乃木坂46 池田瑛紗、奥田いろは、冨里奈央、中西アルノ……5期生が示す“個”の力 ジャンルを超えて広がる可能性

 乃木坂46の5期生が今、新しい時代の中心にいる。グループとしての活動にとどまらず、音楽、芸術、舞台、映像といった幅広いフィールドで、それぞれが確かな足跡を刻み始めた。これまで乃木坂46が築いてきた“清廉な美しさ”というブランドを受け継ぎながら、今求められているのは“個”の力だ。その変化を最も鮮やかに示しているのが、5期生の存在である。

中西アルノ

 その筆頭に挙げられるのが、中西アルノだ。ゴスペラーズ 黒沢薫とともに音楽番組『Spicy Sessions』(TBSチャンネル1)のMCを務め、さまざまなアーティストとジャンルを超えたセッションを重ねている。直近では、番組内でセントチヒロ・チッチ(CENT)とともにPUFFY「愛のしるし」やBiSH「スパーク」を披露し、さらには乃木坂46の「ネーブルオレンジ」をソロで歌唱。黒沢のコーラスに支えられ堂々と歌い上げた姿は印象的だった。

 
 
 
 
 
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 乃木坂46の中でも、中西の歌声は特異な存在感を放っている。彼女の声には透明感と深みが同居し、繊細な情感を保ちながらも芯が強い。その歌い方は、音をなぞるのではなく、言葉の奥にある感情を丁寧にすくい取るようだ。ともに番組MCを務める黒沢は、中西の歌に対して「音程感とかニュアンスって別に言うことがあまりないんです」(※1)と言及していたほど。彼女の歌声は、アイドルとしての“上手さ”を超え、シンガーとしての確かな表現力、そして説得力を宿しているのだ。また、黒沢からは「バンドと一緒に音を作ること」「サビでの歌い方」といった、より高度な表現面でのアドバイスを受けていたようで、中西は本番ですぐに対応して見せたという。澄んだ声の奥に光る柔軟な対応力と感性の鋭さが、乃木坂46の音楽に新たな深みを与えている。

池田瑛紗

 現役の東京藝術大学生として活動を続ける池田瑛紗も、5期生を語るうえで欠かせない存在だ。11月には初の個展『Wings:あひるの夢』を開催予定で、展示のテーマは自身の乃木坂46のブログ。ファンとのやり取りを“日常の記録”としてではなく、“作品”として形にするというユニークな試みだ。彼女はそのテキストを絵画や立体、映像へと再構築し、芸術の言葉で語ろうとしている。日々のブログを素材として扱うという試みは、自己表現にとどまらず、“アイドルとして生きる自分”をひとつの作品として見つめ直す行為でもあるだろう。

 この発想は、どこかアカデミックでありながら、とても“今”らしい。アイドルという存在を少し遠ざかった視点から見つめ、その姿をアイドルである自身の手で描き直す。池田は、そんなアーティストとしての側面を持っているのだ。乃木坂46が大切にしてきた“知性”と“品格”を、彼女は新しい感性で更新しているとも言えるだろう。彼女は、今後も新しい可能性をグループにもたらしてくれるのではないかと期待している。

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