vistlip、18年の旅を経て掴んだ“今”と“未来”を映し出すシングル『BET』――メンバー全員で語る!

vistlip、全員で語る『BET』と今

18年やってきた今だから実現した「音で遊べる感じ」

――智さんが「BET」のヴォーカリゼーションにおいて留意されていたのはどのようなことでしたか。

智:思っていたのは、「気持ちよく歌えればいい」くらいしたね。レコーディングの現場ではTohyaがディレクションしてくれて。

――Tohyaさんが智さんのヴォーカルディレクションをされる時は、やはりプロデューサー的な視点で捉えていることが多いですか? それとも、純粋にコンポーザーとしての視点が強い?

Tohya:僕は基本的に智に任せていますね。そのうえで、曲を作りながら自分が想像している智の歌と、現実の智の歌を擦り合わせていきます。想定していたよりも、現実の智のほうが上回っていたっていうこともよくあるし、場合によって「こういうテイストもいいんじゃない?」という提案をすることもありますけど、僕はファン目線でディレクションしてるような気がします。

海:隣で見てると、ヴォーカルディレクションしてる時のTohyaはカメラマンみたいで面白いですよ。「今のいいね! いいけど、次はこんな感じでやってみようか!」みたいな(笑)。

智:(笑)。

Tohya:自分で歌って聴かせるのが早いのはわかってるんですが、僕はちゃんと歌えないので。そうなると、説明が難しい時があるんですよねえ。

智:Tohyaが任せてくれたところも多いぶん、「BET」はポップさから少し離れていったところもあると思うんです。どういう曲調だろうと、詞や歌がこういう世界観になっていくのが自分なんだろうなと、つくづく感じますよ。

vistlip『BET』Music Video ( short ver. )

――それこそが智さんの個性であり、vistlipのカラーでもあると思います。たとえば、「BET」は〈妙にマイク捌きの上手いMCに煽られて、ノせられてしまった結果じゃない。/僕らが決めた事だ。〉というインパクトのある歌詞からスタートしますが、これは完全なるフィクションとなるそうですね。

智:その部分は、「他人に言われて決めたわけじゃない」ということを歌詞として書くとなった時に、僕の頭のなかではそういう情景として浮かんできたんですよね。この曲のMVの舞台がたまたま劇場が舞台だったので、「ぴったりな歌詞だったな」って思いました。

――ちなみに、みなさんは最近、何かBETしたことはありますか?

Tohya:競馬にBETしました。最初は勝ってたんで、過信して「もっと勝てんじゃねえか?」とやって、結局は負けましたけど(笑)。今のところ、マイナス5000円です。

――競馬でその程度でしたら、まだ穏便ですね(笑)。

Yuh:僕は賭け事はそもそもしないんですよ。だから、BETする機会は全然ないです。興味がないのもあるし、もしやっちゃってハマっちゃうのも怖いので、避けるようにしてます。

智:なんだろ? 最近だったら、このあいだのライヴのセトリかな。

Tohya:うわ! その答えすごくかっこいい! 俺のさっきのはカットで!

――(笑)。瑠伊さんはBETエピソード、何かあります?

瑠伊:作業用の椅子をこのあいだ買い替えたんですけど、すぐにほしかったので店頭で試したりとかせずに、一か八かでネットで買いました。

――それは相当な賭けですね。使ってみていかがでした?

瑠伊:まあまあといったところですかね(笑)。

海:僕も瑠伊とまったく同じ感じで椅子を買ったことありますよ。ただ、買う前にめちゃくちゃいろいろ調べて、口コミも見て、納得のいくものを買えました。でも、最近ギターのピックアップをオーダーした時はちょっとハズしちゃいました。あれこれ調べたし、どういう音の出るピックアップかも知っていたんですけど、自分の持ってるギターとの相性がちょっと違ったっていう。幸い、メインで使ってるギターの話ではないので、また近いうちに買い替える予定です!

――ありがとうございます(笑)。本筋に戻って、次は「OUROBOROS」について聞かせてください。こちらは瑠伊さんの作られた曲ですね。

瑠伊:これは最初、完成形とはまったく違うエレクトロっぽいクラブ系の曲調だったんですよ。その原曲のメロと雰囲気だけを残して、バンドサウンドに寄せたアレンジにしてみたらこうなりました。グランジっぽいギターの音とかブラスとかピアノ、途中で思いついた音をどんどん重ねていったんです。

――ハネたリズムが軸になっているという面では、Tohyaさんが担う部分も大きい楽曲だったのでは?

Tohya:この曲に関しては「瑠伊が作る曲ならではのリズムパターンだな」と感じましたね。そこに過去にはできなかったことをやってみようという提案もしつつ、僕としては小賢しいフィルを入れたりもしてます(笑)。

――シンプルに徹した「BET」とは逆のアプローチをとった、と先ほどおっしゃっていましたもんね。

Tohya:かなり遊び心を活かしましたし、今までやってないこともやっていて、結構お洒落で小気味好い感じにできたと思います。

――瑠伊さんのベースも、この曲は非常にグルーヴィーな仕上がりとなっている印象です。

瑠伊:うねりを出すというか、聴いている側が身体を自然と揺らせられるようなノリを出せるように、休符の使い方とかもかなり意識しながら取り組みましたね。音色自体は昔っぽくしたところがあって、60年代から70年代くらいのサウンドを参考にしながら、テックさんにその年代のアンプを持ってきてもらってリアンプして。そういう作業もすごく楽しかったです。

――アンプシミュレーターではなく、リアルなオールド機材を使ったからこそ、これだけコクがあるサウンドになったんですね。

Yuh:この曲では瑠伊の提案で、あのグランジっぽい最初の部分とかではファズ系のエフェクターを使いました。かなりぶっとい音になったと思います。フレーズはデモから少し弾きやすいように変えたところもありますけど、基本的には瑠伊の作ってきた音に添いつつ、ソロだけは一発録りみたいな感じで弾きました。だから、このあいだの七夕の時もそうだったし、今後もそうで、この曲のソロとアウトロは毎回違う展開になっていくと思います。

――そこはインプロビゼーションパートになっているわけですね。

Yuh:そうなんです。レコーディングの時も、七夕の時も、何をどう弾いたかは聴き直さないと思い出せません(笑)。でも、そこが面白いんじゃないなと思います。

――瞬間的な迸りを音にしていくというのは実にエモいです。

Yuh:18年やってきた今だからとも言えるのかもしれないけど、音で遊べる感じが自分としても弾いてて楽しいです。七夕の時はバンドマンの友達とか後輩も観にきてくれて、みんなから「めっちゃかっこよかった!」「あのソロどうやってるのか教えてください!」と言ってもらえて、嬉しかったですね。

――海さんにとっての「OUROBOROS」は、どのように向き合うべき楽曲でしたか。

海:この曲に合うのは、ジューシーなギターの音なんだろうなと思って。プレイ面ではリズムを崩さないようにしなきゃいけないというのも大事なことだったし、サビとかアウトロでは金属っぽい音でブラッシングを入れてほしいって瑠伊から言われて。それのジャッジがまぁ厳しかったですね。めちゃくちゃ弾き直しましたよ!

瑠伊:本当、何度もだっだよね(笑)。

海:家にあるギターをほぼ全部鳴らしてもOK出なくて、どうしようと思って。でも、よくよく瑠伊に話を聞いてみたら、すごく特殊なギターを使わないと出ない音がほしかったみたいなんです。で、その特殊なギターを僕がたまたま持っていたんですよ。それを使ってみたら、やっと「これ!」ってなりました。7月7日のライヴでも「OUROBOROS」ではそのギターを使いました。木じゃなくて、金属製ボディなんですよ。

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