HANA、許せない辛さと支え合う大切さーー「BAD LOVE」という素直な葛藤表現がもたらした変化

2nd Single「Blue Jeans」の大ヒットや各地のフェス/イベント出演などで快進撃を続けるHANAが、9月に「BAD LOVE」、10月に「My Body」と、秋に入って立て続けに新曲をリリースした。
「BAD LOVE」は、「許したいのに許せない」「忘れたいのに忘れられない」といった心の奥底に刺さった棘を歌った楽曲で、MVでも辛さや痛みをともに乗り越えようとする7人の懸命な姿が映し出されている。強さの裏にある、繊細さや弱さーー「Blue Jeans」と地続きながらも、また新たな表現で“ありのままの人間らしさ”を肯定してみせたHANAは、デビュー半年にして早くも次なる境地に突入したと言っていい。
まず今回のインタビューでは、「BAD LOVE」について深掘り。JISOOとMOMOKAが作詞に参加した想いから、メンバー一人ひとりの楽曲との向き合い方に至るまで。充実の夏を過ごしてきた7人にじっくり話を聞いた。(信太卓実)
【オリジナル動画】HANA、この秋メンバーと一緒にやりたいこと!
7人で振り返る“充実した夏の思い出”
ーーHANAの皆さんは今年の夏、たくさんのフェスや音楽特番に出演し、『HANA 1st FANMEETING「HANA with HONEYs」』で4都市をまわったり、「Blue Jeans」が女性グループとしての記録を塗り替える大ヒットをするなど、盛りだくさんのトピックがありました。この夏、最も印象的だった出来事について、お一人ずつ教えていただけますか。
JISOO:私は暑いからもともとあまり夏が好きじゃなかったんですけど(笑)、今年はHANAのみんなといろいろな国に行ったり、ファンミもやってフェスにも出られて、たくさん思い出が作れてよかったなと思っています。特に、みんなでシドニーに行けたのがすごく楽しかったです(Netflix『ウェンズデー』シーズン2のジャパンスペシャルアンバサダーに就任し、シドニーでのグローバルイベントに参加)。
MAHINA:たくさんフェスに出られたことですね。お客さんが手を挙げて、いろんな掛け声をやってくださったのを見て「うわぁ〜、夏だな!」って思いましたし、太陽ガンガンの場所で踊って汗をかいたのがすごく楽しい思い出でした。
CHIKA:WANIMAさんが大好きなので、『1CHANCE FESTIVAL』に出させてもらえたことがめっちゃ幸せでした。気温も一番暑くて、「ROSE」の最初で私とKOHARUが地面に膝をつけるんですけど、同じタイミングで「あちっ!」って膝を浮かせてました(笑)。

YURI:私は『サマソニ』(『SUMMER SONIC』)です。去年はちゃんみなさんのステージをみんなで観に行ったし、『サマソニ』は映像でもよく観ていたので、夏のフェスと言えば私にとっては『サマソニ』で。いまだに出られたという実感があまり湧かないほど、すごく光栄でした。もっと大きなステージに立てるようになれたらいいなと思います。
KOHARU:私は短期間でこんなにたくさん飛行機に乗ったことが印象的でした。フライトの時にいつも空の写真をいっぱい撮っちゃうんですけど、あとでそれを見返してたら、「いろんなところに行きすぎて、HANAめちゃくちゃグローバルじゃん」って思いました(笑)。たくさん移動して、言語の違う方々にもお会いできて、音楽で一緒に楽しめて……本当に最高だなって、フライトの時に撮った写真の多さを見返して感じます。
MOMOKA:8月が誕生日のメンバーが3人もいるんですけど、周りにも8月に誕生日を迎える方が多くて。何個プレゼントを買ったんだろうというくらい、プレゼントをたくさん選んだのが思い出です(笑)。ちゃんみなさんもたくさんの愛を持って私たちにプレゼントを贈ってくださるんですけど、NAOKOへのキャリーケースが世界に1つしかないもので。すごかったよね。
NAOKO:世界に1つしかない塗装がしてあるキャリーケースで。嬉しかったです。
ーー素敵ですね。そんなNAOKOさんはいかがですか?
NAOKO:8月はスケジュールがぎゅっと詰まっていた月で、たくさんイベントにも出させていただけた夏だったんですけど、なんとか走り抜けて、終わった後みんなで「頑張ったね!」と言い合えたことが幸せでした。走っている間は実感がなかったんですけど、いざ終わってみると「この7人で無事にやれたんだな」「一緒に頑張れる人がいてよかったな」ってすごく思います。

ーーエピソードありがとうございました。夏を振り返ったところで、9月にリリースされた「BAD LOVE」のお話を伺います。“許したいけど許せない”という葛藤を歌った曲になっていますが、今回はJISOOさんとMOMOKAさんが作詞に参加していますよね。
MOMOKA:JISOOと一緒にそれぞれがひと通り歌詞を書いて、それをがっちゃんこして、いいところをピックアップしていって。ちゃんみなさんにお見せしたら「この歌詞はこうしよう」ってアレンジしてくださって、今の形ができました。
ーーJISOOさんとは具体的にどんなやり取りをしたんですか。
JISOO:移動の合間にMOMOKAと「どう思う?」って話したり、お互いに書いた歌詞を見ながら「ここはこっちがいいと思う」とピックアップし合ったりして、一旦それをレコーディングしました。その時に、ちゃんみなさんとも一緒に歌詞を見ながら、「こうしたいんだけど、どう思う?」って最後までたくさん考えて作っていきました。
MOMOKA「リアルな経験をそのまま歌詞にした」

ーーお二人は“許せない気持ち”というテーマをもらった時に、具体的にどんなことを書きたかったのでしょうか。
MOMOKA:JISOOとも「許せない気持ちになったのはなぜだろう?」って話したんですけど、相手のことを信頼して、愛していたからこそ、今も忘れられずにずっと心に残っているんだろうなって。きっと誰もがそれぞれに「許せない」とか「愛していたのにな」とか、そういう気持ちを抱えているはずだから、私とJISOOの経験をそのまま歌詞にすれば、同じ気持ちの誰かを救うことができたり、同じ経験をしていない人でも何かを感じてもらえるんじゃないかなって思ったんです。共感を求めて書いたというよりは、リアルな自分たちの経験をそのまま歌詞にしました。
ーー全体的に、過去にとらわれていることに苦しんでいたり、忘れたいのに忘れられないことに葛藤している描写が多いですけど、MOMOKAさんの歌唱パートでは〈I have become stronger/Cuz I had to start over on my own〉と、立ち直って前に進んでいく意志が歌われていますよね。ここにはどんな想いが込められていますか。
MOMOKA:この曲を書くにあたって過去のことを思い返した時に、誰にも言ってこなかったような、正直思い出したくないほどの記憶だったので、気持ちが沈んでしまったんですけど、じゃあどうして私がこの歌詞を書いているのかって考えた時に……相手から嫌なことを言われて「許さない」と思って、その人のもとから離れたけど、自分で立ち上がって、自分自身でやり直さなきゃいけなかったという実体験を書くしかないなと思って。葛藤もテーマにしているからこそ、それでも今こうして頑張っているってことに繋がるラスサビに向けて、その歌詞をちゃんと書こうと思いました。
JISOO「私自身に向けて書いたのかもしれない」

ーーJISOOさんはどのように歌詞を書きましたか。
JISOO:「いつかは辛い記憶から卒業したい」という希望があるけど、まだ卒業できていないので、そうなることを願って書きました。愛するものは人それぞれいろいろあると思うんですけど、私にとってはその1つが音楽で。音楽を始めてから、いろんなものが上手くいかなかった経験があるので、きっと音楽をやっている人は同じような気持ちになったことがあるんじゃないかと思って、そのことを書きました。
ーーJISOOさんが歌っているパートは特に切なさが伝わってくる歌詞で。完璧でいなきゃいけないって葛藤していた『No No Girls』でのJISOOさんのことも思い出したんですが、実際歌ってみてどうでしたか。
JISOO:音楽を始めてから、自分に対して自信があったつもりなんですけど、やっぱり私自身が自分を壁の中に閉じ込めていたんじゃないのかなと思います。自分じゃない人に向けて書いたつもりの歌詞だったんですけど、今そう言われてみて、私自身に向けて書いた歌詞だったのかもしれないなって思いました。


















