V6という宝箱は何度も開けて眺めたい 「over」「出せない手紙」「way of life」……胸に沁み入る“珠玉のバラード”

「way of life」(2007年)
2007年12月にリリースされたシングル『way of life』は「20th Century Version」「Coming Century Version」など全7Ver.を特典CD(初回生産限定盤B)に盛り込んだ力作。1曲でこれほどのバージョンを楽しむことができるのも、挑戦を続けてきたV6らしさを感じさせる。
この頃といえば、岡田が俳優業に力を入れ、メンバーやファンの間では“反抗期”と呼ばれていたタイミングでもある。本作は岡田が主演したドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)の主題歌であり、格闘技を本格的にスタートしたこともあり、当時の彼の鋭さや緊張感を映し出していた。
それでも、アイドルである誇りを見失うことなく、日本を代表する俳優として愛される存在になることができたのは、「way of life」のMVでがっしりと手を繋ぐ6人の姿にあるのかもしれないと思えてくる。時を経て、当時どんな話し合いがされていたのかが少しずつ明かされる。それもまた、V6の“これから“の楽しみ方だ。
人間、長く付き合えば、目の前の人と想いがすれ違ったり、自分のやろうとしていることと周囲の状況が噛み合わないなんていう時期もあるものだ。それぞれが一生懸命になればなおさら、お互いの正しさで衝突することも。そんな人生における“雨の日“を超えて、いつか晴れる日をともに迎えたいと願う。そんなときに、この曲が沁みてくる。
「僕らは まだ」(2021年)
2021年、最後のシングルに収録されたのが「僕らは まだ」だ。まるで長年住み慣れた家から新境地へと旅立つときのような希望もありながら、別れの寂しさと少しの不安が同居している雰囲気が胸をつまらせる。それは、彼らが長年守り続けてきた「V6としての日々」を、そっと宝箱にしまうような心境だったのかもしれない。
MVでは、6人それぞれの“今”を残すように、ひとりずつアップで映し出される。その眼差しが、愛しく、丁寧で、見る者の涙腺を静かに刺激する。なかでも〈走り出した あの日の少年は/心のピースを探していく〉というフレーズが胸に響く。V6は、多くのファンとともに青春を駆け抜けながら、どんな大人になっていくのかを模索し、ときに衝突しながら、それぞれの未来を掴んできた。それでも彼らは歌う、〈僕らはまだ 未完成さ〉と。
それは、表現者としてこれからも歩み続ける6人の覚悟の言葉だ。V6は家族よりも家族のような存在であり、たとえ今は隣にいなくても、その絆は変わらず、寄り添い続けるということ。6人で集めてきた「V6」という宝物のような日々を、6人そろって大切に収めることができた。だからこそ、その宝箱を何度でも開けて眺めたくなる。それが、今回のサブスク解禁で叶うというのは本当に嬉しい。
もちろん、今回紹介した楽曲はほんの一部にすぎない。ぜひ、これを読んだあなたにとって、「これこそが私の宝物」と呼べるV6の1曲をつぶやいてほしい。そこから始まるV6とのタイムトラベルを一緒に楽しもうではないか。

























