ROIROM「Dear DIVA」バイラル急上昇 セオリーにとらわれない注目デュオが示す“揺るぎない愛”
Viral Chart Focus
Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「SpotifyTopSongs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの12月10日付のTOP10は以下の通り。(※1)
1位:シャキーラ「Zoo」
2位:ROIROM「Dear DIVA」
3位:INI「Present」
4位:鬼屋敷_OniYashiki「風呂入ろ?」
5位:Mori Calliope「Gold Unbalance feat. 中島健人」
6位:ぼくたちん家「バームクーヘン」
7位:YANGYINYUE「弥渡山歌 (Midu Echoing)」
8位:Travis Chobit「100」
9位:M!LK「好きすぎて滅!」
10位:KIXIA, KREZUS, Mc Kaique SP「HOMAGE FUNK」
今週のSpotify「Daily Viral Songs(Japan)」チャートは激動した。先週首位のINI「Present」は3位に後退し、かわってシャキーラの「Zoo」がトップに躍り出た。「Zoo」は、ディズニー・アニメーション映画『ズートピア2』の新たな劇中歌として紹介され、そのグローバルな注目度とキャッチーさで瞬く間に日本国内のバイラルチャートを席巻した。先週から引き続きトップ10に残ったのはINI、M!LK、YANGYINYUEのわずか3組。この大きな変動の中で、2位に食い込んだROIROMの「Dear DIVA」に注目したい。
『timelesz project』の最終審査まで進みながら、惜しくもtimelesz加入を逃した浜川路己と本多大夢の二人によって結成されたROIROM。オーディションから派生した彼らがチャートのトップに迫る結果を残したことは、非常にドラマチックな展開とも言えるだろう。現在、日本のボーイズグループシーンには、大人数編成とアグレッシブなダンスパフォーマンスを主軸とした楽曲が多く存在する。そのため、デビュー曲やプレデビュー曲はグループの“戦闘力”を誇示するハイテンポなダンスナンバーがセオリーのひとつともなっている。しかし、ROIROMが11月19日にリリースしたプレデビューシングル「Dear DIVA」は、このセオリーにハマらない異質な楽曲として響く。
まず、彼らが二人組という編成を選んだ点に、大きな意味があるように感じる。メンバーの多様な個性を武器にする大数人グループに対し、メンバーそれぞれの能力と一対一のケミストリーで勝負するデュオ編成。二人だからこそ、その実力が楽曲の説得力にダイレクトに直結するのだ。
楽曲「Dear DIVA」のサウンドとメッセージ性もまた、主流から一線を画すものかもしれない。タイトルが示す通り、彼らの伝えたい感情が極めてパーソナルなものであることが示唆される歌詞。プレデビュー楽曲となる「Dear DIVA」は、単なる自己紹介楽曲に終わらず、聴き手であるファンへの深いメッセージを内包しているのだ。歌詞の核心にあるのは、オーディションを経た彼らに注がれる熱い期待や注目の視線を決して一時的なものではなく、揺るぎない“愛”へと昇華させていくという、アーティストとファン、両者間の関係性の構築を巧みに表現する手法だ。サウンド面では、ラテンな雰囲気を醸し出す温かみのあるアコースティックな質感と、どこかノスタルジーを誘うメロディラインが特徴的である。この親しみやすい音のレイヤーは、洗練された華麗さと色気を持つ彼らのパフォーマンスに親近感や共感を共存させるための絶妙なバランスを生み出している。強烈な自己主張よりも、リスナーとの親密な関係性を築くための対話を重視しているとも言えるだろう。
大数人編成のグループが隆盛を極める中で、ROIROMは二つの個性と一貫したメッセージ性を武器に、リスナーとの親密な関係性を構築しようとしている。『timelesz project』のムーブメントから生まれたROIROMと「Dear DIVA」は、次世代アイドルのあり方を占う上で、極めて重要な試金石となる一曲である。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-12-10



























