2025.06.23 20:00

THE BACK HORNが野音に刻んだ27年の軌跡　ひとつの歴史の節目を迎え、すべての時代が共鳴した一夜に

文＝今井智子、写真＝Rui Hashimoto[Sound Shooter]

　「THE BACK HORNといえば雨だよな、最高だぜって、来てくれて、みんなありがとう。まだまだ最高の夜にしましょう！　行こうぜ野音！」と山田が声をかけると3人も気合いを新たに「蛍」へ。テンションを上げていくバンドにオーディエンスはさらに声援を送り、松田のドラムがそれに応えて「導火線」に繋ぐ。火がついたように菅波がギターを掻き鳴らし、山田の歌に応えてシンガロングが起こる。バンドの男臭いコーラスとオーディエンスの声がひとつとなった。ここまでの3曲は前述の投票で上位に入った曲だけに、オーディエンスの思いもひときわ熱かったようだ。

『「爆音夢花火2025」～LAST 野音 NIGHT～』（撮影＝Rui Hashimoto[Sound Shooter] ）

　そんな空気の中で響いた「コバルトブルー」は圧巻で、菅波のギターがイントロを鳴らした途端鳥肌が立った。全身に響かせて歌う山田の歌にシンガロングが重なり、ドラマチックな曲がオーディエンスのハンドクラップに彩られた「太陽の花」へと続いた。そして「最高の時間ですね。THE BACK HORNは結成27年を迎えました。あと3年で結成30年。どんなになるかわからないけど、5年前も10年前もこんな感じだったんで、相変わらずの我々だと思いますが、これからもよろしく。また会いましょう」と山田。本編最後を飾ったのは、投票で3位になった「奇跡」。新しい命を奇跡とおおらかに歌うこの曲は、新たな曲や作品を作り続けバンドの命を繋いできた彼ら自身の歌なのかもしれない。

　アンコールは松田が今年前半を振り返り今後のスケジュールを告げた後、彼らの起点である「冬のミルク」から、山田が「また生きて会おうぜ！」と叫んで最新作の「明日世界が終わるとしても」へ。岡峰のベースと松田のドラムがダイナミックなうねりを作り出し、山田がマイクを向けるとオーディエンスが主役に。そして曲が終わるとハンドクラップが起こり松田がドラムで煽りカウントを取ると「無限の荒野」へ。軽快なパンクチューンに誰もが歌い踊り、松田が「次の野音でまた会いましょう」と言って4人がステージから降りたのだが、アンコールの声に応えて再度現れ「名残惜しいので、やり納めだ！」と「刃」をドロップ。予想を超えた最高のフィナーレとなった。

　松田が言った通り、いろいろな時期の曲を満遍なく揃えたセットリストで彼らの27年を綴ってみせた現状では最後の日比谷野音。これを節目として彼らはさらに進んでいく。この日、10月から『THE BACK HORN「KYO-MEI対バンツアー」～共鳴破天の夜～其の二』を行うことが発表された。

『「爆音夢花火2025」～LAST 野音 NIGHT～』すべての写真を見る

■THE BACK HORN『「爆音夢花火2025」～LAST 野音 NIGHT～』
2025年6月14日（土）日比谷公園大音楽堂

＜SET LIST＞
01.レクイエム
02.親愛なるあなたへ
03.希望を鳴らせ
04ひょうひょうと
05.Mayday
06.疾風怒濤
07.幻日
08.情景泥棒
09.情景泥棒〜時空オデッセイ〜
10.カラビンカ
11.世界樹の下で
12.幸福な亡骸
13.キズナソング
14.蛍
15.導火線
16.コバルトブルー
17太陽の花
17.奇跡
EN-1 冬のミルク
EN-2 明日世界が終わるとしても
EN-3 無限の荒野