DOES、『銀魂』との出会いが運んだバンドの転機 「修羅」からブレない曲作りの美学

DOES、「修羅」制作秘話

 2007年にリリースされたDOESの4枚目シングル『修羅』が、バンドのメジャーデビュー20周年を来年に控え、初の7インチシングルとしてリイシューされた。アナログの音の質感はDOESにぴったりだし、聴けば聴くほどすげえ曲だなあと思わされる、最高の7インチである。「修羅」はTVアニメ『銀魂』のエンディングテーマとして初のオリコントップ10入り、DOESの名前を一躍世に知らしめるきっかけとなった。彼らにとっては初のタイアップであり、その後長く続く『銀魂』とのコラボレーションの始まりともなったこの曲の誕生の背景、そしてそこから現在まで至るDOESの物語を、氏原ワタル(Vo/Gt)、赤塚ヤスシ(Ba)、森田ケーサク(Dr)に聞いた。(小川智宏)

「『銀魂』のために作ったわけじゃない」ーー「修羅」誕生秘話

DOES

ーー「修羅」のアナログ盤、聴かせていただきました。最高ですね。

氏原ワタル(以下、氏原):古い音でね。古き良きロックというか。DOESはアナログ(レコード)、似合うんですよ。前にアルバムのアナログを出したことあるんだけど、事務所のボスがアナログ好きなんで「出すぞ」っつって、「絶対売れませんよ」って俺は言いました(笑)。

ーー(笑)。

氏原:僕はアナログ好きなんで。バンドでデビューする前、福岡にいたときはお金がなかったんで……CDだと3000円するアルバムが、アナログだと1500円、半額で買えるっていう、それだけの理由でアナログをめっちゃ持ってたんですよ。だから出せるの? ラッキーって感じだったけど。

ーーむしろ今のほうがアナログは売れるかもしれないですね。

氏原:そうそう。今ですよね。僕らは早すぎるんですよ、いつも。10年くらい早かった。

ーー今回「修羅」を7インチで出すっていうのは、どういう経緯だったんですか?

氏原:それはもう、レコード会社の方が「どうしても出したい」と言ってくれたんです。来年、僕らがデビュー20周年になるんですけど、アニメの『銀魂』も20周年。これはめでてえぞ、と、ピンときたんでしょうね。それで急に連絡が入って、「出しましょう、最高やないですか」と。

ーーいい話ですね。

氏原:「修羅」は恵比寿の、世界に8台くらいしかないオールドNEVE(プリアンプ)があるスタジオで録ったんじゃなかったかな。アナログでズコッと録ったんで、音が太いんですよ。テープで録って、ProToolsに入れてちょこっと編集してんのかな。すごくシンプルに録ってるはずです。

ーー今回アナログ化にあたってリマスタリングもしているんですか?

氏原:リマスターしました。で、カッティングから立ち会わせてもらって。初めて観て、すっげえ!って興奮しましたね。「本当に刻むんだ」みたいな。

ーー『修羅』がリリースされたのが2007年で、DOESがデビューした翌年でした。当時『銀魂』のエンディングでこのゴリゴリのロックンロールが流れてきて衝撃を受けたのを覚えています。

氏原:僕ら、最初は『銀魂』のことをよく知らずに作ったんですよ。アニメは好きなんですけど、大学を卒業してからのほぼ10年間、20代のほぼすべて、福岡でバンドをやっていたんですけど、その頃はテレビも観ないし、もちろんアニメからも遠ざかって、全然ジャンプも読んでなかったから、知らないんですよね。その代わり、Velvet Undergroundとか、Pixiesとか、アホみたいにディグって。「ディグる」って言葉もなかったような頃だけど、掘って掘ってめちゃくちゃマニアックな音楽を聴いてたんです。デビューするつもりも特になかったし。デビューしても「俺たちデビューしたよね!」みたいなーー。

赤塚ヤスシ(以下、赤塚):「広い世界に来たよね!」みたいなの、まったくなかった。

森田ケーサク(以下、森田):アホだったよね。

赤塚:なんでデビューしたのっていう感じ。

氏原:急に当時のキューンの社長の中山(道彦)さんとベイスの社長の能野(哲彦)さんが福岡まで観に来てくれて。で、「出てこいや」って言われて。「どこにですか?」「東京だよ」って。でもお金ないですよって言ったら、「お金はお前らが稼ぐんだよ」って言うから、「はあ、じゃあ行きます」って(笑)。

DOES

ーー(笑)。

氏原:で、「どう?」ってメンバーに聞いたら「いいよ」って。いいんだ、と思って(笑)。

森田:まあ、福岡にいてもこの後、何かあるわけでもねえしって。

氏原:福岡で焼き鳥を焼いてただけだからな。ヤス(赤塚)も当時はバンドをほぼ辞めてたし。そのヤスの復帰ライブの一発目に社長が来たんだよ。で、あれよあれよと2006年にデビューさせてもらって。そしたら、こういうアニメがありますって、『銀魂』にそこで初めて出会った。で、原作を読むわけですよ。これはギャグ漫画なのかな、アクションなのかな? 侍? 宇宙? わかりません(笑)。でも読み進めていくと「おもしろいかも、これ」って思い始めた。なんか、他と違うなみたいな。

ーー自分たちの曲がそのエンディングになるということについてはどう感じました?

氏原:僕はブルーハーツが大好きなんですけど、どうして好きになったかというと、小学校4年生の頃に1年間ぐらいハブられていた時期がありまして。苦しい小学校生活を送ったんです。その時に救ってくれたのが、テレビから流れてきたブルーハーツのロックだったので、同じようなことが僕もテレビでできるんじゃないかなと思って。それで引き受けたわけですよね。その時作ってたのがたまたま「修羅」だったんですよ。だから『銀魂』のために作ったわけじゃない。めっちゃ勘違いされるんですけど、名前も「修羅」だし。

ーーそうですね。和風な感じが『銀魂』っぽい。

氏原:じつはまったく違っていて。事務所に行く四谷三丁目の駅で思いつきました。

森田:曲を?

氏原:曲を。

赤塚:タイアップの話も何もない時にこれを出してきたんです。思い出した。

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