ExWHYZ、“アゲのスイッチ”全開なパーティチューンに込めた覚悟 DONGROSSOと掴んだ新しい可能性とは

メンバー脱退を経て、昨年4人体制で新たなスタートを切ったExWHYZ。7月にリリースされたシングル『iD』、そして8月にLINE CUBE SHIBUYAで開催された3周年のアニバーサリーライブ『Our Step→Future』を経て、現在新たなツアー『ExWHYZ TOUR 2025 'Wide Open'』に挑んでいる彼女たちの新曲「DON'T CRY」は、それまでのExWHYZとは違う解放的な空気をまとった、最高にアッパーなパーティチューンだ。さまざまな出来事を乗り越え、その先で〈さあ、ここからアゲの時間です〉と宣言するこの曲は、新たな形でギアを上げて走り出したExWHYZからマスター(ファンの総称)へのメッセージであり、グループを取り巻くすべての人から彼女たちへのエールでもある。
今回プロデュースを手掛けたのは、大沢伸一とどんぐりずによるユニット=DONGROSSO。彼らはサウンドプロデュースだけでなくExWHYZの4人と一緒に歌唱にも参加して楽曲を盛り上げているが、その誰でも一緒になって楽しめるムードこそが、この曲の、そして今のExWHYZの真骨頂だ。yu-kiとmahoに今のポジティブなモードを語ってもらった。事前にDONGROSSOへのメールインタビュー(本記事末尾に掲載)も行ったため、そちらも合わせて楽しんでほしい。(小川智宏)
新体制として駆け抜けてきた1年を振り返る
――この1年はExWHYZにとっては激動の日々でした。去年4人体制になって以降、どんな気持ちでここまで進んできましたか?
yu-ki:やるしかないっていう気持ちですね。心が揺らいだりとかもしたんですけど、もうこうなったからには、今いるメンバーで続けていくために「やってやるしかないな」っていう気持ちで走ってきてます。
maho:形が違ったらやっぱり作れる雰囲気も変わってくるので、この体制になってからは新たなスタートっていう感じではあって。だから、あとは本当にやっていく中でゆっくり作っていくしかないなって。焦っても仕方ないなっていうのは思ってたし、時間は必要だったと思うんですけど、1年かけて一つひとつやってきて、今はツアーも楽しめてやれてるなっていう感じです。続けていくことでしかないなって。

――8月に3周年のワンマンライブをLINE CUBE SHIBUYAで行いましたけど、あのライブでもExWHYZをやっていることを4人が楽しめているんだなというのが伝わってきました。
yu-ki:はい、楽しかったです。初期の頃からの曲をやったり、セトリにもこだわったライブだったんですけど、曲を披露するたびにリリースした当時の気持ちがすごく蘇ってきて。いろいろなことがあった中で、その日足を運んでくれたみんなと過ごせていることがすごく嬉しいなって純粋に思えたし、自分自身もその日、前だけを向いて立っていられたのがすごくよかったです。
maho:あの規模でワンマンライブをすることがすごく久しぶりでしたけど、衣装を2回も着替えさせてもらったり、演出もいろいろしてくださって、これまでみんなで作ってきたライブの雰囲気をあの会場で一番に感じられたことがよかったなって思います。
yu-ki:「STAY WITH Me」で、演出の大喜多正毅監督が「マスターのみんなが今まで撮ってくれたライブ写真を募集して後ろに出そう」って提案をしてくださったんです。だから、曲中も後ろを振り返るたびにみんなが撮ってくれた写真が映し出されてて、「ああ、こんなときもあったな」と思いました。どの写真もみんないい顔してて、やっぱりマスターに囲まれてライブをしてるときの私たちって本当に楽しんでできているんだなって、今までマスターと積み重ねてきた時間をすごく感じました。

――でもあのライブを観て思ったのは、もちろん3年間を振り返るという側面もありつつ、後半はもうその先の未来へと突き進んでいくようなものになっていて。『Our Step→Future』というタイトル通りのものになりました。
yu-ki:このライブをするにあたって、振り返ってばかりじゃなくて、これからに期待してワクワクしてもらえるようなライブにしたいねっていう話は、みんなで共通の意識として話してたので。それが観た方に伝わっていたなら、すごく嬉しいことだなって思います。
――そこに「iD」みたいな曲があったのもすごくよかったなと思って。ExWHYZの新たなスタートを告げる曲ですが、改めてあの曲は皆さんにとってどういう存在ですか?
yu-ki:あの曲は、強気になれますね(笑)。歌ってて強気になれるし、なんか気合いが入る曲だなって思います。メンバー全員で作詞に携わったし、そういう曲を「これからやっていくぜ」っていう意思表明として出せてよかったです。
maho:作詞を全員でしたっていうのもあって、全編通してずっと強い(笑)。1人で書くとしたら抑揚とかを結構考えるんですけど、全員が“100”を出すから、全編抜け目なくパンチしてる感じがすごくあるなって。「始めたらもう最後まで行け!」みたいな勢いが、1stシングルとして、あのタイミングでやる意味だったのかなと思います。LINE CUBEのときはツアーで披露して何回目かだったんですけど、これからまたどんどん変わっていくというか、育っていくのかなっていう可能性を感じています。
「DON'T CRY」のユニークな制作 「クリエイティブな発想に触れられた」(yu-ki)
――そしてその次に来るのが「DON'T CRY」という新曲であるという振り幅も最高です。「iD」があったからこれをやれたっていうのもあると思うし、3周年でああいうライブができたからこそ今これを出すことの意味もあるなと。最初に聴いたときはぶっ飛んでて思わず笑っちゃったんですけど、お二人は楽曲を受け取ってどんなことを感じましたか?
yu-ki:もう、聴いた瞬間にライブで盛り上がることが想像できたので、みんなに届けるのがずっと楽しみで。大沢伸一さんには今までも曲を作っていただいていたんですけど、ライブで共演したときに「マスターのみんながまだ行けるっていうことがわかった」とおっしゃっていて(笑)。そこからできてきたのがこの曲だったので、マスターに対して可能性を感じてくださっているのがすごく嬉しかったです。ライブでも披露したんですけど、みんなで一緒になって、本当に何も考えずにできる、バカになれる曲なので、初めて来た人も絶対にこれは楽しめるなと思って。今やっている『Wide Open』ツアーで発表できて、すごくいいタイミングだなと思いますね。

――今回は大沢さんとどんぐりずによるユニット=DONGROSSOによるプロデュースですけど、彼らも遊んでいるというか、ふざけているというか、リミッターを外している感じがありますよね。
maho:だから、私は曲を聴いたとき「どうなるの!?」って思ったんです(笑)。ライブも想像つかないし、どうなるんだろうって正直思っちゃった。
――今までやってないタイプの曲ですもんね。
maho:そう。怖いとかじゃなくて、謎っていうか(笑)。だからこそ楽しみでした。
――悲しい曲なのか、楽しい曲なのかがわからないというか、全部混ざってるじゃないですか。シリアスなところもあるし、でもバカみたいに騒いでるところもあるし、そこをジェットコースターみたいに行ったり来たりする情緒不安定さがありますよね。
yu-ki:今回、DONGROSSOの3人と一緒にレコーディングする前に、メンバーとスタッフさんでプリプロをして歌割りを決めていたんですよ。それでレコーディングに挑んだんですけど、当日に大沢さんが「これ、1曲通して全員で歌う?」って言って、プリプロが全部なかったことになったんです(笑)。で、当日に上のパートと下のパートで、2人ずつに分かれてやろう、みたいな。そういうのは初めてだったし、「じゃあ次は全員でブースに入って歌おう」って言われて、それぞれ1本ずつマイクを準備していただいて録ったりとかもして。そうやってレコーディング当日に楽しみながら曲を作るっていう、クリエイティブな発想や感覚にも直接触れられて、私たちもすごく楽しんでできたなって思います。
maho:フレーズも特徴的ですし、たぶんみんなが歌いたくなる曲じゃないですか。全員で歌うというのはそう思ってもらうための一番いい手段だなと思いました。
――大沢さんもきっと予定調和を崩したかったんでしょうね。今回DONGROSSOのお三方には事前にメールインタビューに答えていただいたんですけど、そこでも「何かを真面目に伝えるという行為そのものを、いったん手放してみようと思った」と書かれていて、なるほどなって思ったんですよ。確かに、ExWHYZは基本的に真面目なグループだから、あえて逆に振ることによって殻を破るという意図や想いが彼らにもあったし、もっと言えば今のExWHYZに必要なことだったんだろうなと。しかもそれを皆さん自身が楽しめたというのはすごくいいですよね。
yu-ki:私は結構緊張しちゃったりもするんですよ。だからこの曲を1人でやることになったら、たぶん今出ているほどのものは録れなかっただろうなって。だからそういう提案をしてくださって緊張がほぐれたというか、そこもわかってやってくださったのかなと思って。すごく優しさを感じますね。
maho:私は基本的にいつもリラックスして、楽しんでめちゃくちゃやってるタイプではあるんですけど、今回はさらに解けてできたっていう感じですね。やっぱり、こういう曲のテンションって、1人だけで(レコーディング)ブースの中にいて、自分ができてると思っていても、たぶんもうちょっとやり過ぎなくらいやらないと声に乗らないと思うんです。でも4人いて、なんとなくみんなの温度がわかると、もう一段上に行ける。そういう意図があったんだろうなって。

――しかも大沢さんという、ExWHYZの始まりを知っている人だからこそ、こういうやり方をすることがいい効果を生むだろうっていう確信があったんだと思います。皆さんとしてもこの曲をやることで新たなスイッチが入った感じはあるんじゃないですか?
yu-ki:こういう曲もできるんだっていう振り幅がまたさらに広がったというか、新しい見せ方を今このタイミングで出せるのが楽しいです。今まではmikinaちゃんが低いところを歌ってたんですけど、この曲では初めて私も下パートをやっていて、このレコーディングを通して低いパートで声量を出す大変さとか、改めてメンバーをリスペクトできる部分も見つけられて。すごくいい体験をしたなって思いました。
maho:あと、mayuちゃんが意外と一番ノリノリだったのがおもしろかった。〈ハイビスカス〉っていうパートとかをすごく気に入ってて、かわいいなあというか(笑)、意外というか。この曲の、いろいろあるけどいったん楽しんで吐き出すというか、全力でバッとする瞬間の感覚って必要だなと思うんです。またいろんなことに向き合うためにも、この一瞬を思いっきりバカになって楽しむっていう感覚をこの曲が教えてくれたので、これからライブでやるのが楽しみです。
――「DON'T CRY」という曲名ですけど、じつは曲の中では結構泣いてるんですよね。
yu-ki:はい(笑)。
maho:〈泣いていいんじゃない?〉と言ってますからね。
――大沢さんってどちらかというとクールな曲を作る印象が強いけど、こういう曲も作るんだなというのは意外でした。
yu-ki:それもDONGROSSOだからこそ生まれた曲なのかなって思いましたね。



















