ExWHYZ、“始まりの場所”から動き出す新たな物語 加速する意志で未来を切り拓いた3周年記念ワンマン

「私たち、ExWHYZです」――LINE CUBE SHIBUYAにmikinaの声が響き渡る。
ここは今から3年前、前身であるEMPiREが解散し、ExWHYZの歴史が始まった場所。客席を埋め尽くしたマスター(ExWHYZファンの総称)もそれをよくわかっていて、グループの3年間の歩みを辿るオープニングムービーが終わると、大きな歓声が沸き起こる。そこに登場したyu-ki、mayu、maho、mikinaの4人は、力強いビートとともに最新の1曲である「イマジン」を歌い始めた。ExWHYZの3周年を記念したワンマンライブ『Our Step→Future』、開幕である。4人とも柔らかな表情を浮かべ、ステージを楽しんでいるのが、離れた客席から観ていても伝わってくる。

そんな現在地点から、ライブは時を巻き戻していく。スクリーンに表示されたのは「2022 NOV 2」という日付。彼女たちの1stアルバム『xYZ』のリリース日だ。「xYZ」から「D.Y.D」に繋ぐ、アルバムのオープニングを再現する展開に、マスターのボルテージもさらに上昇。あの頃とは歌割もフォーメーションも変わったが、彼女たちの掲げる「Dance your Dance」というメッセージは変わらない。4人の激しいダンスにさらに大きな歓声が巻き起こると、スクリーンには「WELCOME TO OUR SHOW」の文字が映し出された。続けて「Obsession」。「ねえ、みんなも今日楽しみにしてきたよね?」というmayuの言葉と響き渡る重低音に、LINE CUBE SHIBUYAは熱狂の坩堝と化す。そして溜めに溜めて放たれたmikinaのキラーフレーズ〈見逃さないで〉。進化し続ける楽曲が、ExWHYZの進んできた道のりを照らし出すようだ。

「『Our Step→Future』へようこそ! ここにいるみんなと会えてとっても嬉しいです!」
そう叫んだyu-kiが「いくよ!」と呼びかけると、会場中から手拍子が生まれ、パワフルなコールが鳴り渡る。「You & Me」だ。ライブはまだ序盤だが、ホールという会場の特性もあって、場内の一体感と没入感がとんでもないことになっている。さらに「WEEKEND」を挟んで「Universe」へ。マスターの歌声が4人のパフォーマンスを後押しし、最高のムードを演出していった。ここで、スクリーンの日付が今度は「2023 APR 19」を示す。2ndアルバム『xANADU』が発表された日である。mikinaが客席に「私たち、好きに踊るので、みんなも好きにしてください」と語りかけ、「xANADU」から「BLAZE」、そして「ANSWER」へ。4人の鋭く力強い歌声が会場の空気を塗り替え、LINE CUBE SHIBUYAをエモーショナルなダンスフロアへと変貌させていった。


もちろん3周年の記念ライブなので、過去を振り返るようなニュアンスもある。だが、「メトロノーム」でバックに流れた過去を振り返るような映像(そのなかには脱退したmidorikoやnowの姿もある)も、日本武道館でのパフォーマンスが鮮明に蘇る「FIRST STEP」も、懐かしさはあるが決してノスタルジックなだけではない、過去を背負いながら前へ前へと邁進する4人の姿を浮かび上がらせる。篠田ミル(yahyel)によるストリングスアレンジで生まれ変わった「Everything」では、夕焼けから星空、そして夜明けへと巡っていく映像が、ExWHYZの新たな始まりを示すようでとてもエモーショナル。思いをたっぷり込めた歌声にじっと聴き入るマスターの姿がとても印象的だった。
ここでライブは場面転換。スクリーンには「イマジン」をモチーフにしたムービーが流れる。たとえ〈True End〉じゃなくても進んでいくんだ――この曲に込められたメッセージは、そのままExWHYZというグループの姿勢を表している。それはこのアニバーサリーライブでも同じ。足跡を辿るだけではExWHYZのライブは終われない。ここからがタイトルにも掲げられている「→Future」、つまり未来に向かって突き進み続けるExWHYZの“本領”である。その幕開けを飾ったのはパワフルなロックサウンドが鳴り響く「NOT SORRY」。前半のお揃い衣装から一転、それぞれのスタイルをまとった4人が、パフォーマンスをさらに加速させていく。

問答無用でマスターを踊らせる「Unknown Sense」に、「こんなにビート強かったっけ?」と驚いた「フラチナサマー」、そしてレーザー光線が飛び交うなか披露された「Fleeting」。会場中のマスターを巻き込んで、ライブのテンションはどこまでも前のめりに上がっていった。「Sweet & Sour」では4人のダンスが繋がってひとつの生き物のように美しいフォーメーションを作り出す。実際、ExWHYZはひとつの生命体として形を変えながら成長し続けてきたグループだが、まるで演劇を観ているようだった「教えない」のコレオグラフも含め、それをまざまざと見せつけるようなパフォーマンスが次々と展開される。そして重要なのは、そうやって新しい姿をステージに刻みつける4人が、充実そのものといった表情を浮かべていることだ。のちのMCで、yu-kiは「この3年間、いろんなことがあった」と言っていたが、その道のりを噛み締めながら、今確かな手応えをもって音楽を届けている彼女たちのタフな在り方が、そんな一瞬にも垣間見える。


マスターとExWHYZを繋ぐ「Shall We」が高らかに鳴り響くと、ライブはいよいよ終盤。「ドラマ」を経て、mayuが「みんな、よかったら一緒に歌ってください」と呼びかけ、「Our Song」が始まっていく。会場を揺らす大合唱がこの3年間の正しさを証明するように鳴り響いた。歌い終え、大きな拍手が4人を包み込むなか、mikinaが話し始める。
「今日、みんなの顔を見ながら歌ってたら、いつだって自分たちは自分たちの姿と心で歌ってこれたって、心から思えた。みんなもいつだって自分たちの心で私たちと歌を合わせてくれてたんだなって実感しました。本当に大切な、大切な、3年間です」
そして、スクリーンに映し出された日付が「2022 AUG 18」。つまりExWHYZの“始まりの日”を指し示すなか、「最後に、ExWHYZの始まりの歌を歌います」と「Wanna Dance」が披露される。映し出される「EVERYTHINGS STARTS AT THE END」の文字。「すべては終わりから始まる」――まさにExWHYZの“未来の始まり”を刻むような素晴らしい幕切れだった。

アンコールで再びステージに戻ってきた4人は、口々にライブの感想を語り出す。mikinaは「『Our Song』、最高だったな」と先ほどの一体感を反芻し、「今日こうして集まってくれて、みんなの人生と私たちの人生が奇跡的に重なる時間ができたわけだけど、(中略)何日も何日も重なっていって、いつまでも続いていける『ふたり』になりましょう」とメッセージ。yu-kiは「今日みたいにみんなが待っててくれるから、私たちは今もこうやってステージに立ち続けられています」「また会ってくれますか? 約束ね!」と小指を差し出す。mayuは「何年経っても、向き合った分だけ私を受け入れてくれるライブっていう時間が一番大好きで。そんな大好きな場所で、大好きなみんなの顔を見られて本当に嬉しかったです」と笑顔で語った。

最後にmahoが「また集まりたいって思いました。何回でもそう思えるのは楽しかったからだし、それが3年間やってきた意味だなって思いました。必ずまた会いましょう!」と言うと、ExWHYZは自分たちの存在証明を刻んだ「iD」、そして「STAY WITH Me」を届けた。歌い終え、ライブがエンディングを迎えてもなかなかステージを去らず、むしろ堰を切ったように喋り出す4人。その姿が、この日彼女たちが実感したものの大きさを物語っていた。



























