未完成ブレイブ、16歳の歌声になぜここまで心が動かされるのか 確かな歌唱スキルと“今この瞬間”を感じるボーカルの魅力

未完成ブレイブ、唯一無二の歌声

 大人でもなく、子どもでもないーーそんな“未完成”な瞬間を生きる10代の表現者たちの“今”を届けるMIKANSEI Project。その第2弾アーティストが、16歳・高校1年生のYU(Vo)率いる未完成ブレイブだ。

未完成ブレイブ - DOKU (PreLIVE ver.)
未完成ブレイブ - Dawn(Crescent Moon ver.)
未完成ブレイブ - 生きて、愛して(Crescent Moon ver.)

 2023年10月に「DOKU」でデビューを果たして以来、10代特有のあどけなさと力強さが混ざり合った稀有な歌声で、Z世代の若い男女を中心に着実に支持を集めている。2024年には「Dawn」「生きて、愛して」の2曲がNintendo Switch用ソフト『泡沫のユークロニア』のオープニング/エンディングテーマ曲に起用され、さらに初ワンマンライブ『Crescent Moon』を原宿RUIDOで開催するなど、活動の幅を拡大。2025年にリリースした「月を歩けば」、「夜の隅で」ではシティーポップサウンドを取り入れた新境地の開拓にチャレンジし、新たな層のリスナーを獲得している。

未完成ブレイブ - 月を歩けば(Crescent Moon ver.)
未完成ブレイブ - 夜の隅で(Music Video)

 未完成ブレイブの記念すべき初ワンマン『Crescent Moon』は、筆者も実際に観に行った。そのステージでまず表現されたのは、10代ならではの痛みや繊細さに満ちた世界観。フードを深くかぶったまま登場した姿からは、この世界のすべてを拒絶するような孤独さすら感じられ、彼女の内面をそのまま言葉にしたようなポエトリーリーディングは静かにオーディエンスの胸を刺した。そして何より衝撃的だったのは、“未完成”という名前に似つかわしくないほどの歌唱力だ。たった一人でライブハウスを掌握する存在感と、アップテンポからバラードまで自在に歌いこなすセンスに圧倒された記憶は、今も鮮明に残っている。

初ワンマン『Crescent Moon』ライブ写真

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 そんな彼女の歌唱力が思い切り味わえるのが、7月24日リリースの12th Single「deep blue」だ。立ち上る水泡のような煌めくサウンドと軽快なリズムが爽やかな青を想起させるが、その情景に深みを加えていくのがYUの歌声である。澄み渡るような透明感あふれる歌いだしは、リスナーの耳を一瞬で捕えて離さない。サビでは、伸びやかなロングトーンが心地よく響き、低音から高音まで潤いを纏ったまま駆け抜けていく。繊細さと力強さが同居する歌声に惹き込まれているうちに、気づけば音量をひとつ上げて、より深くその世界に浸ってしまう。3分41秒が一瞬に感じられるほど、中毒性のある仕上がりだ。

 彼女の武器である唯一無二の歌声はSNSでも広がりを見せ、TikTokのフォロワー数は3.7万人を突破。オリジナル楽曲のTikTok総再生数は800万回を超えている。また、様々な楽曲を歌いこなすカバー動画にも大きな反響があり、デビュー以来、累計45本ものカバー動画を投稿しているが、その総再生数は300万回超え。累計11万以上の“いいね“がついている。(※すべて2025年6月12日時点)

 中でもAimerの「カタオモイ」カバー動画は、発音や歌い方のニュアンスなど細部に至るまで、その完成度の高さが話題になっている。〈例えば〉という歌いだしのたった4文字で歌唱力の高さを感じさせる彼女の声に、スワイプする手を止めて聴き入ってしまった人も少なくないだろう。コメント欄には「逸材見つけた」「かすれと透明が共存してる感じめっちゃ好き」と熱量の高い声も多く寄せられている。

 ヨルシカ「春泥棒」のカバー動画では、当時中学生とは思えないほど完成度の高いアカペラ歌唱が聴けるが、特に印象的なのは柔らかく透き通ったファルセットと、繊細で儚い表現力だ。わずかワンフレーズで、桜吹雪が舞う幻想的な風景を想像させてくれるような、情緒豊かなニュアンスが歌声から感じ取れる。

 また、ファンにとって特に思い入れの深いカバー曲といえば、ASA「もう頑張らないで」ではないだろうか。この曲は、1stワンマンライブのラストを飾った大切なナンバーであり、リスナーへ贈るメッセージソングでもある。

〈泣いちゃう夜もあっていいから もう少し自分を信じて 笑ってよ泣いてよ 自分のために〉

 まるで温かい毛布のような救いの言葉と、まだあどけなさの残る優しい歌声は、SNSを通じて多くの人の心に届き、一瞬で感動を呼ぶ。「聞いた瞬間楽になった」「泣いちゃった」といったコメントが寄せられるのも納得だ。

 オリジナル楽曲でリスナー層を拡大し、カバー曲を中心にSNSで注目を集め始めている未完成ブレイブ。彼女の歌声が生で体感できる貴重な機会が、8月12日の『原宿RUIDO 3rd ANNIVERSARY presents. ASOBiMASHOW~premium 3MAN SHOW~』で訪れる。VTuberの奏みみ、シンガーソングライターのマイナマインドという異なるジャンルのアーティストとの対バンで、自身の世界をどう表現するのかも気になるが、やはり最大の見どころは彼女の成長ぶりだろう。

 というのも、本公演の開催場所は1stワンマンと同じ原宿RUIDO。1stワンマンから約半年で、どれほどの成長を遂げているのだろうか。10代の半年は、あまりにも濃密で貴重な時間であり、その変化のスピードと重みは大人の比ではないはずだ。少しずつ大人に近づいていく彼女の姿と圧倒的な歌唱力を、一人でも多くの人に体感してほしい。

未完成ブレイブ

■リリース情報
未完成ブレイブ
「deep blue」
配信中
配信URL:https://mikanseibrave.lnk.to/deepblue

Official site:https://brave.mikansei-project.com
TikTok:https://www.tiktok.com/@mikansei_brave
X:https://x.com/mikansei_brave
Instagram:https://www.instagram.com/mikansei_brave/

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