NCT YUTA・TEN、日本でソロ作品発表 それぞれのルーツや生き様を強く感じさせる2曲
多国籍なメンバー構成とユニット制を特徴とするK-POPボーイズグループ・NCTは、2016年のデビュー以降、NCT U、NCT 127 、NCT DREAM、WayV、NCT WISHと、多様な形でグループ活動を展開してきた。現在NCTでは、それぞれのグループ活動に加え、各メンバーのソロプロジェクトも活発に行われている。そうした中、今年5月にYUTAとTENがそれぞれ日本でソロ作品を発表した。
💚💜#YUTA #유타 #ユウタ#TEN #텐 #テン#NCT #NCT127 #WayV #超超音波 pic.twitter.com/iAlgxu5q7k
— NCT (@NCTsmtown) June 13, 2025
YUTAは日本出身のメンバー。NCT 127で活動しており、グループとしてワールドツアーやドーム公演を行ってきた。2024年に日本でソロデビューした彼にとって今回の『TWISTED PARADISE』は、初のシングルとなる。一方、タイ出身のTENは、NCT UやWayV、さらに事務所であるSM ENTERTAINMENTを横断したユニット・SuperMを通じて多彩なな音楽性を体現してきたアーティストだ。TENは5月に発売されたミニアルバム『Humanity』で日本デビュー。リード曲「Silence」はMVも公開されている。
それぞれが異なるルーツを持つYUTAとTEN。本稿では、それぞれの最新ソロ作品に注目し、2人のアーティストとしての現在地を紐解いていく。
YUTA「TWISTED PARADISE」――ロックで切り拓くソロアーティストとしての今
日本出身のYUTAによる日本ソロ第2弾『TWISTED PARADISE』のタイトル曲「TWISTED PARADISE」は、彼のロック魂とこれまでの歩みを強く響かせる楽曲だ。冒頭ではピアノコードに歪んだギターが絡み、ゴスペル調のメロディにコーラスが重なっていく。その重層的なサウンドが、高揚を予感させる幕開けとなっている。そこに、ポップスらしいミニマルなビートが加わり、磨かれたリズム感が滲むフレージングへと繋がる。サビでは一転、アンセミックな旋律とともに、YUTAの力強く伸びるハイトーンとバンドサウンドが重なり合い、劇的な熱狂を生み出す。YUTAがこの先ひとりのアーティストとして見たい光景が想像できる1曲だ。
NCT 127ではパワフルなダンスを見せているYUTAだが、今回公開されたパフォーマンス映像では、白い衣装に身を包み、マイク一本で歌に集中する姿が印象的だ。そこには、数々の舞台を経験してきた者だけが持つ、静かで確かな存在感が宿る。ソロデビューミニアルバム『Depth』リード曲「Off The Mask」とあわせて“ロック”という一本の芯をもってソロキャリアを切り拓こうとする姿勢には、彼の美学が色濃く表れている。
実際、YUTAは日本のロックをルーツに持ち、L’Arc〜en〜CielやX JAPANといったロックバンドから影響を受けてきたと話す(※1)。そのルーツを、K-POPというフィールドで得た経験と交差させ、日本で今ソロ活動という形で再構築している。その軌跡には、自らの表現に対する強い信念が貫かれている。
自分自身が信じられる表現を選び採っていく。その姿勢は、YUTAのキャリアの原点とも重なるものがある。YUTAは東方神起のパフォーマンスに心を動かされ、16歳で渡韓。歌もダンスも未経験のまま、K-POPの大手事務所・SM ENTERTAINMENT初の日本人練習生としてその扉を叩いた。そんな彼の音楽キャリアは、「心が動くほうへ進む」という強い意志から始まっているように感じる。
「TWISTED PARADISE」は、その生き様の延長線上にある。自らが信じる音で、感情で、声で、真っ直ぐに届ける。その先に、今のYUTAがいるのだ。ロックサウンドに揺さぶられながら、この楽曲を通して私たちは、ソロアーティスト・YUTAの魂に触れる。