昇華されている。オリジナルへの深い敬意を払いつつ、最新のサウンドデザインを融合させた見事なマッシュアップだ。
4位の「Reply」は、kz(livetune)による書き下ろし挿入歌だ。かつて初音ミクという“声”を用いて日本のエレクトロニックミュージックの景色を塗り替えた先駆者とも言えるkz。彼が今回、アニメキャラクター=かぐやという“物語を背負った声”を通じて提示したのは、ストーリーと不可分な輝きを放つポップスだ。この曲の躍進は、『超かぐや姫!』という作品へ参加したクリエイターたちの作家性にあらためてフォーカスする機能を果たしているのかもしれない。
7位の「ワールドイズマイン CPK! Remix (かぐや&月見ヤチヨ ver.)」と、9位の「ハッピーシンセサイザ (Cover)」の存在も特筆すべきだろう。前者は原曲を手がけたryo(supercell)自らがリミックスを手掛け、後者はEasyPopが手がけた原曲を改めてyuigotがプロデュースを担当。ボカロ文化の金字塔とも言える楽曲たちが2026年の今、装いを新たにしてチャートを賑わせている状況は、極めて示唆に富んでいる。
この爆発的な人気の理由のひとつには、音楽プロデューサー陣の連なりと、そのアレンジの妙にあると思う。kz、TAKU INOUE、ryo、yuigot。彼らはいずれも、インターネットミュージックやボーカロイドの結節点でキャリアを築き上げてきた面々だ。彼らが手掛ける楽曲には、フックの鋭さと奥行きの広さが共存している。また、カバー楽曲の選定も完璧で、BUMP OF CHICKENという日本を代表するロックバンドの楽曲から、ネット文化のスタンダードであるryoやEasyPop。これらの強固な文脈を持つ楽曲を、Netflixというグローバルなプラットフォームの最新アニメ映画と結びつけることで、情報の拡散と定着を同時に実現したのだろう。
上位10曲の中に、これほどまでに一つのプロジェクトから派生した楽曲が並ぶという珍しい現象が見られた今週のチャート。しかし、それぞれの楽曲のクオリティに触れれば、この現象は必然であったと確信させられる。日本のアニメネット文化が最新の形で結実した『超かぐや姫!』が席巻したチャートは、リスナーの熱量と多層性を最も鋭敏に反映している。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2026-02-11
























