ONE OK ROCKはなぜ世界を舞台に闘い続けるのか――4人の本当の凄み、『DETOX』ジャパンツアーのすべて

ライブはいよいよ最終盤。ところが、ここで予期せぬアクシデントが起きた。「Dystopia」を終えたTakaが「ちょっと待っててくれ」と片足でジャンプしながら舞台袖に戻ってしまったのだ。何が起きたのかと場内がざわつくなか、しばらくして戻ってきたTakaは、なんと車椅子に乗っていた。どうやら先ほどの曲中に、足を負傷してしまったらしい(後日、彼がSNSで発信したところによると足の指を骨折していたようだ)。「Nirvanaもびっくりだよな」と笑いつつ(かつてNirvanaのカート・コバーンはイギリスのフェスで車椅子で登場するというパフォーマンスを行った)、「絶対やめねえからな!」と叫ぶTaka。あとから思えば、かなり痛みもあったはずである。だが、彼はこのステージをやり切ることにこだわった。そして、座ったまま歌い始めたのは、「Tropical Therapy」。座った状態で、体を折りながら声を張り上げるTakaを、オーディエンスも声でサポート。最高の光景が生まれていった。

「俺は今の世のなかが許せないわけです。でも、その『許せない』という言葉の意味を、俺はこのバンドに出会うまであまり理解していなかった」――。「ちょっとアルバムの話をしてもいいですか」と前置きをして、Takaが語る。「人は許せないという気持ちを強く持ち続けると、いつの日か残念ながら、今度は自分自身が誰かに許されない存在になってしまう。それが『DETOX』の裏のテーマなんです。どれだけ攻撃的なアルバムであっても、正反対の優しい気持ちを持つべきだと思っています。右があるから左があって、左があるから右がある。そして、それはひとつです。そう信じて音楽をやって、みなさんの前に立ってます」。オープニングで語られていた「本当に大切なのは、『知らない』ということを知っていること」という言葉の真意を丁寧に口にすると、最後の曲「The Pilot </3」を届ける。Takaの壮絶なロングトーンが日産スタジアムの夜空にこだまし、次の瞬間、ストリングスの美しいサウンドが広がり、ライブ本編はフィナーレを迎えた。

その後、アンコールでもストリングスセクションとともに「Stand Out Fit In」を披露すると、「+Matter」で日産スタジアムをお祭り騒ぎにしてみせたONE OK ROCK。片足でケンケンをしながら、スピーカーにもたれかかったり、Toruにもたれかかったりしながら歌い切ったTakaが「みんな、愛してるよ!」と叫ぶ声に、一際大きな歓声が送られた。そして最後を「We are」の大合唱で締めくくると、「今日この日を忘れないでください。あなたが諦めなければ僕たちも諦めない。信じてください、自分の未来を」とメッセージを伝えたTaka。メンバーの肩を借りながら客席に挨拶をして回る彼の姿に、ONE OK ROCKの本当の凄み――つまりどんな状況にあっても屈せず、媚びず、胸を張って音楽をやり続けてきた強さを見た気がした。


























