宮本浩次、吉井和哉、スガ シカオ……2026年還暦を迎えるアーティスト、止まらない歩みに注目

 もともと長寿の祝いを指す“還暦”という言葉。ただそのイメージは年々、社会全体として変化しているように思う。こと音楽シーンにおいても、還暦を迎えてもなお精力的にライブ活動を行うほか、新曲を発表するなど、肉体とクリエイティブの両面で全盛期を更新し続けているアーティストが多い。

 今回は、2026年に還暦を迎えるアーティストを数組ピックアップし、紹介したい。

音楽の可能性を追い求め続ける宮本浩次

 エレファントカシマシの宮本浩次(Vo/Gt)は1966年6月12日生まれ。2019年より本格的にソロ活動もスタートさせ、2025年にはRADWIMPSのトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』に参加し「おしゃかしゃま」をカバーしたほか、「over the top」がテレビアニメ『トリリオンゲーム』第2クール(TBS系)OPテーマ、「Today -胸いっぱいの愛を-」がドラマ『人事の人見』(フジテレビ系)主題歌、「I AM HERO」が映画『爆弾』主題歌に。エレファントカシマシのセルフカバー「今宵の月のように」で日本マクドナルド『月見ファミリー』テレビCMテーマソングを担当し、さらにはAdoに提供した楽曲「風と私の物語」が映画『沈黙の艦隊 北極海大作戦』主題歌に。また音楽活動のさらなる可能性を追い求めるプロジェクトとして「俺と、友だち」も立ち上げた。

 
 
 
 
 
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 中でも驚かされるのはテレビアニメ、映画、ドラマなど多方面でのタイアップ曲の多さだ。ジャンルレスなタイアップは、宮本の制作曲がいかに普遍性を帯びているかということを示している。時代のトレンドだけに流されず、長年にわたり聴き継がれる強度を誇っていることの表れだろう。それは、2025年にマクドナルドのテレビCMテーマソングとして採用された「今宵の月のように」が、1997年リリースの楽曲であることからも分かる。

 そんな宮本は2026年、日本武道館を皮切りに全国9カ所をまわるライブツアー『宮本浩次 tour2026 新しい旅』を開催する。ツアータイトルの「新しい旅」は、宮本が、還暦という節目の年にさらなる発展と飛躍を遂げようとしているように感じられる。

不調を乗り越えて完全復活した吉井和哉

吉井和哉「このドキュメンタリーが回っていたことによって、病気の回復は早まった」『みらいのうた』Q&A| TimeLimit

 THE YELLOW MONKEYの吉井和哉(Vo/Gt)は1966年10月8日生まれ。昨年末12月5日にはドキュメンタリー映画『みらいのうた』が公開され、『第38回東京国際映画祭』へ公式出品されたばかり。筆者が同映画を鑑賞して実感させられるのが、吉井の音楽との向き合い方だった。『東京国際映画祭』での舞台挨拶では、東京2024年の東京ドーム公演が近づくなかで「残りのリハが数回しかない時、完全に声が出なくてどうしようと思いました」
※1)と当時を振り返っていたが、ファンに音楽を届けることだけを考え、日々を送る彼の姿が印象に残っている。

 吉井は2025年12月から2026年1月にかけて全国9カ所のソロツアー『吉井和哉 TOUR2025/26 IVIVI BLOOD MUSIC』を開催している。吉井の音楽は、血そのもの。このツアータイトルは、2026年の吉井の活動テーマでもあるのではないだろうか。

2027年に30周年を控えるスガシカオ

 スガ シカオは1966年7月28日生まれ。2025年のスガを振り返ると、自身がボスザウルスとして率いるファンクバンドのファンクザウルスの活動が目立った。同バンドは、2025年4月に1stアルバム『ファンクザウルスLP』をリリースし、5月から全国5カ所で『スガ シカオ presents ファンクザウルスツアー「帰ってきたFUNK SAURUS」』も開催した。

 これまで、さまざまなエッセンスを取り入れた楽曲を生み出してきたスガは、常に自分自身に刺激を作品に注入し、実験的な手法も取り入れて音楽が持つ可能性を追求し続けてきた。2025年のファンクザウルスでの活動を通じ、時代の最先端の音楽と古き良き音楽の魅力を融合させる自身のスタイルをさらに発展させたように感じた

 そんなスガは2027年にデビュー30周年を迎える。メモリヤルイヤーを見据え、2025年11月から2026年2月にかけて全国弾き語りツアー『Hitori Sugar TOUR 「Road to 30th Anniversary」』を開催。ごくわずかなライブ制作スタッフとともにライブハウスを巡るという趣旨からも、さらなるパワーアップを遂げようとしていることが窺える。

いつまでもセクシーでアグレッシブな田島貴男

 Original Loveの田島貴男は1966年4月24日生まれ。2025年の田島の活動で特に目立ったのは、『ひとりソウルツアー2025』ではないだろうか。『ひとりソウル』は、田島のライフワーク的な立ち位置のツアーで、彼の原点が感じられる“ショー”になっている。田島は自身のX(旧Twitter)で「今年のひとりソウルツアーは新しい形となり、表現も演奏も幅が広がりました。サックスもギターも歌もリズムも奥が深すぎ、先が長すぎです」(※2)と記述していた。一方で、東京スカパラダイスオーケストラのベストアルバム『NO BORDER HITS 2025→2001 〜ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ〜』では、新録楽曲「Paradise Has No Border feat.NO BORDER ALL STARS」のゲストとしてNO BORDER ALL STARSの一員となり、テナーサックスで参加した。

 田島は2026年2月から4月まで、全国11カ所で『田島貴男「弾き語りツアー2026」』を開催する。また1月25日にはZepp DiverCity(TOKYO)でOriginal Loveの自主企画イベント『Original Love Presents Love Jam Vol.9』も開催。田島が熱望していたASIAN KUNG-FU GENERATIONとの対バンが実現するほか、韓国インディーシーンのアイコン的バンドであるCADEJOも登場。セクシーでアグレッシブな田島のパフォーマンスは、2026年もなお健在だろう。

 ほかにも2026年は、大槻ケンヂ(筋肉少女帯)、増子直純(怒髪天)、斉藤和義、トータス松本(ウルフルズ)、小泉今日子、斉藤由貴らが還暦に。3月20日に東京ガーデンシアター、3月22日に大阪城ホールで、1966年生まれのアーティストが集結する『ROOTS66 -NEW BEGINNING 60』が開かれるのも楽しみだ。

 彼らにとって“60歳”は通過点にすぎないだろう。還暦の節目を迎え、音楽はさらに進化していくのではないか。

※1:https://2025.tiff-jp.net/news/ja/?p=67698
※2:https://x.com/tajima_takao/status/2001825369570324918

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