西山智樹&前田大輔が語る『タイプロ』を経た“ゼロイチ”の挑戦と展望 「全員が横並びで出発できるように」

『timelesz project -AUDITION-』(Netflix/以下、『タイプロ』)での経験を経て、西山智樹と前田大輔が新たなボーイズグループ結成プロジェクト『TAG SEARCH』を始動させた。二人が語る、自らメンバーを探しに行く“ゼロイチ”の挑戦に込めた思い、プロジェクト立ち上げの裏側、グループに託した信念、ライブ力にこだわる理由、そして目指す未来とはーー“TAG=個性”に込めた意味とともに、彼らが見据えるエンターテインメントの新たな形に迫る。【最終ページに読者プレゼントあり】
挑戦の先に見据える新たな成功モデル、“選ぶ側”が抱えるリアルな葛藤
──ボーイズグループ結成プロジェクト『TAG SEARCH』を立ち上げる際、お二人の間でどんな話し合いがあったのか、そしてそれぞれどんな気持ちでこのプロジェクトと向き合おうと考えましたか?
西山智樹(以下、西山):このプロジェクト自体は最初、自分から始まっていて。『タイプロ』終了後にホリプロからお声掛けいただきました。自分一人の状態からゼロイチでグループを作り上げるという形の提案だったんですが、まず“ゼロイチ”というところに面白さを感じてプロジェクトに賛同したんです。そして、自分一人だけではちょっと心細いという率直な思いがあったので、『タイプロ』で活動をともにした(前田)大輔に声を掛けました。
前田大輔(以下、前田):正直な話をすると、僕は最初あまり乗り気ではなかったんですけど(笑)、でもせっかく智樹が誘ってくれたし、まずはちゃんとお話を聞いてから判断しようということで一度ホリプロで話し合いをしたんです。そこで、こんなに大きな事務所でゼロからグループを立ち上げられて、しかも自分たちでメンバーを集めるというホリプロの懐の広さを含めすごく魅力を感じて、「あらためてお願いします」と参加することを決めました。
西山:このグループは自分や大輔が中心というよりは、自分たちは単にグループの個性のひとつとであり、個性豊かなメンバーが集まってそれぞれの形で戦っていけるようなグループになればなという思いで、今は向き合っています。
前田:自分たちからメンバーを探しに行くという形を取っているものの、僕や智樹が先走ってほかのメンバーを引っ張っていくのではなくて、全員が横並びで出発できるようにしたくて。各々の過去だったりそういう部分も深掘りして、どういう人たちなのかもちゃんと紹介した上で出発できるようにという思いも強いので、それをドキュメンタリーとして見せていけたらなと考えています。そういう部分も含めてあまり前例がないことでもあるので、これをきっかけに僕たちが成功すれば、今後同じようなケースが増えて、音楽業界もより盛り上がっていけるかなと……まずは僕たちが正解を導き出していかないといけない、という強い使命感を持って臨んでいます。

──特にお二人はこれまでオーディションを受ける側でしたが、今はその頃とも目線も変わっているのかなと思いますが。
西山:おっしゃっていただいたように、自分は選ばれる側という立場として、19歳から6年ぐらいずっと夢を追いかけていました。だからこそ、オーディション参加者の気持ちで仕組みを作れるところは自分たちの強みかなと思っていますし、メンタル面なども含めて配慮できるような形にしたいなとに思っています。
前田:それこそ、友達から「俺たちも参加させてくれない?」っていうお願いが届いたりするんですけど、友達関係だけで成り立つようなものでもないので、そういうときに断るのがちょっと申し訳ないという気持ちになることもあって。だって、僕や智樹もずっと受ける側だったから、その気持ちもわかるじゃないですか。だからこそ、断ることがどれだけつらいかということを今味わっていると同時に、今になってtimeleszさんの気持ちが少しわかるというか。
──ああ、なるほど。まさに今は『タイプロ』でのtimelesz側の立場なわけですものね。
前田:そうですね。このグループにちゃんと合うかどうかという部分で判断しないといけないので、選ぶ側としての心苦しさも理解できるようになりました。


改めて二人が自身と向き合った“TAG=個性”とは
──このプロジェクト名である『TAG SEARCH』ですが、“TAG=個性”というコンセプト含めてどのような流れで生まれたのですか?
前田:これは僕が提案させていただいたんですけど、洋服に付いてるタグがあるじゃないですか。どれも形も違えばフォントも違う、だけどそれ自体がブランドを象徴するものになっている。「要はそれがブランドの個性だよね」ってことで、タグを“個性”と捉えて、いろいろなタグが集まって自分たちのだけのブランドを作り上げられたらいいな、そしてそのタグを探しに行こうという意味を込めて『TAG SEARCH』と命名しました。
西山:もともとチーム名について考えていた時に、自分は大輔に「よりシンプルで、かつみんなに馴染んだ言葉を基盤として案を出していきたい」と伝えたところ、まず“TAG”という言葉が出てきて。彼の説明を聞いたら、自分の中でもすごくしっくりくるものがあったんです。自分たちの手で個性を“探す”ところを強調したいなと思い、従来のオーディション形式で個性を求めるのではなく自分たちから日本各地を探し回るというような意味合いも込めて、『TAG SEARCH』というプロジェクト名にしました。ただ、これはあくまでプロジェクト名であって、最終的なグループ名ではないんですね。というのも、メンバーが揃って初めてグループ名が決まると思っていて。そうじゃないと、さっき大輔が話した全員横並びでの出発にならないじゃないですか。なので、グループ名は一旦保留にしつつ、“TAG=個性”という要素は今後もずっと大切にしてやっていきたいなと思っています。

──そうやっていろんな個性をどんどん見極めていくことが、ひとつ重要なタイミングではありますが、それと同時にお二人も改めてご自身の個性と向き合う期間にもなっているのかなと思います。
西山:そうですね。自分はこの世界を19歳から目指し始めたんですが、歌やダンスやラップをもっと早くから始めた子が周りにたくさんいてなかなか前が見えない状態だったから、「夢に手が届く」という感覚がなかなか得られなかったんです。ただ、それでも自分の夢を叶えたいという思いだけは諦められず、今から何か突出した才能をひとつ身に付けるのではなく、すべてのスキルを均等に、平均点以上を叩き出せるよう全力で頑張ってみようと考えるようになって。そういう“ひとつに特化しない強み”は、確実に今の自分の武器だと思っています。ここまで国内外のいろんなオーディションを受けてきましたが、そうした経験を通して自分の強みは確実に自信に繋がりましたし、これこそが自分の“TAG”だと認識しています。
──ある種器用貧乏と捉えられるかもしれないけど、いざというときにどこでも戦えるオールラウンダーでもあるわけですものね。
西山:そうなんです。実際、よく器用貧乏と言われてきましたけど、逆にグループだからこそ自分みたいなタイプが光るんじゃないかと信じています。
前田:僕にとっての“TAG”は……この馬鹿みたいな真っ直ぐさかな(笑)。グループで活動するという目標のもとで走り始めて、今でもずっとその夢を叶えようと続けているので、下積みが長いぶん目標に対する貪欲さだけは誰にも負けないなと思っています。



















