ExWHYZは壁を乗り越えるたびタフに進化する 4人の“声”で存在証明を刻んだ初シングル『iD』

ExWHYZ、存在証明刻んだ初シングル『iD』

 ExWHYZが昨年のEP『Sweet & Sour』以来1年ぶり、そして意外にもCDシングルとしては初となる新作『iD』を7月30日にリリースした。これはExWHYZにとって新たな始まりであり、グループとしての不屈の精神を高々と掲げる、今一度の“闘争宣言”である。ExWHYZは止まらない。全4曲の収録曲たちは、どれもが今の彼女たちの内側にみなぎるエネルギーを存分に見せつけてくる。聴いているとその力強さに、あるいは開放的なムードに、こちらまでわくわくしてくる。

「SHOWTIME」は激動の日々から生まれた“意思表明”

 2024年はExWHYZにとって文字通り激動の1年だった。ツアー中だった6月にmayuが体調不良で活動を休止。同じく活動休止中だったmidorikoも含め、6人のメンバー中2人を欠くという体制での活動を余儀なくされるなか、彼女たちはツアーを走り切った。しかし、その後もExWHYZには試練と言っていい状況が立て続けに起きた。8月にmidoriko、さらに10月にはnowと、メンバーの脱退が相次いだのだ。nowのキャラクターやパフォーマンスがグループにおいて果たしていた役割は言うまでもないし、ExWHYZ始動以降なかなかコンスタントに活動できなかったmidorikoの存在も、メンバーにとってとても大きなものだった。唐突に訪れた大変化に、戸惑ったマスター(ファンの総称)も多かったに違いない。

 だが、正直言うと、グループとしてのExWHYZの未来については、筆者はあまり心配していなかった。もちろん心の揺れ動きはあっただろうが、少なくともステージに立つ彼女たちの姿は何が起きても常に前向きで貪欲だったからだ。2022年のスタートから早3年、ExWHYZは音楽的にもパフォーマンス面でも常に新しい挑戦を続けながら必死に自分たちの形を築き上げてきた。前身であるEMPiREで培ってきたものを、まったく新しいグループであるExWHYZとしてどう昇華していくのか、その上でExWHYZのアイデンティティをいかに確立していくのか。マスターとの強い絆を育みながら、彼女たちはその手で道を切り拓いてきたのだ。それは彼女たちがこれまでリリースしてきた作品を振り返ればわかる。作品を重ねるほどに、サウンドのスタイルやジャンルではない、もっと生身のグルーヴやリズムという意味での“ExWHYZらしさ”が形作られてきたことが、その軌跡からはっきりと伝わるだろう。つまり、ExWHYZとは最初から、目の前の壁を全力で乗り越えることで成長し、タフになってきたグループなのである。

 昨年11月のYouTube Liveでの配信ライブを経て、12月からのツアー『HOPE』でmayuが復帰。ExWHYZは4人体制で本格的なスタートを切った。12月27日にZepp DiverCity(TOKYO)で行われたツアーファイナルを筆者も観たが、6人で紡いできた歴史にきちんと愛と感謝を伝えつつ、4人でその先に突っ走っていこうという、強い意思に貫かれたライブだった。その最後に披露された新曲「SHOWTIME」のパワフルな響きは、今思えば彼女たちからの明確な意思表示だったと思う。ハードなギターが轟くロックなサウンドに乗せて歌われる〈Show Time 毎回 新世界/目が回るくらい/Show Time ヤメられない〉というフレーズ。変化と挑戦を楽しんでやろうという気概はExWHYZをここまで突き動かしてきたものであり、それを改めて見据えて次なる一歩を大股で踏み出すような心意気を、この曲(と曲中に披露されたmahoのロンダート)に感じたのだ。

ExWHYZ / SHOWTIME【TOUR2024 'HOPE' Final at Zepp DiverCity 20241227】

「iD」「イマジン」「goodbye」……歌詞から溢れ出る未来を見つめる姿勢

 そして、その「SHOWTIME」も収録する形で、初のシングル作品『iD』が完成した。オープニングを飾るのは先行して配信もされたタイトルトラック「iD」。生々しいグルーヴと鮮烈なアタック感がずしんと響くエレクトロなトラックはExWHYZでたびたびタッグを組んできた80KIDZによるもの。トップラインを手掛けたのはEMPiRE時代から参加しているクリエイターのひとりであるoni。ドラムを叩いているのは昨年の『Futura Free』ツアー追加公演『Reinforce』にも参加した堀正輝だ。スケールとパワーを感じさせる大迫力のサウンドに乗るリリックには、こちらもExWHYZとは関係の深い岡嶋かな多とメンバー自身がクレジットされている。グループの現状も、だからこそ前を向いていくという思いも、とてもストレートに綴られている。特に2回繰り返される〈うちらピンチの数が マジで半端ない/正直 I'm tired but retire デキナイ/Get back? Never, we go front/ただもう gotta go ガラクタだって〉というパートには思わず唸ってしまった。だって、まさにそのとおり。これこそExWHYZなのだ。これが真正面から歌えるということは、〈正真正銘 This is our way 想いも背負って〉進んでいく未来に対して、4人が確かな手応えを感じていることの証だろう。4つの声がそれぞれに個性を発揮しつつ、最後のサビで合流していくところの逞しさが、今のExWHYZの「iD=存在証明」だ。

ExWHYZ / 𝐢𝐃【Music Video】

 配信リリースに際してメンバーがそれぞれ寄せたコメントがオフィシャルサイトにアップされているが(※1)、それを読むと彼女たちがどんな思いをもってこの曲に臨んだかが伝わってくる。「私たちの存在証明をこの曲と共にみせていきます!!」と力強く宣言するyu-ki、「ラスサビの大団円が今のわたしたちを表している気がします」と誇らしげに綴るmaho。mayuはおそらく個人的な経験も踏まえて「不安でも、焚き付けて貫いた先に何かが必ずあると信じて歌いました!」と思いを明かし、mikinaは「ずっと大事にしたい燃える心、ここに残します!」と高らかに叫んでいる。おそらくこの曲の歌詞を書き、歌う過程では、4人それぞれにさまざまなことを考え、感じてきたはずだ。その思いのすべてを燃料にして爆発するようなこの曲が生み出す上昇気流は、きっとこれからのExWHYZを支え、背中を押していくものになるに違いない。

 そのほかの収録曲も、それぞれにExWHYZのスタイルをアップデートしながら4人のExWHYZの強さを教えている。KBSNKが作詞・作曲・編曲を手がけた「イマジン」は8bit感もあるキャッチーなトラックと速いBPMに乗せて4人のボーカルが次々とリレーされていくアッパーチューン。ぐんぐん加速していくようなサウンドとは対照的に切なくこんがらがった心情を吐き出すような歌詞がとても印象的だ。だが、ここでもExWHYZは前を向く。〈でも戻れないなら/いっそ進んでく〉というラストのフレーズは、「iD」に込められたグループの意思とも共鳴して、頼もしいメッセージとして放たれている。

ExWHYZ / イマジン【Music Video】

 mahoが作詞した「goodbye」はoniがプロデュース。ハイパーなビートとギターサウンドが融合した、エモーショナルなロックチューンとなっている。タイトルが物語るとおり“別れ”をテーマにした歌詞には、どうしたって昨年ExWHYZに訪れた出来事を思い出してしまうが、そのセンチメンタルな感情を、この曲は全力で振り切っていく。ライブで大合唱が起きそうなコーラスのパートを経て辿り着く〈大事な人よ/今更でも 言いたいんだよ/「出会えてよかった」〉という最後の歌詞がとても心を打つのは、きっとここにExWHYZとマスターの物語もちゃんと重なっているからだ。

 そこに前述の「SHOWTIME」を加えた4曲で構成されるシングル『iD』。通して聴いて思うのは、4人の“声”の存在感だ。体制が変わるなかでメンバーそれぞれが背負うものも大きくなった今、彼女たちはこれまで以上の責任をもってExWHYZの屋台骨を支えている。歌に注ぎ込むものも、より大きく多彩になっているのは間違いなく、それはこの4曲を聴いただけでもはっきりと届いてくる。

 そんななか、ExWHYZは5月から2025年最初のツアーとなる『(unfinished) odds and ends』を開催してきた。ツアーは7月19日の新潟公演でファイナルとなるが、その東京公演が6月24日、新代田FEVERで行われた。終始ライブハウスらしい熱気に満ちたなかで、本作から「iD」と「SHOWTIME」も披露。序盤で繰り出され、先制パンチのようにフロアを掴んでみせた「SHOWTIME」も、ライブのクライマックスに置かれハードなダンスと力を振り絞るようなエモーショナルなボーカルで爆発的なエネルギーを放った「iD」も、彼女たちの“今”を刻みつけるような存在感を放っていた。本シングルのリリースを経て、8月2日には3周年の記念ライブ『Our Step→Future』がLINE CUBE SHIBUYAで開催される。そこではきっと、アニバーサリーの祝福感と同時に、ここから始まるExWHYZの未来を見せつけるようなライブが展開していくことだろう。もちろん観に行く。楽しみだ。

※1:https://www.exwhyz.jp/news/detail/49133

ExWHYZ『iD』ジャケット写真
ExWHYZ 1st Single『iD』

◾️リリース情報
ExWHYZ 1st Single『iD』
2025年7月30日(水)発売
CD購入:https://lnk.to/ExWHYZ_iD_ec
【初回生産限定盤】[CD+Blu-ray+PHOTOBOOK]:¥10,000(税込)
【DVD 盤】[CD+DVD]:¥5,000(税込)
【通常盤】[CD]:¥1,500税(税込)

<収録内容>
・CD(全形態共通)
01 iD
02 イマジン
03 goodbye
04 SHOWTIME

・Blu-ray収録内容(初回生産限定盤):Live Movie
『ExWHYZ YouTube Live』
2024.11.19 WOMB LIVE
xANADU
BLAZE
NOT SORRY
Obsession
Unknown Sense
メトロノーム  
Sweet & Sour
Shall We
You & Me
ANSWER
STAY WITH Me

『ExWHYZ TOUR 2024 'HOPE'』
2024.12.27 Zepp DiverCity [Tokyo]
Dresscode
NIGHT COASTER
Obsession
There’s no limits
NOT SORRY
FIRST STEP
xANADU
BLAZE
メトロノーム
教えない
ANSWER [Seiho Remix]
Our Song
Unknown Sense
Walk this way
Sweet & Sour
You & Me
Everything
STAY WITH Me
Shall We
present [ExWHYZ Ver.]
ドラマ
SHOW TIME

※初回生産限定盤のみメンバー副音声収録
Bonus Contents
教えない [for ‘HOPE’]
Thema of ‘HOPE’

・DVD収録内容(DVD盤):Live Movie
『ExWHYZ TOUR 2024 'HOPE'』
2024.12.27 Zepp DiverCity [Tokyo]

◾️ツアー情報
『ExWHYZ TOUR 2025 'Wide Open'』
9月20日(土)桜坂セントラル[沖縄] ※FC限定イベント実施予定
詳細は後日発表
9月21日(日)桜坂セントラル[沖縄]
OPEN 16:15/START 17:00
9月27日(土)横浜BAY HALL[神奈川]
OPEN 16:00/START 17:00
10月4日(土)神戸Harbor Studio[兵庫]
OPEN 16:00/START 17:00
10月5日(日)岡山YEBIS YA PRO[岡山]
OPEN 16:00/START 17:00
10月10日(金)名古屋CLUB QUATTRO[愛知]
OPEN 18:00/START 19:00
10月11日(土)LiveHouse浜松窓枠[静岡]
OPEN 16:15/START 17:00
10月13日(月祝)高松MONSTER[香川]
OPEN 16:15/START 17:00
10月24日(金)仙台Rensa[宮城]
OPEN 18:00/START 19:00
10月31日(金)福岡DRUM Be-1[福岡]
OPEN 18:15/19:00
11月15日(土)札幌PANNY LANE24[北海道]
OPEN 16:00/START 17:00
11月23日(日)HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2[栃木]
OPEN 16:15/START 17:00
11月24日(月祝)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3[埼玉]
OPEN  16:15/START 17:00
11月29日(土)長野CLUB JUNK BOX[長野]
OPEN 16:15/17:00
11月30日(日)金沢REDSUN[石川]
OPEN 17:15/START 18:00
12月20日(土)GORILLA HALL OSAKA[大阪]
OPEN 16:00/START 17:00
詳細:https://www.exwhyz.jp/news/detail/51551

ExWHYZツアー情報

ExWHYZ 公式HP

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