CUTIE STREET ソロインタビュー Vol.8:川本笑瑠、夢は叶うとは「簡単には言いたくない」――“アイドル活動10年”の誇りと重み

CUTIE STREET 川本笑瑠 ソロインタビュー

決死の覚悟で挑んだオーディション合宿

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――CUTIE STREET結成に至る、合宿形式のオーディションは、振り返ってみていかがでしたか?

川本:本当にしんどすぎて、どうしたらいいんだろうって毎日ずっと泣いていました。もともと泣き虫なんですけど、それでも異常なくらい泣いていたと思います。普通に涙が出るとかじゃなくて、呼吸ができなくなるぐらいの号泣を何回もしました。

――特にどういう部分が大変だったんでしょう?

川本:まず、候補生の人数がすごく多かったんです。何十人もいる中で、選ばれるのはほんの数人。ダンスができる子も、歌が上手い子もいっぱいいて。だけど私は本当に何にもできなくて。よく「アイドルを何年もやっていたから、何でもできるでしょ?」って思われるんですけど、歌もダンスも、まったく自信がなかったんです。特別スタイルが良いわけでもないし、顔立ちがすごく整っているわけでもないのに、「誰が私を選びたいって思ってくれるんだろう」って、ずっと考えちゃって。合宿前にもオーディション期間があったんですけど、その時点ですでに自信をどんどん失っていて。

――ドキュメンタリーでも心が追い詰められている様子が印象的でしたが、あれはもともとの性格も影響していたんでしょうか?

川本:もともとネガティブなところはあるんですけど、それでも頑張る気持ちだけはありました。カワラボに入って、KAWAII LAB. MATESに所属している期間があったんですけど、せめて意欲だけは見せようと決めていて。週1、2回のレッスンがあったんですけど、レッスンのあいだはずっと集中。入室から退室まで、もうそのことしか考えないっていうくらい真剣に取り組んでいました。それもあって「意欲はあるね」と言ってもらえたけど、それだけで、自分の中では何も自信に繋がってなくて。ずっとネガティブなままでした。オーディション中も、周りはみんなダンスも歌もできるし、すごく可愛くて。しんどいなって、正直思っていました。

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――そんな過酷な合宿の中でも、手応えがつかめたかもと思えた瞬間はあったんですか?

川本:最後の発表の前ですね。それまでは、本当にボロボロで。歌とダンスを1人で披露したんですけど、本当にそれが嫌で嫌で仕方なくて。歌もダンスも自信がないのに、それを1人で見られるっていう状況がもう本当に辛くて。案の定、ボロボロでした。歌もちゃんと歌えなかったし、ダンスも思うように踊れなくて……できることなら、huluで放送しないでほしいって思ったくらいです(笑)。

――すごく惹かれるシーンでしたよ。

川本:課題の評価のときに、KAWAII LAB. MATESのときからずっと教えてくれていたダンスの先生から「何がしたかったのかわからなかった」「もったいなかったね」って悔しい言葉をもらってしまって。ボイトレの先生にも「途中でメンタルがやられちゃったね。それがいちばんもったいなかった」って言われて。自分でも何もできなかったって、悔しくて、悔しくて。でも、個人面談のときに、総合プロデューサーの(木村)ミサさんが「メンタルを自分で保つことも、アイドルとしてすごく大切なことだから。たくさん泣いちゃってもいいけど、少しずつ自分の機嫌を上手に取って、頑張っていけたらいいね」って言ってくれて。それが、すごく心に残っています。

――その言葉が支えになった?

川本:はい。このオーディションで落ちたら、正直もうカワラボもやめるって決めていたんです。だから、ここで絶対に受からなきゃいけないって気持ちで最後の課題に挑みました。間違えたりもしたけど、メンタルだけは絶対に崩さないって決めて、最後までやりきったんです。そしたら、オーディションの最後に、ボイトレの先生が泣いてくれて、「すっごく良かったよ」って褒めてくれたんです。(オーディション終了後の)バーベキューのときだったんですけど、「笑瑠の姿を見て、頑張ろうって思った」「あれはアイドルのあるべき姿だった」「人の心を動かしていたよ」って言ってもらえて。あのとき、最後まで頑張ってよかったって、心から思いました。

――合格者発表の「全員合格です」っていうシーン、どんな気持ちで受け止めていましたか?

川本:私はこの8人が絶対にいいって思っていたし、ほかのみんなもそう思っていたと思います。だから、発表のときに「全員合格」って聞いた瞬間、もう全員「よかった」っていう安心感に包まれていました。

――信頼できる8人が集まったんですね。

川本:うまく言葉にできないんですけど、合宿を通して、すごくいいメンバーだと思えたんです。私はあまり心を開けないタイプなんですが、唯一自分を出せる子たちだった。性格のいい子ばっかりが集まっていて、すごく安心できました。今でも思いますけど、理想の8人って感じです。

――実際に活動をはじめて、毎日が大きく変わったんじゃないですか?

川本:一言で言えば、「人生が変わった」って感じです。夢のまた夢だったことが、現実になっていることが信じられなくて。まさか自分が何年か後に『Mステ』(『ミュージックステーション』/テレビ朝日系)に出ているなんて、本当に奇跡みたいな人生だなって今でも思います。

――さっき、「努力は必ず報われるわけじゃない」って話もありましたけど、それでも努力を続けた結果、今こうして夢を叶えているというのは、本当にすごいことだと思います。

川本:たしかに、夢を諦めなかったから、いまきゅーすととして活動できているとは思います。ファンの方も、「笑瑠が諦めなかったから夢を叶えられたんだね」って言ってくれて、それは本当にその通りだなって思うんです。でも、自分が頑張ったから今があるとは、正直あまり思ってなくて。運とかタイミングとか、いろんなものが重なって、たまたまそうなったっていう気持ちがすごく強いんです。きゅーすとがここまで来られたのも、「かわいいだけじゃだめですか?」っていう曲がたくさんの方に聴いてもらえることになったおかげというところもあって。でも、その曲が流行るかどうかなんて、誰にも予想できないじゃないですか? だから、やっぱり運と環境にもすごく恵まれていたなって、心から思います。

――「努力だけじゃない」というのは、笑瑠さんにとってリアルな実感なんですね。

川本:はい。もちろん、諦めなかったから今があるとは思いますけど、だからこそ、「頑張れば夢が叶うんだよ」って簡単には言いたくないなって思うんです。

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