『アイカツ!×プリパラ』でも話題の『プリティーシリーズ』、15周年を迎えた“音楽の軌跡”を辿る
アミューズメントゲーム『プリティーリズム・ミニスカート』が稼働から15周年を迎え、現在は最新作『ひみつのアイプリ』が展開中の『プリティーシリーズ』。当初から音楽面での展開も盛んで、アニメ『プリパラ』(テレビ東京系/以下、シリーズの放送局はすべて同局)が放送開始となった2014年にライブイベント『プリパラフェスタ in クリスマス』と『プリパラ&プリティーリズム クリスマス☆パーティー』が開催されたのを皮切りに、毎年末には大型ライブも恒例化。今年も11月29日に『プリティーシリーズ Crossing Live 2025』として開催される。さらに今年10月には、『プリパラ』と『アイカツ!』あかりGenerationの10周年を記念した劇場アニメ『アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-』(以下、『アイカツプリパラ』)』も公開。その新曲群にも注目が集まっている。
そこで、本稿では『プリティーシリーズ』の音楽の歴史をおさらいし、その上で『アイカツプリパラ』の新曲2曲を解説したいと思う。
Prizmmy☆の登場、『アイプリ』までの15年の歩み
まず、シリーズ第一作である『プリティーリズム』での大きなトピックとして挙げられるのは、ガールズユニット・Prizmmy☆の登場と、彼女たちに楽曲を提供するmichitomoの存在だろう。『プリティーリズム·オーロラドリーム』第4クールで初めてEDテーマを担当したPrizmmy☆は、続く『プリティーリズム·ディアマイフューチャー』ではメインキャラクターのモデルにもなり、解散まで『プリパラ』も含めシリーズにおいて数々のOPテーマとEDテーマを担当。そんな彼女たちに「my Transform」や「Body Rock」(ともに『ディアマイフューチャー』EDテーマ)などのダンスチューンを提供し、クールな魅力を引き出したのが音楽プロデューサーであり作曲家のmichitomoだ。彼もまたPrizmmy☆の解散まで多数の楽曲提供を行ったほか、『アイドルタイムプリパラ』以降はキャラソンも担当。『ひみつのアイプリ』に至るまで、ダンスミュージックを主軸に各作品に携わり続ける重要人物だ。
『プリティーリズム·レインボーライブ』からのスピンオフ作『KING OF PRISM』シリーズの楽曲も見逃せない。物語の中心を担うユニット・SePTENTRIONの楽曲では“プリズムスタァ候補生”らしくフレッシュかつきらめき溢れる楽曲が多数を占める一方で、ソロの楽曲においては個々の魅力がフィーチャーされており、メンバーごとの個性を存分に味わうことができる。
同様に、楽曲を通じてキャラクターの魅力がよりフィーチャーされる傾向が加速したのが、続く『プリパラ』期だ。参加するクリエイターも一気に増え、『プリパラ』のアイドルたちの溢れんばかりの個性を十二分に引き出していった印象がある。特に、『プリパラ』シリーズの劇伴も手掛けた石塚玲依は、麗しいショーを思わせる「純・アモーレ・愛」やメタル調の「愛ドルを取り戻せ!」などの楽曲を通じてアイドルの可能性を広げることに成功。
さらに、三重野瞳が作詞し、音楽チーム・Arte Refact所属の原田篤が作曲、桑原聖が編曲を手掛けた「Love friend style」などのライブ曲は各シーズン最終クールのクライマックスを飾り、視聴者を幾度となく感動の渦に巻き込んだ。その中で醸成された“『プリパラ』らしさ”は、後述する『アイカツプリパラ』の主題歌の中でも確固たる輝きを放つこととなる。
作中の設定に沿って4バージョンが制作された「かりすま〜とGIRL☆Yeah!」や、対になる2つのソロ曲が組み合わさることでひとつの曲となる「リンリン♪がぁらふぁらんど」など斬新なアプローチから生まれた楽曲も多く、特に後者の要素は『キラッとプリ☆チャン』のシーズン3でも同様のプロセスを経て「Awakening Light」が誕生するなど、後のシリーズにも引き継がれていった。
『キラッとプリ☆チャン』では「レディー・アクション!」をはじめ、再びmichitomoの提供が増加したり、栗原暁を中心にJazzin'parkが参加したことでダンスチューンも充実。特にシーズン1の初期には久保田真悟を含めたJazzin' parkの2人が手掛けた「SUPER CUTIE SUPER GIRL」は、キュートさとキャッチーさを兼ね備えた名作だ。また、前述したArte Refactのクリエイター陣も引き続き参加し、特に矢鴇つかさは「COMETIC SILHOUETTE」や「Awakening Light」といった重要楽曲を多数担当した。加えて、ここでも石塚が楽曲を手掛け、ミュージカルのような華やかさを持つ「寝ても覚めてもDREAMIN' GIRL」を生んだり、浅利進吾が作中ユニット·GOGO!MASCOTSの愛らしさを引き出すキュートな楽曲を一手に引き受けたりと、楽曲のバラエティはさらに豊かになっていく。
続く『ワッチャプリマジ!』では、TeddyLoidの参加が大きなトピックのひとつだろう。彼は第1期EDテーマ「Magical Future」や作中ライブ曲「Starlight!」を提供し、シリーズに新たな風を吹き込む。新風という意味では、シンガーソングライターとしても活動するSUIMMINが、御芽河あうる(CV:藤寺美徳)に関わるダンスチューン2曲に携わっているのも注目だ。そういった新たな顔ぶれに加え、“プリマジスタ”6人の集合曲「ワッチャ!プリーズ!マジック! -What's your "Please" Magic?-」を松井洋平が作詞するなど、重要なタイミングで長年シリーズとともに歩み続けているクリエイターが楽曲を手がけたのも特徴である。
そして最新作『ひみつのアイプリ』は、シリーズが積み重ねてきた長所を上手く組み合わせて活かす作品に。キャラクターやユニットごとの特性を引き出し、W主人公による第1期でのW主人公のそれぞれのソロ1曲目である「P.O.P.P.Y」と「シークレット・ドリーム」はいずれもトレンドを踏まえたダンスミュージックに仕上がった。また、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』での“2曲が1曲になる”ものとは逆に、1曲の中で2面性を表す「GIRA GIRA STAR」が生まれるなど、意表を突く表現が生まれたのも面白いところ。加えてOGAWA RYOやmekakushe、nozomi*らニューカマーの参加による化学反応も起こしつつ、やはり要所ではmichitomoや松井といったシリーズの色を担ってきたクリエイターを起用。この両輪が上手く回っている状況は、コンテンツにとって理想的な状態であるように思う。





















