賀喜遥香のセンター、岡本姫奈の初選抜入り……乃木坂46、39thシングルフォーメーションが示す“グループの再構築”

 7月30日にリリースされる乃木坂46の39thシングル『Same numbers』の選抜フォーメーションが、6月15日深夜放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)にて発表された。タイトルの『Same numbers』は、直訳すると「同じ数字」。一見、均質性や統一感を想像させるワードだが、今回の選抜メンバー16名の並びは、むしろその逆だと言えるだろう。個の違い、世代の差異、物語の厚みを織り交ぜながら、グループの今とこれからを示す、いわば再構築とでも言うようなフォーメーションのように思えたのだ。

 4期生の賀喜遥香が5作ぶり4度目のセンターを務め、初のフロントを担うのは5期生の川﨑桜と一ノ瀬美空。さらに5期生の岡本姫奈が初の選抜入りを果たし、フォーメーション全体の半数以上を5期生が占めるなど、次世代への明確なバトンパスが印象づけられた。

乃木坂46『君に叱られた』

 今回センターを担う賀喜は、「君に叱られた」「好きというのはロックだぜ!」などでセンター経験を重ね、再びグループの中心に立つことになった。「何もない毎日を変えたかった」と話していたオーディション当時から、少しずつ、けれど確実にステップアップを重ねてきた賀喜。センターという重責に悩みながらも、そのたびに見える景色を更新してきた彼女の姿そのものが、今の乃木坂46がどこに軸足を置いているかを物語っている。

 今作が夏シングルであることも踏まえると、「I see...」などで見せた明るく弾ける表情や、持ち前の表現力を活かすのに、センターはふさわしい舞台でもある。川﨑、一ノ瀬という新たなフロントメンバーを両脇に迎える上で、精神的にも技術的にもグループを支え、その顔となる役割こそが、今回の賀喜センターに込められた意味なのだろう。

 センター・賀喜の左右には、5期生から川﨑と一ノ瀬。川﨑は、静かな佇まいの中に芯の強さを感じさせる存在で、その愛らしさと美しさを兼ね備えたビジュアルに注目が集まる一方で、『らじらー!サンデー』(NHKラジオ第1)のMCや『全日本フィギュアスケート選手権2024』(フジテレビ系)スペシャルサポーターなど、多方面でも存在感を見せてきた。“自分らしくいること”を何より大切にする川﨑が、最前列でどんな表情を見せてくれるのか。そこには、乃木坂46を代表する新たなアイコンの誕生という期待もかかる。

 一ノ瀬は、情報番組『THE TIME,』(TBS系)で約2年間レギュラーを務めた経歴を持つ、発信力に長けたメンバー。番組卒業後も、グループの言葉を届ける存在として様々な場面で活躍してきた。とびきりの笑顔を武器にしながらも、自らツッコミどころを周囲に差し出すような笑いの構築力もある一ノ瀬。その柔らかさと戦略性の両輪が、今の乃木坂46に新たな風を吹かせている。

 この2人のフロント抜擢は、エース像の多様化を表す象徴的な配置とも言えるのではないだろうか。川﨑の静的な華、一ノ瀬の動的な知性。対照的な魅力を持つ2人が賀喜の両脇に立つ姿は、グループの広がりと進化を強く感じさせる。

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