Bialystocksの音楽は公演毎に生まれ変わるーー至高のステージを繰り広げた『2+5 ツアー』ファイナル公演

Bialystocksの音楽は公演毎に生まれ変わる

 観る度に変わっている気がする。いや、実際全然違うのだ。Bialystocksの音楽は公演毎に生まれ変わる。

 というわけで、毎回「どひゃー!」というくらいアレンジを変える彼らのライブだが、今回のツアーで新味を出していたのは、なんと言ってもBialystocksのライブに初参加となったTaikimen(Per)だろう。全身に喜びが駆け抜けるような躍動感! こんなにリズムが強調される演奏は、少なくともこの1〜2年の彼らのツアーでは初めてのことではないだろうか。敏腕ドラマー・小山田和正とTaikimenがステージの左右に陣取り、ダイナミックな舞台を作り上げる。

 2本のギターでスペクタクルを描いた『Songs for the Cryptids Tour』から1年強、同じ会場で同じバンドを観ているとは思えない変容ぶりである。昨年のサックスやトランペットを加えて華々しい演奏を聴かせた『Bialystocks 単独公演 2025』、甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)のふたりだけで全国を回った『二人編成ツアー』、それらを経ての『Bialystocks 2+5 ツアー』である。メンバーはBialystocksのふたりに、お馴染みの朝田拓馬(Gt)、越智俊介(Ba)、小山田和正、オオノリュータロー(Cho)の4人。そこにTaikimenを迎えた7人編成となった。1月9日、東京・Zepp DiverCity (TOKYO)にて行われたツアーファイナルの模様をお届けする。

Bialystocks(撮影=Daiki Miura)

独立した“個”が響き合う 7人編成で示したアンサンブルの極致

 1曲目は「聞かせて」、ピアノと声だけで始まった。ステージ中央で正面を見ているボーカリストと、ステージ後方で背中を見せながら鍵盤を弾くピアニストーーこれがなんとも象徴的なシーンに思えた。視線の先は対角線、ふたりは違う方向を見ている。『二人編成ツアー』や『Bialystocks 2+5 ツアー』のキービジュアルがそうであるように。Bialystocksにはふたつの引力が存在しているのだ。『2+5』と題したツアーだが、“2”はそもそも“1と1”なのである。それは決してバラけているという意味ではなく、声とピアノはそれぞれの磁場を持って、独立した個性で他の楽器と反応し合いながらひとつの強烈な音楽を生み出しているように思う。

Bialystocks(撮影=Daiki Miura)

 菊池はステージの後ろにあるピアノと手前に置かれたキーボードを曲によって弾き分ける。フュージョン風の鳴りを感じた「近頃」は、のっけから朝田のギターが絶好調。火を吹くようなサウンドで景気づけていた。続く「コーラ・バナナ・ミュージック」がいきなりヤバい。コンガを大胆にフィーチャーしてアフロファンクへと化けたこの曲は、カラフルな照明とともに踊れる前半のハイライトだろう。いつもより幾分リズミカルに感じるカントリー調の「Emptyman」など、パーカッションを加えた編成がライブの冒頭から新鮮な風を呼び込んでいる。

甫木元空(撮影=Daiki Miura)
甫木元空
菊池剛(撮影=Daiki Miura)
菊池剛

 ドラムと鍵盤のセッションに永遠を感じる「All Too Soon」から、白い光とスモークが幻想的な空気を演出する「朝霧」へ。どことなくクラシック調のフレーズを思わせるピアノは流麗で、逆光から甫木元の美声が届くステージングにうっとりする。そしてこの曲の終盤では菊池のピアノソロへと突入。これがライブで最も美しい瞬間だった、と言ったら大袈裟過ぎるだろうか。遠慮がちに照らすスポットライトを受けながら、彼の指は、一度入ったら戻ってこれないような深みを感じる旋律を奏でていく。

菊池剛(撮影=Daiki Miura)

 「Winter」も舞台演出が光っていた曲のひとつだ。暗闇で回転するミラーボールが夜空に浮かぶ星のように光の粒を振り撒いていく。細やかなタッチのドラムも雪のように綺麗で、この日の小山田のプレイはいくら褒めても褒め過ぎることはないだろう。続く「あくびのカーブ」は強烈すぎる。鋭く差し込まれるギターフレーズと、フロアを無重力に変える鷹揚としたベース、そして躍動し続ける両サイドの太鼓によるロングセッション......中盤のドラムソロも忘れ難い演奏を聴かせており、これがライブのクライマックスじゃないなんて信じられないくらいだ。

朝田拓馬(撮影=Daiki Miura)
朝田拓馬
越智俊介(撮影=Daiki Miura)
越智俊介
小山田和正(撮影=Daiki Miura)
小山田和正
オオノリュータロー(撮影=Daiki Miura)
オオノリュータロー
Taikimen(撮影=Daiki Miura)
Taikimen

 甫木元がおもむろに後ろのアップライトピアノの前に座り、空いたフロントマンの位置に菊池が移動。前者がピアノボーカルとして、後者がギターコーラスとして披露された「Kids」が新鮮だ。「差し色」は相も変わらず名曲。芯から心をあたためるようなこの曲の美しさを、なんて表現したらいいのかわからない。光っていたのはジャジーで滋味深い響きのベースだろうか。リッチな演奏に乗った甫木元の声は、羽が生えたように空へ空へと浮かんでいく。

Bialystocks(撮影=Daiki Miura)

 「頬杖」からはどことなくラテンやMPBの気分を感じた。このライブにおいてとりわけ陽気な演奏だったように思う。毎回突き抜けるような疾走感で聴かせる「光のあと」から、挨拶を含んだ短いMCを挟み「Nevermore」へ。曲に厚みをもたらすコーラスが素晴らしく、心地良いハーモニーが生まれていく。爽やかな2曲を終えると「I Don't Have a Pen」へ。これまたコーラスが映える1曲で、エネルギッシュなギターも効果覿面。甫木元のソウルフルなボーカルにも迫力があり、フォークとR&Bを接続したようなこの曲はやはり逸品である。

 最後は「Over Now」から「空も飛べない」、後者は越智のシンセベースがいい味を出していたように思う。アンコールの「Upon You」まで、とにかく磐石な演奏である。

Bialystocks(撮影=Daiki Miura)

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