草彅剛&のん、重なり合う境遇と姿勢 YouTubeコラボで語られた“自力”で走り続けること
草彅剛とのんが、念願のYouTubeコラボレーションを実現させた。2人でギターショップを巡る様子を収めた動画を、前後編に分けてそれぞれ自身のチャンネルにアップした。
草彅とのんは、Netflix映画『新幹線大爆破』で共演。本作は4月23日に配信開始されるやいなや、日本国内のNetflix週間ランキングで1位を快走し、全世界では非英語映画として2位を記録する大ヒットとなった(※1)。草彅にとっては恩師とも言える高倉健の主演映画『新幹線大爆破』(1975年公開)のリブート版という縁もあり、特に思い入れの強い作品となったことでも話題に。
物語の舞台は、時速100kmを下回ると爆発する爆弾が仕掛けられた新幹線・はやぶさ60号。草彅が演じたのは、車内の混乱と爆発を回避するために奔走する車掌・高市。そして、のんはギリギリの速度を調整・維持するために奮闘する運転士・松本を演じた。大災難を前に、仕事人としてやるべきことに全力で取り組む姿が印象的だった。
まるで背中を預けるような間柄を演じた草彅とのんは、撮影時からコラボについて話していたそう。配信直前に行われた発車記念イベントでは、草彅が「僕、のんさんのYouTubeチャンネルもよく観てて。渋谷にギターを買いに行ってるんですよ。それを何回もリピートして観てて。僕もYouTubeやってるんで、僕のチャンネルでコラボレーションできたらなって!」と明かしていた。その場限りの社交辞令ではなく、しっかり有言実行していくところが草彅らしい。
動画ではギターがズラリと並ぶショップに立った草彅が「もうなんかね、光ってます。きらびやかにね。いつもと全然違うグルーヴなんですけど」と“らしさ”全開でスタート。すると、ゲストとして登場したのんに「本当に来てくれたんですね」といたずらっぽく笑う。そんな草彅に、のんも「本当ですね。実現するんですね」と、こちらもフワッとした“らしさ”で返すのだった。
映画で見せた緊迫した雰囲気とは打って変わって、YouTubeで再会を果たした2人の表情は実に朗らか。その様子を見ていると、なんだか似た者同士のようにも感じられた。ギターのことになると瞳をキラキラとさせて純粋に楽しもうという姿勢もそのひとつだ。
のんがまだ「Gibson」のエレキギターを所持していないと聞くと、草彅が「弾かせてもらおうよ」と背中を押す。すると今度は、のんが「草彅さん、気になるギターありませんか?」と促す。そのさりげなく相手を気遣いつつも、変に遠慮せず自分のしたいことを主張できる素直さもどこか近い雰囲気を感じた。
そして慣れた手つきでのんがエレキギターを掻き鳴らすと、その音色にテンションが上がった草彅が「ロックだね、Yeah! 新幹線大爆破! Yeah! Yeah! 世界2位だぜ〜! 新幹線大爆破世界2位だぜ〜! 今日はのんちゃんと遊んでるぜ〜!」と歌い出す。今度は草彅が試奏すると、のんも「Whoo! Whoo! かっこいい!」とノリノリになる姿にも相性の良さを漂わせた。
すると「それ、のんちゃんの歌?」と草彅がたずねる場面も。「かわいいふりしてみたいな感じ? 本当はそうじゃないってやつ?」と続ける草彅に、のん「なんで知ってるんですか?」と嬉しそうな表情を浮かべる。のんが弾いていたのは、彼女がかねてから憧れていたという元GO!GO!7188のノマアキコとユウ(チリヌルヲワカ)とタッグを組んで生まれた「やまないガール」。〈ホントのあたしを知らないくせに〉と力強く歌うこの曲を、草彅は「聴いたことある!」と続けた。
「やまないガール」にはこんな歌詞がある。〈満を持してやる時がきた/やりたいあれこれ 片っ端から〉〈急がば回れ ベビーフェイス/ある日突然 全部つながる〉それは、まるで今の2人を表しているようだとも思った。
古巣の事務所から飛び立つタイミングで、テレビから遠のくことになってしまったこと。しかし、そうした状況でも大好きなギターで弾き語りをしながら表現することを続けてきた。その姿は憧れのアーティストたちの心を打ち、楽曲の提供に繋がったり、一緒に音楽を奏でたりとあたたかな時間にもつながった。そして、映画や舞台を通じて、演じるということに真摯に向き合ってきたことも……。2人が地道に、そして懸命に走り続けてきた線路が『新幹線大爆破』という作品にたどり着いたのだ。
「死んでも止めませんから」と運転室でたった1人ハンドルを握りしめていた運転士・松本の姿は、表現者として自分を貫く覚悟を持ったのんの姿とリンクする。そこに「笑えないな」なんて言いながらさまざまな思いを乗せて手を松本の肩に置いた高市も、のんと同じく大きな力に振り落とされないようにと自分を律してきた草彅と重なる。