Official髭男dism、King Gnu、ポルノグラフィティ、乃紫、五十嵐ハル……次のビリオンヒットが生まれる? 冬アニメ注目主題歌

 2025年大晦日に放送された『第76回NHK紅白歌合戦』で、インパクトを残したアーティストの共通点にアニソンがある。様々な記録の歴代最高を更新していった米津玄師「IRIS OUT」を筆頭にして、LiSA「残酷な夜に輝け」、サカナクション「怪獣」、アイナ・ジ・エンド「革命道中 – On The Way」といった全てがアニメ作品で使用された主題歌、タイアップ曲であり、それぞれのアニメと連動した演出が施されていた。90年代はドラマ主題歌からミリオンヒットが生まれる時代であったが、現代ではアニソンからビリオンヒットが生まれ、海外でも聴かれる大きな起爆剤となるのが一般的にも広く浸透している。

 1月からスタートする2026年冬アニメにもそんな“紅白候補”とも言えそうな注目のアニメ主題歌が存在している。

Official髭男dism「Make Me Wonder」

TVアニメ『ダーウィン事変』オープニング主題歌 Official髭男dism「Make Me Wonder」ノンクレジットアニメ映像/2026.01.06 24:00~ ON AIR

 近年は数多くのアニソンを手がけてきているOfficial髭男dism。「ミックスナッツ」「SOULSOUP」が『SPY×FAMILY』シリーズ、「Cry Baby」「ホワイトノイズ」が『東京リベンジャーズ』シリーズ、「らしさ」が『ひゃくえむ。』の主題歌でありながら、バンド自体にも前へと向かう推進力を与えてきた。今期始まったアニメ『ダーウィン事変』のオープニング主題歌として使用されている新曲の「Make Me Wonder」は、人とチンパンジーの間に生まれた“ヒューマンジー”の姿が描かれるアニメに寄り添いつつ、野生味溢れるロックサウンドから新たなバンド像を見せてくれている。

King Gnu「AIZO」

TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」ノンクレジットOPムービー/OPテーマ:King Gnu「AIZO」|毎週木曜深夜0時26分(24時26分)~MBS/TBS系28局にて放送中!!

 King Gnuはアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」のオープニングテーマを担当する。2021年公開の『劇場版 呪術廻戦 0』ではオープニングテーマ「一途」、エンディングテーマ「逆夢」の両面を、2023年の第2期「渋谷事変」ではオープニングテーマとして「SPECIALZ」を提供してきた。『呪術廻戦』とは切っても切れない関係となったKing Gnuが今期に届ける新曲「AIZO」は、“平安の世”をイメージさせる雅楽の音色に始まり、目まぐるしいアニメーションにも負けない楽曲の疾走感が作品の世界観をさらに拡張している。

ポルノグラフィティ「はみだし御免」

TVアニメ『火喰鳥』ノンクレジットOP映像:ポルノグラフィティ「はみだし御免」

 ポルノグラフィティは、アニメ『鋼の錬金術師』(2003年版)の第1クールオープニングテーマ「メリッサ」が代表曲の一つとして数えられる。リリースされたのは2003年。その前には2000年のアニメ『GTO』オープニングテーマ「ヒトリノ夜」があり、筆者のような30代後半の世代にはど真ん中のアニソンと言えるのではないだろうか。ほかにもアニメ『BLEACH』シリーズに「今宵、月が見えずとも」「アニマロッサ」、映画『名探偵コナン 業火の向日葵』に「オー!リバル」、アニメ『僕のヒーローアカデミア』シリーズでは「THE DAY」「THE REVO」と00年代、10年代、20年代と四半世紀にわたって活躍し続けているポルノグラフィティが、今期は新曲「はみだし御免」でアニメ『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』のオープニングテーマを担当。アニメさながらの熱さ迸るロックチューンとなっている。

乃紫「メガネを外して」

TVアニメ「正反対な君と僕」PV第4弾

 ここまで、Official髭男dism、King Gnu、ポルノグラフィティとアニソンの名手と言えるアーティストを挙げてきたが、初のアニメ主題歌を手がけるのが乃紫だ。昨年は学生時代の青春を歌った「1000日間」がTikTokを中心にして、長い時間をかけて若者から青春を過ごした大人にまで受け入れられた。「全方向美少女」を皮切りに「初恋キラー」などTikTok発のヒット曲を連発してきた彼女にとって「1000日間」はアーティストとしての真価を示す新たな代表曲となっている。そんな乃紫はアニメ『正反対な君と僕』で「メガネを外して」を書き下ろし。オープニング映像では、主人公・鈴木が思いを寄せる谷たちと歌詞に合わせ、時にはスマホサイズの縦型画面で動き回り、アニメ側が乃紫へと寄り添ってもいる、タイアップとしては最高の形と言えるだろう。

五十嵐ハル「デッドエンド」

TVアニメ『デッドアカウント』ノンクレジットOP映像|テレビ朝日系全国24局ネットにて毎週土曜夜11時30分~放送中!!

 五十嵐ハルもまた、TVアニメ『デッドアカウント』のオープニングテーマ「デッドエンド」で初のアニメ主題歌を担当する。五十嵐は、元警察官という異色の経歴を持つシンガーソングライター。2024年にリリースした楽曲「めんどくさいのうた」「少しだけ」がバイラルヒットとなり、音楽アワード『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』で最優秀ニュー・アーティスト賞にエントリーされた。過去には「ぺむ」の名前でボカロPとして活動していた経歴もありながら、昨年11月には五十嵐ハルとして初となるライブ『NO TITLE』を渋谷WWWで開催。初のワンマンライブツアー『Mr.Sentimental Vol.1』を3月に行う予定だ。

 「デッドエンド」を聴いて驚くのは、イントロの突き抜けるように爽やかな高音のギターリフだ。それは、五十嵐の楽曲には「少しだけ」のようなDTMで作曲されたセンチメンタルなイメージがあったからだ。もちろんそれだけではないのだが、1月8日に五十嵐が自身のInstagramにアップしている未発表曲「ゴール」は切ない恋心を歌ったバラードである。彼のなかでは「ぺむ」名義でリリースしライブでも披露している「スカーレットハート」が最も激しいロックサウンドだろうか。

五十嵐ハル - デッドエンド (Official Lyric Video)

 「デッドエンド」ではそれを上回るアップテンポのロックチューンとなっている。過去のインタビューで五十嵐は、SNSでは「最初の2〜3秒を見るとおすすめに乗る」ことを知り、アップする動画の内容自体を考え直したと語っている。アニソンも同じことで、イントロで聴く人の心を掴まなければサビどころかAメロすらにも辿り着いてもらえないかもしれない。五十嵐のルーツミュージックであればRADWIMPSの「おしゃかしゃま」「君と羊と青」、B'zの「Calling」といったギターリフを散々聴いてきたであろう彼のロックマインドを解放したのが「デッドエンド」なのではないかと思う。レコーディングにはギターにエンドウアンリ(Grape Kiki)、ドラムに歌川菜穂(ex.赤い公園)が参加している。

 原作をじっくりと読み込みながら、時間をかけて制作されたという「デッドエンド」。サビのリリックを追って見ると、〈散々な世界だから/何者にもなれないから/ただ迷って怒って/腐ってしまった/ひとりぼっちの願い事なんて/届かないもんな〉〈寂しさなんてものが/いっそなくなっちまったら/もうちょっとくらいは上手く生きれたかな/ぬくもりが零れてく〉と五十嵐の根底にある孤独感が歌われている。アニメの世界観に寄り添いながらも、自身の軸をぶらすことなくタイアップを書くことができるのは、アーティストとして大きな強みである。

 インタビューで「アーティストとしてやってみたいこと」に、「アニメの主題歌を作ること。皆さんそこから大きく羽ばたいているような印象があるので、ぜひやってみたいです。」と答えていた五十嵐(※1)。先人のOfficial髭男dism、King Gnu、ポルノグラフィティのように、五十嵐もここから大きく羽ばたいていくはずだ。

※1 https://columbia.jp/filter/special/index.html

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる