Vaundy、ヨルシカ、SUPER BEAVER、XG、福山雅治、清 竜人25……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「呼び声」、ヨルシカ「プレイシック」、SUPER BEAVER「生きがい」、XG「4 SEASONS」、福山雅治「木星 feat. 稲葉浩志」、清 竜人25「GOOD BYE!愛してるよ!」の6作品をピックアップした。(編集部)
Vaundy「呼び声」
今年で9回目となる『18祭』(NHK総合)テーマソングとなる書き下ろし新曲。1000人の18歳世代と本気を共有してこそ成立する企画なので、作曲家としてのオリジナリティ、誰とでもわかりあえる普遍性、混成のハーモニーを前提とする合唱スタイル、そのすべてをクリアしなければいけない。近年は制作ハードルがどんどん高くなっているVaundyだが、難題を与えられたほうがこの人は伸びていくのかもしれない。デビューした頃よりもすっかり有名になった今のほうが未知数が高い、というのは恐れ入る話だ。まさしくVaundyらしいメロディと言葉で始まるポップスなのに、聴き進んでいけばいくほど、確かな熱量が途方もないスケールで広がっていくのだ。(石井)
SUPER BEAVER「生きがい」
来年2月に開幕する『ミラノ・コルティナ冬季オリンピック』のフジテレビ系のアスリート応援ソング。近年は大型タイアップも珍しくなくなった4人だが、オリンピックの規模となると、作品の内容や主人公の心の機微に迫る解像度は必要なし。コメントにあるように「純粋にやったれーーー!!」(※1)の気持ちで書き上げたのではないか。今まさに試合開始直前というような胸の高鳴りと、スピードに乗っていく疾走感を備えたロックナンバー。〈お待たせ 信じ続けた瞬間よ〉〈過去最高を いざ 今〉などの歌詞は、ここから起こる数々の名シーンとシンクロしていくだろう。始まる前から感動と高揚の予感が押し寄せる、これぞ応援ソングの鑑と言いたい一曲。(石井)
XG「4 SEASONS」
来年1月23日にリリースを控えた1stフルアルバム(と書いてから、まだ出ていなかったの? それなのにこの存在感は何事? と驚いてしまう)『THE CORE - 核』からの先行配信。新曲が出るたび世界観の新しさには度肝を抜かれてきたが、この曲がもたらすのは別の意味の驚き。耳元で爪弾かれているようなアコースティックギターから始まる、ものすごくシンプルかつ穏やかなバラードなのだ。歌唱はボーカルユニット・CHISA、HINATA、JURIAの3名によるもので、それぞれの丁寧な歌唱力、息遣いまで感じられそうな距離感にドキドキ。少なくともここまで存在を“近く”に感じるXGは初めてだ。今までのイメージをさらに塗り替えるアルバムになることを期待。(石井)
福山雅治「木星 feat. 稲葉浩志」
福山雅治演じる全盲のFBI捜査官・皆実広見と大泉洋演じる孤高の刑事・護道心太朗がバディを組む犯罪捜査ドラマ『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)。その映画版である『映画ラストマン -FIRST LOVE-』の主題歌で、福山が最強のバディとして声をかけたのは稲葉浩志。学年は4つ違いではあるが、90年代から現在に至るまで最前線に立ち続ける両者の邂逅は、2025年ラストを飾る一大トピックだ。壮大で深みのあるメロディ、ロックサウンドと弦楽器を融合させたアレンジは福山が担当。そして稲葉は『ラストマン』の世界観と重なりながら、二人で歌う意味を強く感じさせる歌詞を手がけている。特に最後の〈届けるのは変わらぬ光/ただ白く〉というフレーズは、福山、稲葉のシンガーとしての道のりや在り方を想起させるのではないか。(森)
ヨルシカ「プレイシック」
約3年ぶりのフルアルバム『二人称』を3月4日にリリースするヨルシカ。n-bunaが原案/執筆を担当する書簡型小説『二人称』をもとにした本作に収録される新曲が「プレイシック」だ。軽快な裏打ちのビート、シックなホーンの音色とともに〈全部嫌になった/僕たちは憂いた〉というラインから始まるミディアムチューンだが、ソングライティングの手触り、音楽的なスタイルを含めて、これまでのヨルシカとは一味違うという印象が強い。〈恋をしていました/切れかけの電球に〉など、詩的な言葉遣いを用いたリリックは何度聴いても新たな発見があり、そのたびにイメージが変化していく。穏やかな中毒性と呼ぶべきsuisの歌声も絶品。この曲がアルバムのなかでどう位置付けられるのか、とにかく興味が尽きない。(森)
清 竜人25「GOOD BYE!愛してるよ!」
KT Zepp Yokohamaで行われた『KIYOSHI RYUJIN25 GOOD BYE LIVE』をもって現体制での活動を終了した清 竜人25。ライブ当日の12月21日に届けられた新曲「GOOD BYE!愛してるよ!」は、どこまでもまっすぐ、どこまでも純粋な“グッバイ”を描き出したポップチューンだ。〈ねえ 君を愛してるの/だから 僕は行かなくちゃならない〉から始まる歌詞はおそらく、清 竜人自身の心境と強く結びついている。ネオソウル系の洗練されたメロディとアレンジ、清とメンバーたちの切なくて愛らしい声の重なりはまさにビタースウィート。ラストの囁くような清の歌声には本気でグッときてしまった。この曲を含んだアルバム『GOODBYE』のリリースは3月25日だが、最高傑作になる予感しかないのがまた寂しい。(森)
※1:https://sp.super-beaver.com/news/detail/100589



























