『アイカツ!×プリパラ』でも話題の『プリティーシリーズ』、15周年を迎えた“音楽の軌跡”を辿る

「ハッピーチューニング」「プリティー×アクティビティ」……大事な新曲の魅力とは?

 そして、今年10月には『アイカツプリパラ』が公開。同作のために制作されたテーマソングとEDテーマは、『アイカツ!』『プリパラ』それぞれの作家がクロスオーバーする形で生み出された。

 『プリパラ』側から参加したクリエイターは、松井と本多友紀、そして酒井拓也。松井は『プリパラ』から『アイプリ』に至るまで、数多の楽曲の作詞を担当しており、その中には『キラッとプリ☆チャン』までのシリーズを繋ぐ「プリマ☆ドンナ?メモリアル!」や「ワッチャ!プリーズ!マジック! -What's your "Please" Magic?-」など、重要楽曲も多い。一方で本多と酒井、そして彼らが所属するArte Refactもまた、『プリパラ』で初めてシリーズに携わり、前述のとおり各シーズンのクライマックスを飾る楽曲を多数担当。シリーズの中で大きな役割を果たしてきた。『ひみつのアイプリ』でも作品の大事な場面を担う「We're The World」を手掛けている。

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 そんな彼らが『アイカツ!』楽曲を手掛けてきたクリエイターとタッグを組んで生み出した新曲のひとつが、物語の重要なシーンで歌われるテーマソング「ハッピーチューニング」。本多が作曲を担当しており、クライマックスで用いられる楽曲ならではのエモーショナルさと、エレキギターのキャッチーなリフが“『プリパラ』らしさ”を放つ。輝きに溢れた楽曲世界の中で、サビに一瞬差し込まれる泣きのコードも、観客の涙腺を刺激する要素だろう。もちろん、そこに至るには編曲を担当した中野領太の力も大きいはず。

 彼が作編曲を手掛けたホロライブ公式曲「Shiny Smily Story」などでも感じられる、サウンドのきらめきとエモーショナルさを増幅させるサウンドメイクを遺憾なく発揮している。そこに『アイカツ!』らしさをプラスしたのが、こだまさおりによる歌詞だ。過度に“キャラソン”ではないものの、キャラクター同士の関係性や作中のシーンに的確にリンクする絶妙な塩梅の言葉たちが、この曲の完成度を限界突破させた。

 そして松井が作詞を、酒井が編曲を担当したのがEDテーマ「プリティー×アクティビティ」。2つの世界を掛け合わせたド直球なタイトルに、セリフのように語り掛け合うような歌詞は、情景を浮かび上がらせ、まさに“松井洋平節”が炸裂している。中でもたまらないパンチラインが、〈カードには憧れを乗せて/チケットには夢を乗せて〉というフレーズ。アイドルを題材にした両作品が描き出す微妙な違いを、端的ながらも的確に表現する会心の一節だ。

 一方サウンド面では、この曲とともに流れるED映像のテイストもあってか、こちらはやや『アイカツ!』の要素が濃い。作中でも披露された「lucky train!」や、『アイカツ!』ファンから根強い人気のある「カレンダーガール」を彷彿とさせるディスコチューンに仕上がっており、作曲を務めた石濱翔がそのニーズをしっかり汲み取り、詰め込んでいることがわかる。そこに重ねられたシンセストリングスは、酒井のアレンジによるものだろうか。爽やかで少しジンとくる、そんな『プリパラ』ED曲らしさが上手く融合し、こちらもまた『アイカツプリパラ』ならではの曲として完成をみた。

 夢のコラボを経てもなお、『プリティーシリーズ』の歩みは止まらない。これからもシリーズと出会った新たなクリエイターたちが、また違った輝きをもたらしてくれることだろう。そして、我々も色とりどりのプリズムのような輝きの中から“ハピラキ!”をもたらす楽曲に、きっと出会えるはずだ。

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