トゲナシトゲアリ×She is Legend、全力をぶつけ合う“交流戦” 『SOUL & CRY』で巻き起こした熱狂の渦
ドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』から誕生したラウドロックユニット・She is Legend(略称:シーレジェ)と、アニメ『ガールズバンドクライ』から生まれたガールズロックバンド・トゲナシトゲアリ(略称:トゲトゲ)による対バンライブ『SOUL & CRY』が5月15日、東京ガーデンシアターにて開催された。それぞれ積極的にライブ活動を続けているシーレジェとトゲトゲは、昨年夏に開催されたアニソンの祭典『Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-』で初共演を果たしているものの、2組による対バンライブはこれが初めて。かつ、トゲトゲは今年1月に行ったMyGO!!!!!との『Avoid Note』(※1)以来、シーレジェにとってはキャリア初の対バンライブとなり、約8000人収容の大会場で行われるこの注目の対バンは早々にソールドアウトを記録した。
2組を紹介するオープニングムービーに続いて、会場が真っ赤な照明で染め上げられると、荘厳なSEに続いて紗幕のかかったステージに2人のシルエットが浮かび上がる。そして、流麗なピアノイントロに続いてバンド演奏が始まると同時に幕が降りると、バンドメンバーを従えたXAIと鈴木このみが姿を現し、ドラマチックな「春眠旅団」にてライブはスタート。ヘヴィかつダイナミックなバンドサウンドに乗せて、随所にスクリームを織り交ぜながら2人の芯の通った歌声を交互に響かせていく。その温かみの強い声は時に美しいハーモニーを奏で、時にはユニゾンで歌うことでパワフルさを増していく。魂と魂のぶつかり合いのようなステージは、シーレジェという唯一無二の存在を端的に表すにぴったりな内容だ。
「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」や「Come on baby!」といった変幻自在のバンドアンサンブルで表現される楽曲群に、会場のレジェンダー(シーレジェファン)や彼女たちのライブを初めて目にするトゲトゲファンは興奮を隠せない様子で、シンガロングパートでは一際大きな声でステージに向けて歌を届けていく。時には会場中を激しく飛び交うレーザーや、ステージ上で吹き上がる無数の火柱などの演出で、楽曲が放つ壮大な世界観に花を添え、会場は曲を重ねるにつれて熱気を高めていった。
「Goodbye Innocence」で強烈なハイロングトーンを轟かせた鈴木このみだったが、続くライブ初歌唱のピアノバラード「Perfect Goodbye」では刹那的な美しさを漂わせる繊細なボーカルを聴かせる一幕も。その一方でXAIも負けじと、終始安定感の強いパワフルボイスで観る者を圧倒する。ステージ上を縦横無尽に動きながらもまったく乱れることのない歌声を響かせるその姿に、気付くと夢中になっていたというオーディエンスも少なくなかったはずだ。そして、「Long Long Spell」ではクライマックスのシンガロングパートで会場の約8000人をひとつに束ね、シーレジェのステージは大団円を迎えた。全10曲、約50分がほんの一瞬に感じられたほどで、筆者のような初見の観客をも魅了するライブはさすがの一言だった。