櫻坂46、ライブの完成度で熱狂を更新した2025年 最後の一期生卒業、新章への土台を固めた1年を振り返る
12月16日、17日に幕張イベントホールで行われる『Buddies感謝祭 2025 EX』の2日目公演で井上梨名の卒業セレモニーが行われる。
欅坂46時代を含めて櫻坂46として長くグループを支えてきた井上を送り出すこの1日は、2025年という1年の締めくくりであり、新しいフェーズの幕開けでもある。公演は動画配信サービス「Lemino」での生配信、井上に密着した“井上カメラ”も用意されるなど、節目のステージを多くの人が見届けられる設計になっている。
一期生 小池美波・二期生 井上梨名の卒業、グループ史上最大規模の全国ツアーの開催
11thシングル『UDAGAWA GENERATION』の活動をもって卒業した、グループ最後の一期生·小池美波の卒業セレモニーが行われた今年3月20日の『Buddies感謝祭 2025』は、バラエティとミニライブの二本立てでBuddies(ファンの呼称)に感謝を伝える場でありつつ、欅坂46時代から続く物語に一区切りをつけるステージにもなった。
そして約9カ月後、今度は『Buddies感謝祭 2025 EX』で井上の卒業セレモニーが開催される。同じ『Buddies感謝祭』の枠の中で卒業を見届ける形が続いたことで、櫻坂46にとって『Buddies感謝祭』が大事な節目をファンと共有する場所として定着してきたことが見えてくる。小池の卒業で“一つの時代”が終わり、井上の卒業で“第2章”の道筋をさらに拓いていく。その間の9カ月でグループは新体制づくりをするなかでライブを積み重ね、次の章に進む準備を進めてきた。2025年は、二つの別れを区切りにしながら、そのあいだで次の櫻坂46の土台を固めた1年だった。
櫻坂46は昨年に引き続き、2025年もライブを積み重ねることでステージの完成度を磨き上げてきた。全国5都市11公演で延べ26万人を動員した『5th TOUR 2025 “Addiction”』は、櫻坂46にとって史上最大規模の全国ツアーとなった。4月の愛知公演を皮切りに、福岡・広島を巡り、7月には東京ドーム3DAYSへ到達。さらに8月24日、グループ初の京セラドーム大阪公演でツアーファイナルを迎えた。ステージのスケールが一段上がったことを数字と会場の大きさで示したツアーだったと言っていい。ただ、このツアーの価値は“大きい会場でやれた”ことだけではない。むしろ印象的だったのは、会場が巨大になっても、ライブの密度が薄まらなかったことだ。MCを最小限に抑え、楽曲をテンポよく重ねていく構成で、熱が冷める隙を作らない。観客を置いていかないスピード感と、曲ごとに空気を切り替える緻密さが同居していた。
櫻坂46が証明したネクストレベルへの到達 “最高地点”を刻み、究極のエンタメを届けた京セラ公演を振り返る
櫻坂46の全国ツアー『5th TOUR 2025 “Addiction”』が8月24日、京セラドーム大阪にて閉幕した。本稿では、…演出もまた、派手だからすごいのではなく、曲の世界観を立ち上げるための仕掛けが選ばれていたのが大きい。照明やレーザーで巨大空間の輪郭を塗り替えながら、時に寸劇や長尺のダンスブロックを挟み込みながら、楽曲が持つ物語をステージ上で補強していく。結果として、観客は曲を聴く以上に、まるで“一本のショー”を体験しているという感覚へ引き込まれる。終盤にはサーカス団との共演や、「UDAGAWA GENERATION」のMVで話題となった“れなぁ砲”の再現といった驚きも用意されていたが、それらはサプライズ以上の意味をもって、ライブ全体の高揚感を最後まで押し上げるための装置としても効いていた。こうしてこのツアーは、櫻坂46のライブが昨年以上に研ぎ澄まされ、最初から最後まで高い密度で走り切れる完成度に到達していたことを感じさせた。
大規模ツアーを成立させた背景には、新しい世代の台頭も忘れてはならない。2025年初頭に一期生が全員卒業し、その空白を穴として感じさせなかったのが二期生と三期生の存在感である。とりわけ三期生の躍動が非常に大きなもので、先に述べた全国ツアーでは、先輩たちが担ってきた重要な役割を受け継ぎながら、曲ごとのセンターやユニットパートを次々に担い、グループの景色そのものを更新していったのが彼女たちだったとうに思う。それは“継承しながら新しくする”動きだったとも言える。さらにグループの外でも存在感を広げ、、メンバー個人での活躍の場が増えたことも、2025年の三期生がグループの看板へ移っていったことを印象づけた。
























