米米CLUB、シリアスなことも笑いで吹き飛ばしてきた40年 カールスモーキー石井&BONが追求するライブの美学
無理難題を実現してきた40年ーー「大変だと思っていたら、やってられません」
ーー「THE FIRST TAKE」は480万回を越える再生数という大反響でしたね。
石井：ありがたいことに。海外の人もたくさん聴いてくれているみたいで、すごくうれしいです。
ーーエゴサとかするんですか？
石井：正直見たくないです。良い意見も悪い意見も。良い意見ばかり見ると鼻が尖っちゃうし、悪い意見ばかりだとゲッソリする。なら見ないほうがいい。そもそも見方がわからない。勝手に盛り上がってくれるのが1番良いよね。ファンたちだけで盛り上がるのが1番で、そこに本人が入っていったら遠慮して言いたいことも言えなくなる。良いも悪いもファン同士でやってくれたほうが、米米の魅力は伝わると思うし。
ーーそのファンたちの投票によるベスト盤『愛米 ～FANtachy selection～』からの、「ファンタチーメドレー」も聴き応え満点でした。
石井：「米米って、こんなに名曲がいっぱいあったんだ！」っていうのを知らしめたかったし、最初はもっと一部のファンしか知らないような曲も並んでいたけど、それは全部消してしまったんです。案の定、初めて来た人が多かったし。どこかで聴いたことがあるという曲、大体知ってるだろうという曲を並べたんですね。そうしたらキラキラしたものになりました。
ーーそのメドレーの前には「ファンタチーのテーマ」という新曲も。
石井：それも今回のために作りました。何かテーマソングみたいなものがあったほうが、コーナーとしてわかりやすいかなと思って。
BON：最後の最後にできたんです。本当にギリギリ。ゲネプロのときだったかな。
石井：ラッパのフレーズまで俺が口で歌って伝えて。「こう吹いてくれない？」って。
BON：もうツアー行くぞ！っていう寸前なのに。
石井：みんな「え〜！」って言いながら、慌てて五線譜に書き写してた。第二部は、BIG HORNS BEEの「星空のバンド・ワゴン」とかシュークリームシュの「Lollipop」も選曲して、みんなの見せ場を作って、できるだけ今までの米米のショーアップされた部分を崩さないように作りました。観た人が「懐かしい！」「これだよ米米は！」って。そういうのを意識しながら作りました。
ーー今後についてはどんな風に考えていますか？
石井：やりたいときにまたやります。何年おきにやるとか、アイデアもないのにやるって決めてやるのは、米米らしくないなって。自分たちの体力的なものもあるし。ムリにやるバンドじゃねえなっていうのはあります。だから今回も40周年だからってことでもなく、「任俠」という面白そうなテーマがあったからであって。だから45周年でなくても、来年とかでも、これを米米でやったら面白そうだなというアイデアが出ればやるかもしれないし。
BON：そういうアイデアは全部てっぺいちゃん発信なんだけど、僕らもいつも「次は何が出るのかな」って、ファンの皆さんと同じように楽しみにしているんです。僕らメンバーも集まってワッてやるのが好きだけど、テーマがなかったら、単なる烏合の衆になっちゃう。こればっかりはどうしようもなくて。だから全体感をてっぺいちゃんが、クールに見てくれているのは助かってます。
石井：メンバーそれぞれの性格や今まで作り上げてきた関係性とか、付き合いが長い分わかってるから、それをあまり崩さないようには意識している。そういうバランスも大事だから。ドラムのRYO-Jは頑固だとか、ジョプリン得能はいい加減だとか（笑）。それぞれのキャラクター性をパズルして、上手く落とし込めるものが見つかればやるし。でもあくまでもリーダーはBONで、俺はどちらかと言うと池に石を投げる役。
ーー波紋を広げる役割りと。
石井：そうそう。その波紋にみんなが揺れてるなと思ったら、「じゃあいっちょやってみようか」と。
ーーBONさんは、40年リーダーとして大変だったことは？
BON：大変だと思っていたら、やってられませんよ。逆にいつも面白がってます。てっぺいちゃんの無理難題を。今回だって「任俠」というテーマの波紋に始まり、「第一部は知らない曲だけでまったくウケなくていい」と言うてっぺいちゃんと、「知らない曲ばかりやるのはちょっとどうかと思う」という僕らとの戦いがあったんです。でも「シーンとするライブをやってみたいんだ」って、本気で言うんですよ！
石井：でも第一部の新曲は、歌詞の内容だったりすごく計算しているんですよ。会場の大きさもあるから、わかりやすいメロディを意識したし。あと、任俠というちょっと強面の世界観で、やってることは実にバカバカしいというギャップ。そういうギャップの面白さでやって来たバンドであることはメンバーも自負しているから、ギャップ感があると一気に一丸となれる。そうやってメンバーも納得できたときの米米CLUBは、すごく強いですよ。
BON：ただ第一部の最後が「御利益」という曲だったんですけど、それが決まったのはツアー中ですから。ツアー中、どんどん曲が変わって行くんです。ぴあアリーナMMまで、同じセットリストだった日は1日もない。全公演違うんですよ。
石井：いいんです！ 放送されるところだけちゃんとしていれば（笑）。人前で何かを発表するときって、実際にやってみないとどうなるかわからないことのほうが多いじゃないですか。だからやってみてウケなければ、ツアー中であろうとどんどん削ったり変えたりして行くんです。
BON：ツアー中、ライブが終わるたびみんな戦々恐々として。LINEがくると、「どうした！」「てっぺいちゃんがまた何か言ってるのか！」って。「ちょっと相談なんだけど」っていう一文で、「曲が変わるのか」「どうするんだ！」って。
石井：それもある意味、いい緊張感です。
BON：ああ、そうかもしれない。
石井：やっぱり大きくなればなるほど、最初に決めたことをちゃんとやらなきゃいけないっていう、その達成感だけを追い求めるようになりがちで。でもそれじゃダメなんです。俺が持っている“米米感”はそうじゃない。アメーバみたいにつねに動いていて、お客さんにどうやったら食い込んでいけるか、とにかくサービスしまくって「こっちおいでおいで」ってやって、来たら来たでけんもほろろで帰すという（笑）。
ーーじゃあまとめると、40年やって来た秘訣は緊張感と。
BON：まさしく！
石井：そんな急にできることじゃないことは、俺もわかって言ってるんです。でもそれをやれちゃうのが米米CLUBだと思うし、そこは自信がある。「米米CLUBならやれる」っていう。そのギリギリのラインをぜひ観てください。
■番組情報
米米CLUB『米米大興行 人情紙吹雪 ～踊ってやっておくんなさい～』
12月21日（日） 午後8：00
WOWOWライブで放送・WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後～2週間のアーカイブ配信あり
米米CLUB、祝デビュー40 周年！「浪漫飛行」「君がいるだけで」など代表曲連打で、ファンへの感謝を“米”た集大成のライブパフォーマンスを全曲ノーカットでお届け。
収録日：2025年10月19日
収録場所：神奈川 ぴあアリーナMM
詳細：https://www.wowow.co.jp/detail/204790
