JO1 金城碧海・豆原一成、それぞれ異なる角度で描く“愛” バイラルヒットの背景にある相乗効果
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの7月16日付のTOP10は以下の通り(※1)
1位:SKY「恋におちたら」
2位:MÁME「Not Puppy Love」
3位:HUNTR/X・EJAE・AUDREY NUNA・REI AMI・KPop Demon Hunters Cast「Golden」
4位:パペットスンスン「とてと」
5位:Saja Boys・Andrew Choi・Neckwav・Danny Chung・Kevin Woo・samUIL Lee・KPop Demon Hunters Cast「Soda Pop」
6位:ALLDAY PROJECT「FAMOUS」
7位:Rumi・Jinu・EJAE・Andrew Choi・KPop Demon Hunters Cast「Free」
8位:OddRe:「FEVER TIME」
9位:Baby DONT Cry「F Girl」
10位:原摩利彦 feat. 井口理「Luminance」
今週は1位のSKY「恋におちたら」と、2位のMÁME「Not Puppy Love」をピックアップする。両曲ともJO1のメンバーセルフYouTubeコンテンツ「PLANJ」から生まれた楽曲だ。JO1といえば、今年4月に発売された初のベストアルバム『BE CLASSIC』に収録された、ベートーヴェンの「交響曲第5番」ハ短調、通称「運命」をサンプリングした「BE CLASSIC」が、アメリカのInstagram「Instagramトレンドオーディオチャート」TOP10にランクインする快挙を達成したことも記憶に新しい。なお、全米トレンドで急上昇中のチャートでは、3年ぶりのカムバックで世界中を熱狂させるBLACKPINKや、サプライズリリースで話題となっているジャスティン・ビーバーと並び、最高第6位を記録している。
7月18日にリリースされた「恋におちたら」と、2位の「Not Puppy Love」は、それぞれまったく異なるアプローチで“恋”を歌っている。2曲の対比が相乗効果を生み、今回のチャートアクションにも影響しているように感じるが、両曲とも2025年の夏を彩る2曲になるはずだ。
SKYこと金城碧海が自身のソロ曲としてセレクトした「恋におちたら」は、Crystal Kayが2005年にリリースした楽曲だ。連続ドラマ『恋におちたら〜僕の成功の秘密〜』(2005年/フジテレビ系)の主題歌として、ヒットした。R&Bのフレーバーを上品にまとったラブバラードを、金城はアコースティック風のアレンジを加えている。中でも注目してほしいのは、ブレスの扱い方だ。バックトラックの余白も多いバラードは、息を吸う瞬間のブレスも大事なニュアンスとして使われることも多い。しかし、金城のこの曲でのアプローチは、聴く者にブレスをあまり感じさせない。意識してそうしているのだと考察するが、そうすることで聴く者が歌詞に感情移入しやすくなっている。クリアなアルペジオが印象的なメロウなギターサウンドと、丁寧に語り掛けるように歌い続ける金城のアプローチで、聴く者の中にある“恋愛の記憶”をひっぱりだすことに成功している。なお、サビでは透き通るハイトーンを響かせ、歌詞のテーマである恋愛のピュアな気持ちを印象づけているあたりにも、ぜひ注目してほしい。
リリースと同日にはCrystal Kayとのコラボレーション動画をアップしたことで、JO1と同世代のリスナーだけでなく、オリジナルリリース当時に同曲が青春を彩った層にもリーチし、いつも以上に幅広い層に楽曲が届いたことが、バイラルチャート1位という結果に繋がったと考察する。






















