清春、バースデーライブは久しぶりのバンドスタイル 緩急ある楽曲披露で作り上げた贅沢な時間

清春バースデーライブレポ

 2021年10月29日、恵比寿ザ・ガーデンホールにて清春のバースデーライブ『The Birthday』が有観客で開催された。2020年3月にリリースしたベースレスサウンドのアルバム『JAPANESE MENU / DISTORTION 10』を中心に構成された今回の公演にはDURAN(Gt)とKatsuma(Dr/coldrain)が参加し、久しぶりのバンドスタイルでのライブとなった。

 この日の幕開けは「下劣」。スモークが漂うステージに悠々と現れた清春は、初っ端から吠えるようなシャウトを浴びせ、観客たちの心を一気に引き付ける。続く「錯覚リフレイン」では、ステージへ向かって手を伸ばす観客たちを求めるように、清春も客席へ手を伸ばす。早くも熱狂する彼らを、さらに自分の世界へと深く深く引き込もうとしているのか、見えない糸を引っ張るような仕草を見せる。「今日は52歳最後の日です。41歳で年が止まるかと思ってたけど、もう53歳になっちゃうね。もう謎の生き物みたいな感じがしてきていますが、今日はDURANとKatsumaという若い人たちに押されて頑張ります」と、アンニュイな雰囲気を漂わせながら話すと、「凌辱」へ。この曲では、ギターソロでステージ前方に出てきたDURANに清春が肩を組み、顔を寄せる場面も。

 存在感たっぷりの3曲でライブを始めた彼らは、ここで一旦MCを挟んでブレイクダウン。「あーなんか動いた。キツい。みんなもライブ見ているだけなのに、清春まだかなとか、今日MC長いんじゃないかしらとか、思ってるでしょ。僕は一曲目でもう息が切れてた」「今日はわざと踵が高い靴を履いてきた。(ステージで)動けない理由として。それをMCで言おうと思ってたの。……で、あと何曲くらい?」という飾らないトークで会場の笑いを誘い、場を和ませた。

清春

 そんなリラックスしたムードを一気に変えたのは、「洗礼」。ホール中に響き渡る抒情的な歌声により、清春がつくり上げる唯一無二の世界観の中へ、観客たちを完全に取り込んでいく。ステージの中央で歌う清春は、先ほどまでお茶目に笑っていた人と同一人物とは思えないほど、圧倒的なオーラを放っていた。激しいドラムから始まったのは、先日配信にてリリースされ、この日会場でCD発売も行われた新曲「ガイア」。清春は白いジャケットを脱ぎ、はだけたシャツから惜しげもなく胸元をのぞかせ、妖艶なビジュアルで会場を湧かせた。続いて『ガイア』のカップリングに収録される「HEAVY LOSS」を披露。タイトルの通りヘヴィなサウンドに掻き立てられた観客たちは、その場で飛び跳ねたりリズムに合わせて身体を揺らしたりと、思うがままにライブを楽しんでいた。

 ここで観客たちを座らせ、清春とDURAN2人による「ロマンティック」「夢追い」「美学」を披露。清春は冗談交じりに「ここからの3曲でチケット代の5000円分くらい(の価値がある)」と言っていたが、実際その言葉の通りだった。ギターとボーカルのみというシンプルな構成にもかかわらず、音やリズムはとても豊かで密度の高い演奏を展開し、物足りなさや退屈さなどは一切感じさせない。彼らの表現力と技術に圧倒させられたとても贅沢な時間であった。2人のステージが終わると、清春と入れ替わりにKatsumaが登場し、DURANとセッションを始める。パワフルなドラムのリズムと、迫力満点のギターの音が混ざり合い、次々に展開していくリズムとフレーズで、観客たちを大いに楽しませた。



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