2025.12.11 20:00

LET ME KNOW、確たるコンセプトと“裏切り”の新しさ　試行錯誤の先に生まれた「Law of Luv」を語る

文・取材＝小川智宏、写真＝エドソウタ、nekoze_photo、Satoki Demoto

サビのフレーズは「一瞬で『これだな』と思うものが出てきた」（Matty）

――歌詞はどんなことを思いながら書いたんですか？

Matty：そのままですね。理由を言わずにさよならをする女性がいて、その人を想って書きました。

――歌詞を書く上では実体験がベースになることが多いんですか？

Matty：実体験もありますし、その中に想像を入れてみたりとか、結構ミックスしてます。

――Mattyさんの言葉の選び方って、独特なものがあるじゃないですか。例えば「LINE」じゃなくて〈Kakao Talk〉と言うこととか、〈It's not okay〉と〈最高刑〉で韻を踏むとか、唐突に〈アロンアルファ〉という言葉が出てきたりとか。こういう言葉遣いはどんなふうに生まれてくるものなんですか？

Matty：サビのフレーズに関してはもう本当に一瞬で「これだな」と思うものが出てきて。そこが決まってから作っていきました。何かに例えて書くのが好きなので、執着みたいなものを〈アロンアルファ〉にかけてみたりとか。どうかな？　とは思ったんですけど、それが出てきた自分もいいんじゃないかなって。あまりそういう表現ってしないけど、それが頭に浮かんだんだったら歌詞に書いてみようかなっていう、あまり難しく考えてない感じですね。単純に、思った通りに書いてます。

――相当、個性的ですよね。普通ならこっちに行くよねっていうところからちょっとずらしていく感じが、歌詞でもアレンジでも、LET ME KNOWの1つのポリシーなのかなと今までの曲を聴いても思います。

Matty：ありがとうございます。

Ken_M：今回の歌詞は、まずテーマが面白いなと思いました。サビに出てくる〈重すぎ〉も〈最高刑〉と繋がっているし。

Lyo：その「面白い」という感想は、メンバーだけじゃなくて、たぶんリスナーの皆さんにも感じてもらえるところなのかなと思います。あとは最後に畳みかける部分がいいなって思いますね。自分の内側の気持ちがガーって、曲のアレンジとともに爆発していく感じがすごくいい。

――この曲に込められている想いはシリアスだったり、切ないものだったりすると思うんです。でも、それをかっこつけることなく普段着の言葉で言うのが、Mattyさんの歌詞に対する考え方なのかなと。

Matty：そうですね。自分なりのスタイルが見えてきた気がしています。とはいえ、ずっと同じスタイルでやるつもりはなくて。新しい感覚や歌詞の書き方をどんどん取り入れるようにしているので、そこは歳を取るごとに進化したいですし。でもベースの考え方とか言葉の使い方とかは、少しずつ、自分はこういうのが好きなんだろうなっていうのが見えてきた気はします。

80年代のサウンドを意識してスケールを演出

――「Law of Luv」はサウンド感も変わっていますよね。立体感が増したというか、スケールが大きくなったというか。

Ken_M：そうですね。全体的に広がりのある音を使ったのもありますし、ドラムで言ったらDuran Duranとか、80年代当時のスケールの大きなバンドのサウンドを意識したりとか。間奏のフレーズとかも、ギター単体では歪んではいるんですけど、シンセとかもレイヤーしてより奥行きのある音作りにしたりしていきました。あとは今まで意外と入れていなかったんですけど、80年代のストリングスマシンのサウンドも入れたりして。音をたくさん重ねたので、壮大になってますね。

――それこそDuran Duranなんて、ドラマティックなサウンドを鳴らすバンドじゃないですか。この曲もまさにそういうものになっていて、曲が進むごとにどんどんドラマティックに、壮大になっていくんですけど、そのわりには最後、意外とスッと終わるなと思って。

Ken_M：ああ、確かに。

――そこも面白いですよね。

Ken_M：そうですね。今回に関しては最後になって初めて出てくるセクションもありますし、そのままジャーンって投げたような感じになったら気持ちいいなと思ったので、歌とともに終わっていく形にしましたね。

――最後の歌詞も、今まで散々いろいろ言ってきたけど、いきなり本音丸出しになる感じがありますよね。そういう歌詞も含めて、何で終わるのが一番最適かって考えた結果なんですね。

Ken_M：そう。もちろんアウトロをつけようと思えばつけれるんですけど、この曲はそこじゃないなって思ったんで。

――それが効果的だなと思います。アレンジにおけるアイデアや挑戦はありますけど、最終的にはMattyさんの歌が中心にあるっていうことなんですね。

Ken_M：それはもう大前提ですね。今回は歌の音階も特殊なところがあったので、ギターやシンセのフレーズの選定も難しかったし、いいなって思ったものでも歌とぶつかる瞬間が多かったので、そこは苦労したポイントでもあります。

海外で急速に広がるLET ME KNOWの音楽

――そして、12月にはソウル、1月には東京でのワンマンライブも控えていますけど、特に韓国は追加公演も決まったということで。そうやってLET ME KNOWの音楽が海外で聴かれているということについてはどんなふうに感じますか？

Matty：とてもありがたいです。ただ、意外と「日本以外に届け！」みたいな意識はないんですよね。

――そうなんですか。

Matty：もちろん届いてほしいですけど、結果的に届けばいいなと思っているので。聴いてもらってる事実は嬉しいですし、もっと広まってほしいなと思いますけど、あくまで自分たちが今作りたいものを作って、結果的にそれが広まればいいなと思います。

――まあでも、いろいろなところに行けたほうが楽しいですもんね。

Matty：それは正直そうですね！

Lyo：韓国のライブでは、ファンの皆さんがスローガンを掲げてくれるんですけど、だいたい新曲に紐づいたワードをサプライズで出してくれるんです。最初に見たときはこういう文化があるんだって知らなくてすごく感動しましたし、2回目、3回目からはどんな言葉が書いてあるんだろうって楽しみになりました。そういったことが毎回の思い出になっているんじゃないかなと思います。

Ken_M：今のところ、日本以外だったら韓国で一番聴いていただいてるんですけど、不思議な感覚です。Lyoはちょっと韓国語を勉強してるし、Mattyもちょっとわかりますけど、僕はまったくわからないので。言語が通じない方に届くのは不思議ですね。ストリーミングが普及しているので、当たり前といえば当たり前かもしれないけど。ありがたいです。

――品川プリンスホテルステラボールでの東京公演も楽しみにしています。どんなライブにしたいですか？

Lyo：今回『LET ME KNOW ONEMAN LIVE - SCENE_2526 -』というタイトルで、メインビジュアルもモノクロの少し抽象的なものなっているんですが、今回は前回のツアーをさらに洗練させたステージにしたいなと思っています。前回のツアーではLEDや照明などの演出をプロの方にお任せしていた部分も多かったのですが、その経験を踏まえて、最終的には自分たち自身の手でライブを作り上げるべきだと強く感じるようになりました。だから今回は演出や照明にも主体的に関わって、ライブそのものの世界観をより濃く、しっかりと形にしていきたいと思っています。

――ライブでの演出やビジュアルも含めて、トータルでLET ME KNOWをプレゼンテーションしていきたいと。

Lyo：そうですね。活動していくごとに、どんどん高くなってきているなというのは感じます。ステラボールは演出もかなりできる会場だと思いますので、そういったことはしっかり体現していきたいです。

――来年はどんな1年にしていきたいですか？

Lyo：そうですね……アルバムツアーをやりたいですね。

Matty：来年はもっと曲が広まると思います。僕は結構、自信ありますね。ここでこう言っておくことで、自分でも「言ったからにはやるぞ！」ってなると思うし。でも本当に自信があって、来年はもっとたくさんの人に音楽が広がると信じています。

Ken_M：うん。必ず、多くの人に聴いてもらえる年にしたいですね。やっぱりそこが一番大きいというか、そこがまずないと、もっと大きい会場でやりたいとか、こういうMVを撮りたいとか、やりたいことができないので。それを現実的に叶えていくためにも、軸となる音楽をいろいろな人に聴いてもらわないと。そこが第一目標ですね。