賀喜遥香のセンター、岡本姫奈の初選抜入り……乃木坂46、39thシングルフォーメーションが示す“グループの再構築”
そして今作のもう一つの大きなトピックが、5期生・岡本の初選抜入りだ。2023年春には体調不良で休養し、復帰後も苦しい時間を過ごした岡本だが、アンダーライブで「夜明けまで強がらなくてもいい」をソロで披露した姿や、「Out of the blue」でセンターを務めた時の楽しげな表情は、彼女がここまで積み上げてきた努力の結晶だった。今回の選抜入りは、そんな岡本がようやく掴んだ光である。
2列目には梅澤美波、中西アルノ、遠藤さくら、井上和、池田瑛紗、久保史緒里と、経験豊富なメンバーが並び、安定感のある構成となった。そして今回注目すべきは、3列目に配置されたメンバーの顔ぶれである。特に池田は3作連続選抜となり、以前から披露している絵画や美術への造詣を武器に、多方面での活躍を続けている。冨里奈央、弓木奈於、菅原咲月、五百城茉央、小川彩、筒井あやめ、岡本という6人は、いずれもバラエティやラジオ、演技など多彩なフィールドで活躍しているメンバーだ。冨里は前作に続く選抜入りであり、持ち前の朗らかさと“天性の間”を持つトーク力は、次なるフロント候補としての期待も大きいと思う。
今回の選抜メンバーには、4月にお披露目されたばかりの6期生11名は含まれていない。だが、加入から日が浅く、楽曲参加やメディア露出もまだ限られている段階である6期生にとって、今は育成期間のフェーズ。現段階では焦らずに一人ひとりの個性を見極め、万全なタイミングでの合流を見据えた準備期間と見るのが妥当だろう。それだけに、今作で際立つのはやはり5期生の存在感である。すでにフロントやセンターを経験したメンバーも多く、次世代の核としての立ち位置が明確になってきている。
かつての乃木坂46は、選抜入りの有無がそのままメンバー個人のストーリーに直結していた。だが近年は、アンダーライブの充実や期別/個人活動の活性化もあり、アンダーメンバーであってもそれぞれの道がしっかり描かれてきたのも事実。そんな中で、再び“誰がどの位置にいるのか”に意味が生まれてきたのは、グループの中で個が育ち、それぞれが異なる色をまとい始めた証拠でもある。「Same numbers」という言葉に託された“同じはずなのに違う”というテーマ。そのメッセージは、まさに今の乃木坂46を象徴している。

























