ヘルニア、米津玄師らへの憧れ 五十嵐ハル、“元警察官”がネガティブを武器に切り開く音楽キャリア

五十嵐ハルが今届けたい音楽

歌詞と似たような体験してる人に届いてほしい

五十嵐ハル - 蛍 (Official Music Video)

ーーでもそう言われてみると確かに、真っ昼間の公園で青空を見ながら「蛍」(6月4日配信リリースの新曲)は生まれませんね(笑)。

五十嵐:(笑)。ネタがないなと思いながら無理やりひねり出す曲よりも、本当にしんどいなって時にポンと出る言葉の方が、聴いてくれる人にもすごく刺さってくれたりするし、自分でもなんかいいなって思えたりするんですよね。天然素材でしか作れないものがあると思います。

ーー「蛍」はまさに、五十嵐ハルとしての持ち味がストレートに伝わってくる楽曲だなと思いました。

五十嵐:都合のいい関係でちょっと振り回されてるんだけど、それでも好きだから、夏のせいにして私も馬鹿になるかみたいな感じの曲です。これは女性目線の歌詞になってるんですけど、その男バージョンみたいな感覚を味わったことがあったので、それを元に書いた部分もあったりします。夏って、切ないというイメージが自分の中にあって。たぶんそういう失恋というか、叶わないような恋をしたのは夏が多かったからかなと思うんですけど。

ーー「少しだけ」という楽曲にも、この曲の男性バージョンのような一面がありますね。

五十嵐:そうですね。同じエピソードも入っています。夏という季節に、都合のいい関係で終わらせられちゃう女の人って、切ないけどどこかエモさを感じちゃうんですよ。どうしようもない関係というか、叶わないとわかってるけどやめられない。それでしんどくなってる男より、しんどくなってる女の人の方が個人的にはエモいかなと思って、今回は女性目線にしました。

ーー曲の途中でシャワーの音が入っていますが、水の音であんなにも切なさが表現できるんだってびっくりしました。

五十嵐:嬉しいです。自分もそうですけど、家でシャワーを浴びてる時っていろいろ考えるんですよね。この曲でいうと、都合のいい関係でちょっと遊ばれてるっていうのは、大人な関係でもあるじゃないですか。2人で同じ部屋の中にいるんだけど、ひとりきりになれるのがシャワールーム。2人の場所だけど、1人きりの瞬間の音がうまく表現できたかなと思います。

ーー「蛍」というワードからも、儚さや切なさみたいなものが伝わってきますね。

五十嵐:蛍が光るのは、求愛行動みたいな意味も含まれているらしくて。そのために必死に光っているのに、夜しか光れない。都合のいいように夜だけ遊ばれてるけど、朝と昼は光れないから用無しでしょみたいな意味合いも込めました。

ーー蛍は水の綺麗なところに集まると聞きますが、ひょっとしたら見たことない人も多いかもしれませんね。

五十嵐:そうですね。自分が子供の頃は、ばあちゃんの家の近くでたまに見たりしてましたね。そのときはもちろん綺麗だなぐらいの感覚で見てたんですけど、こうやって人に例えたら、結構切なくなるなっていうのは今回作ってて思いましたね。この曲、サビだけは去年作ってショート動画で上げてたんですけど、フルで聴きたいっていう声もたくさんもらってたし、自分も気に入ってたんです。次の夏に出したいなと思って仕上げたので、ぜひ聴いてもらえたらと思います。

ーーもちろん聴く人を限定するわけではありませんが、作り手として、例えばこういう人にこそ届けばいいなと思うのはどういう人ですか?

五十嵐:「蛍」に限りませんが、その時その時で、歌詞と似たような体験してる人に届いたらいいなって思います。基本的にはやっぱりしんどいことが多いから、しんどい歌詞が多いんですよ。だから幸せな暮らしで満足してますって人より、生きてる意味って何なんだろうなみたいなことを日々思っている人の方が、届いた時により刺さるのかなって感じながらいつも作っています。

ーー今後はぜひライブで、その思いを伝えられる機会が増えるといいですね。

五十嵐:はい。五十嵐ハルとしてはまだライブをしたことがないんですが、今年中には何かできればと思って準備を進めているところです。そして最終的には、アリーナのような大きい場所でやりたいっていう目標があります。「めんどくさいのうた」という曲で〈東京ドーム一杯の人気者になって キラキラ光ってみたかったな〉って歌ったりしてますけど、そういう大きな会場で歓声を浴びてライブをやりたいなって思いますね。

ーー日々しんどいなと思って生きている人で東京ドームがいっぱいになって、そこで歓声を浴びているのはネガティブを公言している五十嵐さん。なんだかすごい光景ですね(笑)。

五十嵐:確かに。なかなかないですよね、ネガティブが武器になるって(笑)。音楽家ならではの、特殊な感じだなと思います。でもそういう目標のためにも、どうやったらたくさんの人に聴いてもらえるかが大事になるので、ずっと模索し続けてるし、常に研究しています。基本的にSNSはあんまり好きじゃないし、振り回されたくないなって思うんですけど、結局はSNSが大事なのでやらないわけにはいかないというか。やって伸びるなら全然やるしっていう気持ちはあるので、いい活路を見出せないかなっていうのは常日頃思ってますね。

「蛍」
「蛍」

■リリース情報
「蛍」
6月4日(水)配信リリース
配信リンク:https://HaruIgarashi.lnk.to/Hotaru

■関連リンク
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