Travis Japanが守り続けた君だけの居場所――“7人であること”の絶対的な自信を刻んだツアー『VIIsual』

Travis Japanのライブツアー『Travis Japan Concert Tour 2025 VIIsual』が、6月7日、8日千葉県・LaLa arena TOKYO-BAY公演で国内公演ファイナルを迎えた。
昨年末に発売された2ndアルバム『VIIsual』を携え、今年1月から行われた今回のツアーは、休養していた川島如恵留を除いた6人でスタート。5月17日より活動を再開し、今回の千葉公演では川島がツアーに復帰するとあって大きな注目を集めた。本稿では、ツアーファイナルである2日目、6月8日の公演をレポートする。
今回のライブツアーは、アルバム同様に中村海人が中心となって演出も考案され、メンバー全員で意見を出し合いながら作り上げたという。全国8都市をまわり、28公演で約31万人を動員したツアーも、この日が最後。客席は、開演を待ちわびながらも終わりを惜しむような空気感に包まれていた。会場の照明が落とされ、いよいよ開演の時。街を模したセットに組み込まれたメンバーの名前の電飾が次々と光り、ツアータイトルと「FINAL」の文字がバックスクリーンに映し出されると、大歓声が巻き起こる。
オープニングナンバーは「99 PERCENT」だ。白を基調としたスーツ衣装に身を包んだ7人が、メインステージへ登場。一人ひとりに照明が当たり、それぞれ自信に満ちた表情を浮かべているのが、モニターにも映し出される。静かに熱を帯びたダンス&ボーカルで会場を支配すると、川島の「Let's Go! TJ!」のシャウトから徐々に温度を上げ、2曲目の「Love Tag」へ。ハンドクラップが鳴り響くなか、宮近海斗が「さあオーラス、騒ぐぞ!」と投げかけ、会場はますます熱狂。さらに自己紹介でコール&レスポンスを挟み一体感を増した「Happy Groovy」では、わちゃわちゃとキュートな一面を見せ、一体感が増していった。
続いての「Crazy Crazy」は、7本のLEDパネルが埋め込まれた花道・“VIIsualロード”で踊りながら披露された。LEDパネルが伸びていき、7人は次々と多彩なフォーメーションを繰り出していく。どの角度から観ても楽しめるように配慮されたステージングだというが、まるで美しい絵画を描くような繊細なダンス、そして笑顔溢れるハイテンションなパフォーマンスは、Travis Japanらしさのひとつと言えるだろう。さらに「Sweetest Tune」、「Candy Kiss」と人気曲が続いていく。

幕間映像のストーリーを引き継ぐようにして、松倉海斗が監修した「Whiskey and Tonic」へ。ステージにはバーのセットが現れ、楽曲のムードそのままにリラックスした和やかな空気感で歌われていく。そこへ川島が訪れると、「おかえり!」「ただいま!」とメンバーとハグを交わし合うという、復帰を象徴するような演出も。続いて、バーに置かれたレコードに針を落とされると、宮近プロデュースの「Fireflies」がスタート。ラフな雰囲気のなか、綿密に計算された細やかな振り付けが映える。
ユニット曲でもメンバーの個性は強く光った。宮近、七五三掛龍也、松倉の「Trick! Trick!」では、巨大でカラフルなハンマーやスパナなどを手に、ポップな映像とシンクロした振り付けを披露。3人のキュートさと爽やかなボーカルが唯一無二のステージを作り上げていく。真逆とも言える化学反応で魅せたのは、中村、松田元太による「Warm it Up」。スモークが焚かれ、妖艶なムードのなかでしっとりと、しかし時に激しくなるダンス&ボーカルは、ほかの誰も入り込めない情熱的な物語を描いていった。
川島プロデュースの「Underdogs」では、おなじみのホワイトタイガー型トロッコの“トラッコ”が登場。前向きでエモーショナルなロックサウンドとともに客席のあいだを進んでいき、近距離で会場の熱気を上げていく。コール&レスポンスと振り付けで一体感を増していった「DRIVIN' ME CRAZY」、「Dance With Me ~Lesson 1~」、さらに4月にリリースされたばかりの「Would You like One?」でも「みんな掛け声、覚えてきてくれた?」と声を掛け、それに応えるように客席も一体となってコールで盛り上げた。
MCでは、あらためて川島の復帰が報告されると、大きな拍手と「おかえり!」の声で迎え入れられる。宮近はタイトル『VIIsual』に込められた“7”という数字に言及し、「最初は6人でスタートしたけど、7人で立つことができて嬉しい限りですね。ありがとうございます!」と感謝を伝える。演出を担当した中村は、川島がいつ戻ってきてもいいように花道のLEDパネルを7本にするなど、いろんなところで工夫をしていたといい、メンバー同士で感謝とリスペクトを伝え合うあたたかい場面も。「7人でやった時のオーラ、ハンパなくね?」と、中村は7人のTravis Japanへの自信を笑顔で語った。
復帰するにあたって、ひとりでコンサートリハーサルを行ったという川島は「寂しかった」と語る。ライブ映像を何度も観たといい、静岡公演も観に行っていたのだと明かした。宮近が「7人は家族、オハナだから」と布石を打ち、中村が吹き替え声優として参加している実写映画『リロ&スティッチ』の話へ。そして、『リロ&スティッチ』日本版エンドソング「バーニング・ラヴ」を初披露。スティッチのマスコット付きのマイクスタンドに、スティッチのカチューシャをつけて披露されたパフォーマンスに、会場も驚きと喜びに包まれた。

その後も吉澤閑也が川島に突如罰ゲームを提案するも、じゃんけんで負けて“エアビリビリ椅子”を披露することになってしまったり、勝ったはずの川島がなぜか自らアクロバットを組み込みながらの“エアビリビリ椅子”を披露したりと、楽しい時間が続く。最終公演ならではの会場との記念撮影もあり、終始笑顔のMCタイムとなった。
続いて披露された吉澤、川島によるユニット曲「Lonely Stars」は美しいラブバラードだ。ステージの両サイドに立ち、ハーモニーを響かせていく。曲の終盤には、メンバー5人もあらためて登場して全員で歌唱。〈君だけの居場所 守っていたくて〉という歌詞がメンバーの心を反映させたかのように鳴り響き、楽曲に新しい意味が加えられていく。次に続いた「夢のHollywood」でも、鮮やかなステップと共に繰り出される〈願い叶える 次のステップへ/俺らの心一つに〉〈覚悟して 今日を生きよう!〉といった歌詞が、あらためて「Travis Japanは7人である」という強い意思を感じさせた。
吉澤プロデュースの「HBD」は、Travis Japan初のバースデーソング。吉澤による振り付けをメンバーがレクチャーするように客席に投げかけると、ファンもそれに応える。6月生まれの七五三掛を祝う場面もあり、スタイリッシュでありながらも優しさ溢れる彼ららしいステージだった。
芸術的な一面を見せたのは「Rush」。松田によるプロデュース曲だ。センターステージに7人が立ち、紗幕が四方を囲んでレーザーライトが線を描き出す。衣装の白いシャツと紗幕のコントラストが幻想的。大量の紙吹雪が舞うなか、全身を使い表現する姿はアートそのものだった。
ルーレットやポーカーに興じる映画のような幕間映像に続いて、ゴールドの衣装に身を包んだ7人がポップアップで登場し、中村プロデュースの「BO$$Y」へ。炎の特効が飛び交うなか、パフォーマンスの激しさが増していく。アルバム『VIIsual』のリード曲らしく、盛り上がりも最高潮へ達した。さらに、これまでにない一面を見せてくれた七五三掛プロデュース「Thrill」へと続き、ハードなサウンドとレーザーライトのシンクロでTravis Japan流のダークな魅力を提示した。





















