黒夢、生粋のライブバンドがフェスシーンへ殴り込み 後輩、戦友らとの共演が生む“30周年”ならではの景色
2025年、10年ぶりに再始動した黒夢の勢いが凄まじい。
再始動のきっかけは、清春のデビュー30周年ツアーの一環として、2025年2月9日・東京ガーデンシアターで行われたライブだった。アニバーサリーとしての限定的な始動かと思いきや、ぴあアリーナMMでの追加公演で新たに『黒夢 Zepp TOUR CORKSCREW 2025』を発表。さらに驚かされたのは、各地のフェスへの出演だ。
4月26日の宮城県・エコキャンプみちのくでの『ARABAKI ROCK FEST.25』を皮切りに、5月10日の石川県産業展示館での『GAPPA ROCKS ISHIKAWA』に出演。6月28日には『DEAD POP FESTiVAL 2025』、8月16日、17日には『SUMMER SONIC 2025』、さらに11月8日、9日(出演日未定)の『LUNATIC FEST. 2025』、11月22日の『BRAHMAN 30th Anniversary「尽未来祭 2025」』と、次々に発表され大きな話題を集めている。
90年代から黒夢の音楽に触れてきた筆者としては、90年代当時は実現しなかったであろう“フェスでの黒夢”が観られることがただただ喜ばしい。ぴあアリーナMMでのライブも目撃したのだが、そこに存在したのは懐かしのバンドでもエモーショナルな再始動ストーリーでもなく、正真正銘ライブバンド・黒夢だったからだ。
1998年から1999年にかけて112公演にわたって行われた伝説的ツアー『1998 KUROYUME TOUR “Many Sex Years” Vol.5 //「CORKSCREW A GO GO!」』をタイトルに掲げていたこともあり、パンキッシュなエネルギーと衝動性に溢れ、一瞬も気が緩むことのないライブ。観客を威嚇しながら無二の歌声を響かせる清春と、激しさと艶やかさを兼ね備えて縦横無尽にうねる人時のベースに圧倒される2時間だった。それぞれミュージシャン、アーティストとして重ねてきた経験値が黒夢で交わる奇跡。そして、世紀末の世相に噛みつきまくっていた楽曲が令和の時代に牙を剥く刺激。「黒夢を観たことがない世代にも見せたい、知らない人こそ観るべきだ」と思った野望が、フェスならば叶う。
10年ぶりの再始動後、最初に出演したのは、東日本大震災を乗り越えて続く東北地方最大級のフェス『ARABAKI ROCK FEST.』、能登半島地震の被災地復旧および復興を支援するために開催された『GAPPA ROCKS ISHIKAWA』だった。能登でチャリティーライブを行うなど、清春がもともと強く抱いていた復興支援の想いも、フェス出演へのひとつの動機になったのではないだろうか。と言っても、もちろん温かく勇気づけるだけのライブを届けるわけではない。「MARIA」「少年」「Like@Angel」といったヒット曲をしっかり披露しつつ、意志を持って尖り続けるロックバンドの矜持を示し、歴戦のフェスバンドと堂々渡り合ってみせた。
マキシマム ザ ホルモンの公式SNSに清春が登場したように、フェスでは後輩バンドマンとの交流も生まれる。そうしてバックヤードを含めたフェス文化の魅力を知ると同時に、ふたり自身も、黒夢がフェスに出る面白さを感じたのかもしれない。一度やると決めたらとことんやるのが黒夢だ。
#アラバキ の舞台裏で2人をキャッチ📸
"Like a Angel"な雰囲気の #黒夢 清春氏と、その隣で"少年"のような笑顔の #マキシマムザホルモン ダイスケはん氏。
ダイスケはん氏は1st Album 『亡骸を・・・』からのファンだとか。
2人に"優しい悲劇"が訪れないことを願いたい。
by大春オンライン pic.twitter.com/1LHX7lVC1Z
— マキシマム ザ ホルモン (@MTH_OFFICIAL) April 26, 2025