wapiti、新曲「もののけ」で切り拓く新時代のポップス 解放と希望の歌――織田龍紀のボーカルが放つ強さ

10月24日に配信リリースされたwapitiのメジャー2ndデジタルシングル「もののけ」。力強いハスキーな歌声と流麗なピアノを軸にしつつ、スリリングなバンドサウンドが聴き手の心を鷲掴みにする「もののけ」は、昨今のJ-POPシーンのメインストリームに真っ向から勝負をかけるような一曲であり、これが耳の早いリスナーから絶賛されるのも頷けるものがある。
wapitiは2023年7月に東京で結成された、織田龍紀(Vo)、工藤健介(Dr)、吉村瑠莉(Pf)、ハーマン・チャン(Vn)から成る4人組バンド。優美なメロディ、心に沁み入る歌声、情感溢れる歌詞で結成直後から注目を集め、昨年1月にリリースされたアルバム『Theatrical』の収録曲「僕は愛を知らない」はストリーミング総累計再生数が約1,200万回を突破。今年8月には「ロックスター」でメジャーデビューを果たし、10月にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催された初のワンマンライブ『wapiti live 2025 -The First-』はチケットが即完するなど、短期間で急成長を遂げている。
そんな上り調子の彼らにとって、今回の「もののけ」はバンドの楽曲の幅広い振り幅が垣間見える意欲作と言えるもので、メンバーの織田はこの楽曲の制作に際し「ライブ曲にしたいと思ってたんです。みんなが熱狂できる楽曲はあるんですけど、この雰囲気の楽曲はないなと。メッセージ云々の前にライブでの立ち位置を意識して曲を作りましたね」と語っている(※1)。事実、この曲で聴ける工藤によるダイナミックで骨太なビートはライブを熱狂させるに十分なものがあり、その上に吉村が奏でる滑らかで艶やか、それでいて豪快なピアノ、音の隙間を埋めるでもなく、それでいて楽曲全体を覆うように響き渡るハーマンのバイオリンが「もののけ」の世界観を色鮮やかに演出。キャッチーさのなかに不穏さを滲ませたメロディを、持ち前のアンサンブル力で見事に盛り立てることに成功している。サビには誰もがシンガロングできるシンプルなフレーズも用意されており、先日のワンマンライブでも披露されていたが、初見のオーディエンスもこのノリやすいサウンドに身を任せて、すぐに一体感を作り上げることができそうだ。
そして、〈Unleash your inner beast〉(お前の内なる獣を解き放て)という呟きに続いて〈住み着いた現代病/被らせられた化けの皮/見せる外面を継ぎ接ぎ/うまく笑えてたかい?〉と歌われる歌詞で表現されているのは、まわりを気にして本当の自分を出せずに苦しむ、現代を生きる人たちへ向けたポジティブなメッセージ。織田は「本当は言いたいんだけど言えないことがあったっていう経験が、自分のなかで大きく残っていて。『これ言っておけばよかったな』『ちゃんと自分らしさを見せれられればよかったな』『ちょっとネガを語っちゃったな』って。その経験がきっかけになったのかもしれない」と歌詞を書くきっかけについて語っており、そうした思いが先の冒頭のフレーズや〈まるで獣(ビースト)が唸るような/剥き出す声 轟かせろ/見かけばかりの強さはいらない〉といった前向きなフレーズに込められているのだろう。
そうした外側に向けたメッセージが並ぶ一方で、〈曖昧だった君と/相思相愛でいたい/相対してた君と/愛に憎を消去したい〉や〈淡い期待が痛いよ/でも生きる意味を感じていたい〉といったフレーズには織田個人の想いやアイデンティティが溢れ出している。織田自身も「潜在意識としては自分だけじゃない人へ発信する感覚で書いていたとは思うんです。でも、自分の個人的な感情を曲のどこかに散りばめないと、むしろ人は共感できないよなって」「ライブでは、自分と向き合いながら歌う時があるんですけど、この部分はまさに、無意識的にそうなってましたね」(※2)と述べており、こうした個人の主張や願望が織り交ぜられているからこそ聴き手一人ひとりと直接対話しているような感覚が得られるのではないだろうか。と同時に、〈住み着いた現代病〉から始まる冒頭のフレーズがエンディング付近で再び登場する際には〈足並みを揃えてできた/マメはもう潰れた〉という一節が付け加えられており、物語の主人公の心が動き、フラストレーションから解放され始めたことも窺える。こうした織田の作詞家としてのセンスを堪能できるのも、「もののけ」の注目ポイントと言える。
そんな歌詞を歌う織田の歌声も非常に耳触りがよくも、一度耳にしたら忘れられない鮮烈な個性を持っている。適度なスモーキーさと繊細さを併せ持ち、聴き手のど真ん中にまっすぐ響くその歌声の存在感は、現在のヒットチャートを賑わせるロックバンドのボーカリストとの共通点も多く、なぜ彼らの楽曲が多くのリスナーの心を掴んで離さないのか納得がいくものがある。
そういう意味では、彼のボーカルも技巧派なプレイヤー陣と同様にwapitiの突出した持ち味のひとつとして、彼らの楽曲群を彩ることに絶対的に欠かせない要素だ。特に「もののけ」のようなドライブ感の強い楽曲では、織田の歌声は単にメッセージを伝えるだけにとどまらず、クセの強い楽器隊とバトルしているような感覚も味わえる。そうした点にもぜひ注目して聴いてほしい。
今後のwapitiのライブにおいて間違いなくアンセムになるであろう「もののけ」だが、これだけ魅力的な楽曲なのだから、ストリーミングやSNSを通じてもさらに拡散されていくはずだ。そして、2026年3月から4月に控える初のライブツアーを通じてオーディエンスの想いや熱が加わることで、「もののけ」はさらに進化を遂げることになることだろう。
※1:https://x.com/wapiti_official/status/1981646867181223985
※2:https://x.com/wapiti_official/status/1982009235303997918
■リリース情報
メジャー2ndデジタルシングル『もののけ』
配信中
配信中:https://lnk.to/wapiti_MONONOKE
■ツアー情報
『wapiti Live Tour 2026』
2026年3月27日(金)大阪・梅田Shangri-La
OPEN 18:00/START 18:30
2026年4月3日(金)愛知・ell. FITS ALL
OPEN 18:00/START 18:30
2026年4月5日(日)東京・Veats Shibuya
OPEN 17:00/START 17:30
2026年4月18日(土)台湾・CornerHouse
OPEN 18:30/START 19:00
<チケット>3,900 円(ドリンク代別)
オフィシャル先行受付:〜11月2日(日)23時59分まで
https://w.pia.jp/t/wapiti26-of/
オフィシャルサイト:https://wapiti-official.com/
X(旧Twitter):https://x.com/wapiti_official
Instagram:https://www.instagram.com/wapiti.official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@wapiti.official
YouTube:https://www.youtube.com/@wapiti_official

























