櫻坂46、ライブの完成度で熱狂を更新した2025年 最後の一期生卒業、新章への土台を固めた1年を振り返る

四期生が走り出した新章 櫻坂46の“強さ”を更新し、国立競技場へ

 そして終盤の東京公演と大阪公演からは、四期生9名も本格的に合流。四期生楽曲「死んだふり」を初披露した場面では、初々しさの奥に櫻坂46として立つ覚悟が見えた。さらに「I want tomorrow to come」では楽曲の途中から四期生も加わり、グループ全体が最新型へ切り替わっていく感覚があった。二期生がグループの土台となり、三期生が中心を担い、四期生が勢いを注ぎ込む。その受け渡しがスムーズに進んだことが、2025年の櫻坂46の強さだったとも言える。

櫻坂46『死んだふり』MUSIC VIDEO

 四期生の存在をツアーとは違う角度から際立たせたのが、『新参者 二〇二五 in TOKYU KABUKICHO TOWER』だったように思う。ここで彼女たちは新世代として何を見せるかを、自分たちの力で立ち上げていく立場に置かれた。まだ完成形ではない――けれど、その未完成さを隠すのではなく、むしろ必死さや緊張感まで含めてステージの熱量に変えていく。その姿が、櫻坂46というグループが大切にしてきた感情を身体で鳴らす表現と地続きであることを、筆者も現地で観て納得させられた。あの公演は四期生がすでにグループの現在進行形を担い始めていることを示した場でもあった。

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 世代の入れ替わりが進んだことで、フォーメーションの厚みも目に見えて増したのも、今年の櫻坂46の勢いを語るうえで欠かせないポイントだ。12thシングル表題曲「Make or Break」では三期生の的野美青、13thシングル表題曲「Unhappy birthday構文」では、三期生の村井優をセンターとして、前列に三期生と二期生が自然に混ざり合う形になっていた。二期生の安定感が全体の強度を支え、そのなかで三期生が積極的に景色を更新していくというバランスそのものが、今の櫻坂46の強さだろう。こうした配置が意味するのは、ステージの主役がひとりに固定されないということでもある。誰が前に立っても、パフォーマンスの質は落ちない。だからこそ、楽曲リリースのたびに「このメンバー、この並びで勝負するのか」という新たな発見が積み重なるのだ。

櫻坂46『Make or Break』MUSIC VIDEO
櫻坂46『Unhappy birthday構文』MUSIC VIDEO

 今、個人的に思い出されるのは、京セラドーム大阪公演のラストでキャプテンの松田里奈が語った「このメンバーとなら、Buddiesとなら、何だってできる。一緒にまだ見たことない景色を見に行きましょう」という言葉。最大規模ツアーの成功は到達点であると同時に、「次も更新できる」という確信を手にした瞬間でもあったように思う。そして来年春にはMUFGスタジアム(国立競技場)での公演『5th YEAR ANNIVERSARY LIVE』が待っている。2025年に積み重ねたものが、次の“まだ見たことない景色”に直結するはずだ。

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