HANA、なぜ今ミドルバラードのラブソング? 新人グループに「Blue Jeans」を充てたちゃんみなの狙いとは
まずひとつに、メンバーが持つ才能の幅広さや豊かさを、いち早く世に広めるためということが考えられるだろう。彼女たちが所属するB-RAVEはBMSG傘下。BMSGは、「才能を殺さないために」をミッションに掲げている事務所でもある。そんなポリシーの下で7人のスキルを今最も輝かせることができるのが、バラードという選択肢だったのではないか。実際、様々なステージを経験してさらに深みの増した7人の表現力は、ミディアムテンポのしっとりとした楽曲だからこそ、より一層光を放っているように感じる。
また、HANAを輩出したオーディション『No No Girls』のコンセプトや、音楽を通じてこの社会が抱える“悪い部分”や自身に向けられる固定的なイメージと闘い続けるちゃんみなのスタンスも踏まえて考えるに、国内のガールズグループシーンにある“型”のようなものを壊す意図もあったのかもしれない。ガールクラッシュなコンセプトを打ち出したり、いろいろな音楽の手法を取り入れながら独自の洗練されたサウンドを追求したり、日本のアイドル/ガールズグループの方法論をグローバルを見据えて発展させたりと、様々なグループが登場する昨今。グループそのもののコンセプトを強化するような形で次々と楽曲をリリースすることにより、日本のガールズグループは最近でこそ急速な多様化を見せているが、これまでは良くも悪くも従来型の女性像が反映された一定の型があったように思う。しかし、HANAが「Blue Jeans」で弱さや自信のなさも等身大に歌い上げ、MVでも男性出演者と恋心を演技で表現したことで、7人はアーティストであり、様々な感情を持つ立体的な人間であるということを実感させてくれた。それはこれまでの国内のガールズグループシーンにはあまり見られなかった手法であり、HANAが新たな道を切り拓いているとも言えるのではないだろうか。
「Blue Jeans」は、7月15日付の「オリコンデイリーストリーミングランキング」で再生数342万回を記録して1位となり、女性グループ歴代最高記録を更新するなど、大きな反響を得ている。HANAは今作を踏まえ、この先どのような世界観を表現していくのだろうか。7人の今後の動向と活躍から目が離せない。

























