重音テトに代わるネクストスターは誰? 雨衣、足立レイ、洛天依……2025年下半期注目の音声合成ソフトたち
中国発バーチャルシンガー・洛天依 日本でも再脚光
さらに、今年のホットトピックスでもあるボカロ文化のアジア圏/海外圏拡大を鑑みると、近年着実に増えつつある外国語対応ソフトについても今後シーンの関心が高まっていく可能性がある。その中で今おさえておきたい存在の一人が、VOCALOID™3エンジンを搭載する中国発のバーチャルシンガー・洛天依(ルォ・テンイ)だ。ソフトウェア誕生の2012年以来、特に中華圏では数万人動員規模のコンサートもたびたび開催されるなど、絶大な人気を得ていた彼女。2019年より本格的な日本進出にも乗り出していたが、近年のbilibili動画やアジア圏でのボカロカルチャーの盛り上がりに紐づき、日本国内のクリエイター/リスナーへその存在が認知され始めた形となる。
今年4月にXにて洛天依公式アカウントが設置され、次いで5月には韓国・ソウルにて開催された大型音楽フェス『ISEGYE FESTIVAL』へ出演。同月に自身最大のオリジナル楽曲コンテストの開催も告知され、そのサポーターとして起用されたアジア圏ボカロPらによる楽曲制作も発表された。中にはChinozoや神山羊、春野といった日本のボカロシーンですでによく知られた面々の名も。彼らによる「武装乙女」(Chinozo)、「MAO!」(神山羊)などの楽曲は順次YouTubeでも投稿されている。
ナースロボ_タイプT、宮舞モカ、梵そよぎにも注目
ほかにも、シーン各所で新たな合成音声ソフトが産声を上げたほか、さまざまなきっかけで登場から一定の時間を経て、再度脚光を集めたキャラクターも多数存在している。『ボカコレ2025冬』にて印象的な起用楽曲も点在したナースロボ_タイプTやりむる、GYARI「進捗ダメダメです」の局所的なバズを契機にSV版の高い歌唱力が注目を集めた宮舞モカや、昨年末のSV版アップデート以来、再度そのキャラクター性にスポットが当たっている音街ウナも同様の存在だ。
また、プロジェクト『そよぎフラクタル』の軸となる声優・梶裕貴の声を元にした音声合成ソフト・梵そよぎも、シーンの特異点として今後の行く先を注視したいソフトのひとつと言える。
キャラクター/ソフトの側面ひとつを取っても、カルチャーそのものの途方もない多様性や重層的な構造が垣間見える音楽ジャンルとなってきたVOCALOID。今年2025年の下半期は一体どんなクリエイターが、あるいはどんなキャラクターが時代を席巻するのか――。時に我々の予想を大きく超えた爆発的なムーブメントが生まれる可能性を秘めたその動向が、今からとても楽しみだ。