ONE N' ONLYが掴んだ輝き、光り続ける決意 ツアー『LUMINA』の先に5人は何を見たのか――ファイナル公演を振り返る

ONE N' ONLY、ツアー『LUMINA』レポ

 9月から始まったONE N' ONLYのライブツアー『ONE N' ONLY LIVE TOUR 2025 「LUMINA」』。「これまでSWAG(ファンの呼称)が支えてくれたぶん、今度は自分たちがSWAGの背中を押したい」という思いを込めて作られたツアーであり、自分たちにとってSWAGは光である。そしてSWAGにとっては自分たちが光でありたい――そんなSWAGへの思いを強く宿したツアーとなった。

 今回のツアーで、宮城・仙台サンプラザホール、東京・東京国際フォーラム ホールA、大阪・大阪国際会議場(グランキューブ大阪)、福岡・福岡サンパレス、愛知・愛知県芸術劇場 大ホールと各地のホールをまわってきた彼らが、ファイナルでたどり着いたのは神奈川・ぴあアリーナMM。グループとして初の単独アリーナ公演だ。ぴあアリーナMM公演の3日前にはニューアルバム『AMAZONIA』がリリースされ、さらには客席を彩るペンライトには新たに制御機能が搭載され、ホールツアーからパワーアップしたライブが届けられた。本稿では、ツアーファイナルとなった11月30日公演の模様をレポートする。

ONE N' ONLY

 場内のBGMが「BLAST」になるとSWAGのペンライトが点灯し、少しずつ開演へ向けての気持ちが高まる。暗転すると、「BLAST」のMVを思わせるような砂漠を舞台にしたオープニングムービーが流れた。場内には「BLAST」のイントロが高らかに響き渡る。するとステージ上空から、「BLAST」MVと同じく食卓を囲んだ5人が、ゆっくりと登場。さっそく大掛かりな演出で度肝を抜く。なお、これはぴあアリーナMM公演だけの演出。HAYATOが「ブチ上がっていこうぜ!」と声をあげると、5人は余裕綽々に〈登り詰めるTop〉〈誰にも追いつけない/世界を君に見せたい〉と強気な言葉を、威勢のいいボーカルとラップで歌い繋いでいく。食卓がステージまで降りてくると、楽曲後半にはステージで力強いダンスも見せた。〈歓声がEvidence〉とのリリック通り、SWAGの大きな歓声や、客席を埋め尽くすペンライトの光を力に、ONE N' ONLYらしさを1曲目からフルスロットル。次に始まったのは、『AMAZONIA』収録曲「FUEGO」。アルバム曲のなかでも人気が高い楽曲だといい、このアリーナ公演でセットリストに追加された。スペイン語で“火”や“炎”を意味するこの曲を、5人はメンバー同士で抱き寄せる仕草を見せたり、背中合わせで歌ったりと情熱的に届けていった。

ONE N' ONLY

 HAYATOが「今日は魂で感じていこうぜ!」と煽ってから始まったロックナンバー「Burn it out」では、REIがボーカルにアレンジを加えたり、NAOYAとTETTAがおでこを突き合わせて歌ったりと、5人も魂のパフォーマンスで奮い立たせる。熱気に満ちた5人は、SWAGと熱を交歓するように花道からセンターステージへ進み、「Hook Up」でさらにバイブスを上げていった。NAOYAが「今日もかわいいよ」との声で沸かせた「TALKIN'」で、それまでの闘志に満ちていた表情を緩めた5人は、『AMAZONIA』収録の夏曲「イタズラSummer」でタオルを回して音を楽しんでいた。

HAYATO
HAYATO

 MCになると、「ヤバいね」「気持ちいい!」とぴあアリーナMMに立った感想を一斉に話し出す5人。というのも、『DayDay. SUPER LIVE 2025』でこの会場に立った際、「いつかは単独で」と気持ちを抱いた念願のステージなのだという。前日も含めて2公演ともにソールドアウトという理想の形でこの地での単独公演開催が叶った喜びを噛み締めるように、SWAGの声を何度も聞いたり、SWAGと乾杯したりとコミュニケーションを取っていく。今回のツアー恒例となった「今日の写真コーナー」あらため「ファイナルの写真コーナー」では、客席に誰もいない状態でのステージからの景色を収めた写真が。「リハしてる時はこんなに寂しいんだよ」とHAYATOが補足し、ステージからの景色を見せてくれる――のかと思いきや、写真をアップにしてみると、客席でハートを作るHAYATOとREIの姿が。さらにREIがHAYATOにヘッドロックをかけている写真も見せて、SWAGを喜ばせた。そんな話をしている最中、HAYATOがステージであぐらをかいていると、「ステージであぐらかくなよ〜」と言いながら、メンバーが次々にHAYATOの元に集まるという仲のよさも見せるところも彼ららしい。

TETTA
TETTA

 TETTAが指揮をとり、SWAGをNAOYA・EIKUチームと、HAYATO・REIチームに分かれてコーラスの大きさを競う“Ey-yey対決”を行い、SWAGの準備も整ったところで(なお、対決の結果は引き分け)ライブを再開。練習の甲斐あって、客席からは大きなコールが響き渡った「Gooey」、「EVOL」で再び場内を熱気で満たした。

 ラテン語で“光”を意味する『LUMINA』を、最も視覚的にも表現したのはこのMCのあと。砂漠でメンバーが頭上の光へと手を伸ばす映像を挟み、場内が暗くなると、ステージに向けて5つの青い光が差し込む。暗闇のなかで5人の姿だけが浮かび上がる中、静寂を切り裂くようにTETTAが〈光り the light/追いかけて/手に入れるまで/進むだけ〉と歌い始める。「The Light」だ。メンバーはひときわ美しい歌声で歌い繋ぎ、間奏では光を操っているようなダンスも見せる。SWAGのペンライトが点灯すると同時に〈強くなる輝き〉と歌い始める演出もニクい。曲が終わり、メンバーが光を集めていた破片を捨て去ると、〈散らばった無数のパズル集め/君の声が 僕の夢に 繋がってるだろう〉と歌う「Reflection」へ連なるセットリストにも感服した。

ONE N' ONLY

EIKU
EIKU

 張り詰めた空気を変えるように、トロピカルな「RIDE」で肩の力を抜いたかと思えば、息を多く含んだボーカルが場内を色っぽく染めた「L.O.C.A」、美しいハイトーンボイスで魅了した「We Just Don't Care」と、ダンスとボーカル/ラップのスキルでも魅せていく。

 荒廃した宮殿のなかに立ちすくむ5人の映像が映し出され、場内に警告音と雷鳴が鳴り響く。すると、そんな息苦しい空間から抜け出そうとばかりに、HAYATOが「Open!」とがなり、「OPEN」へ。TETTA、REI、EIKU、NAOYAの4人がセンターステージに現れ、そこにHAYATOが合流すると、猛々しいパフォーマンスが展開される。さらに、NAOYAが「もっと感じさせろよ」と煽ってから始まった「YOUNG BLOOD」、和楽器によるイントロに乗せ、EIKUが「Hello SWAG! もっと楽しませろよ」と誘惑した「Turn it up」と、5人もさらにハイに、そして『LUMINA』の世界はさらにドープになっていく。最も深くその世界へと潜ったのが「BOOM BASH」。イントロの息継ぎにあわせて、ビジョンにモノクロのメンバーの姿が映し出され、5人は溢れんばかりの熱量をたたえながらもしなやかなパフォーマンスで、爆発寸前の状態を見事に表現した。そして、解き放たれたONE N' ONLYとSWAGは「DOMINO」「Fiesta」で再びブチ上がる。「Fiesta」では、EIKUが迫力あるソロダンスを見せ、ファイアーボールやレーザーを使ったド派手な演出も手伝い、会場はお祭り騒ぎとなった。

NAOYA
NAOYA

ONE N' ONLY

 砂漠に立つ5人が向き合う映像を挟み、ステージに鎮座していた大きなビジョンが上がり、白を貴重にカラフルな色があしらわれたジャケットスタイルの5人がゆっくりと姿を見せる。そして、今回のツアーのテーマソングであり、メンバー5人が作詞を手がけたバラード「LUMINA」をビジョンに映し出されるTETTAの手書きの歌詞とともに丁寧に歌い繋いでいく。〈今度は僕が光となる〉とTETTAが歌い上げたあと、場内の光と音が全て消え、SWAGの持つペンライトが会場の後方から点灯していく。光がステージまで届いた瞬間、5人が声を合わせて歌唱。ONE N’ ONLYの5人がSWAGを明るい未来へと牽引していくのだと言わんばかりの演出に心を打たれるなか、最後にビジョンに映し出されたEIKUの目からは一筋の涙がこぼれ落ちていった。

ONE N' ONLY

ONE N' ONLY

 アンコールは「HOLIDAY」から。HAYATOがTETTAを抱き抱えて登場すると、そのままステージの真ん中で、HAYATO、TETTA、REIがじゃれ合い、同時にセットの上に立ったNAOYAとEIKUもじゃれ合う。その姿に大いに沸いたSWAGは、楽しさを伝えようと大きなコールで盛り上げた。曲中には、NAOYAから「SWAGへの気持ち」とのお題が出され、「愛してる」「宇宙一愛してる」(EIKU)、「いっつも大好き」「忘れない」(REI)、「本当にかわいい」「もう愛おしいよ〜」(NAOYA)、「食べちゃいたい」「抱きしめたい」(HAYATO)、「一生離さない」「マジで愛してる」(TETTA)と、5人は溢れんばかりの思いを叫ぶ。さらに、センターステージに進んだTETTAが客席のペンライトの色を操る“魔法”を使うなど、自由なONE N' ONLYらしさ全開のステージとなった。歌い終えると、ツアーの終わりが近づいていることに気づいた5人は「帰りたくない」「終わりたくない」と名残惜しむ。かと思えば、突然EIKUが「水がうめえ!」と言い出し、REIが「今のタイミングでした?」とツッコむなど、ここでも個性が爆発していた。

REI

REI
REI

 賑やかなトークを繰り広げたあと、HAYATOがあらためて今回のツアータイトルおよびテーマソングの名前でもある“LUMINA”について、「いろんな光があると思うんですけど、僕らにとっていちばんの光はSWAG一人ひとりの存在なんです。少しずつステップアップしていって、SWAGがどんどんSWAGが増えていって。それは今ここにいる全員のパワーがあってこそ。今日の『LUMINA』、本当に感動しました」と振り返る。「生きていたら、ツラいことも悲しいこともたくさんあると思うんですけど、少しでもみんなの背中を押して、一緒にいろんな目標を叶えていけたらなと思います。俺らとSWAGならなんでもできるし、可能性は無限大だと思っています。俺らとSWAGで証明しようぜ」と咆哮し、「Zero to One」へ。場内に大きなシンガロングとオレンジ色が広がるなか、5人は優しい表情で客席を見つめる。SWAGの歌声を全身に受け止めた5人は、センターステージで向き合って円陣を組むと、ぎゅっとひとつになり〈最高の自分を きっと証明しよう〉と力強く誓った。そして最後は「My Love」で愛でいっぱいに。ステージに戻る時間が足りなくなってしまうほどセンターステージや花道でSWAGに手を振ったり、笑顔を交歓したりし、最後は走ってメインステージに戻り5人でハートマークを作った。

NAOYA
NAOYA

 すべてを終えると5人は万感の思いを口にしていく。今年5月に行われた武道館公演で「殻を破ることができた」と話していたNAOYAは、「今回の『LUMINA』ツアーを通して、自分のことがすごく好きになれました。それはここにいるSWAG、今日こられなかったSWAG、中継を観てくれるSWAG、あなた方一人ひとりのおかげです。それによって僕はめちゃくちゃ自分にも自信が持てるようになりましたし、このグループにいてよかったなって思うことが増えました。ぜひこれからも僕たちONE N' ONLYと一緒に夢を見続けましょう」と今ツアーで自身が変化したと語る。「会いにきてくれてありがとうございます」という一言目を噛んでしまうというチャーミングな姿を見せたEIKUは、「メンバーのことが大好きです。SWAGのことも大好きです。今日初めてきた方も、ずっと応援してくれている方も、中継のみんなも、愛を届けてくれて感謝しかない。僕は口下手なので、歌に乗せて思いを届けることしかできないけど、これからもみんなのことを応援したいし、僕らのことをずっと応援してほしい」と素直に話し、「僕らはドームに向かって走り続けるし、絶対に(ドームのステージに)立つので。何年経っても、何十年経っても、死ぬまで応援してください」と強い思いを言葉にして続けた。TETTAは「みんなの顔を見てると、胸がぎゅっとなって、本当に愛おしいなって思います」とSWAGへ愛を向ける。そして、今回のツアー前にメンバー同士でお互いの好きなところを10個ずつを書き出し、それぞれに渡したのだと明かし、メンバーの顔を見て「こいつらと一緒にステージに立てていることが嬉しいし、誇らしい」と涙を溢れさせながら語る。ほかのメンバーも思わず涙を拭っていた。

EIKU
EIKU

 「こんなに感情を引き出されるのはSWAGのおかげ」とSWAGへの思いを口にしたREIは、続けて「日頃はあんまり言えないんですけど、あの……メンバーのみんなには本当に感謝してます」と切り出し、最近個人仕事でメンバーに会う機会が減っていたといい「(ONE N' ONLYに)帰ってくると、先生(TETTA)が笑わせてくれたり、EIKUちゃんが黙々と筋トレしていたり、HAYATOくんが僕にさんざんカマチョされたり、それを見てナオくん(NAOYA)がゲラゲラ笑いながら、たまに『ONE PIECE』の話もして」と一人ひとりへあたたかな眼差しを向ける。そして、「本当にいいメンバーなんですよ。今日思ったんですけど……まだまだいけるね。ONE N' ONLYに無限の可能性を感じました」と思いを寄せた。ほかのメンバーの言葉に胸を熱くしていたHAYATOは、「今回のツアータイトルが『LUMINA』でよかったなって思います」と切り出し、「僕らONE N' ONLYとSWAGの関係性って、すごく奇跡だと思うんですよね。僕らにとってはみんながすべてで、誰にもいなくなってほしくないし、みんなの輝いてる笑顔をずっと守り抜いていかなきゃいけないなってあらためて感じました。みんなとこうして巡り会えたこと、本当に感謝しています。応援してくれて、出会ってくれて本当にありがとう」とSWAGへの思いを重ねていく。さらにメンバーに目をやると「マジでお前ら大好き!」と照れながらも気持ちを伝えた。もはやプロポーズのような大きな愛を伝えた彼らは、まだ足りないとばかりに「みんなの顔を見に行こう!」とステージの端まで進んでSWAGと目を合わせ、その道中も感謝の言葉を続け、光にあふれた『LUMINA』ツアーを感涙と愛で締めくくった。

 公演後には、2026年に初のアリーナツアーを開催することを発表したONE N' ONLY。そのツアータイトルは、“地獄”や“烈火”を意味する『INFERNO』。今回のツアーで光を探す旅に出て、SWAGという揺るぎない光を見つけた彼らは、その光を力にさらに燃え上がりそうだ。

ONE N' ONLY

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