『ラブライブ!』Liella!、リバイバルライブに宿る意義 声なき日々を掬い上げる“みんなの夢が叶う場所”に

“その場面”に立ち会えなかった人にも届くリバイバルライブ

 さて、今から期待で胸が高鳴るLiella!のリバイバルライブだが、本公演の開催はLiella!にとってだけでなく、『ラブライブ!』コンテンツ全体に与える影響も絶大だ。かつての楽曲を披露し軌跡を振り返るライブとしては、『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』が行った『Fes×ReC:LIVE』があったが、『ラブライブ!シリーズ』において、過去のライブを再構成した公演は初の試みとなる。そして、長い歴史を持つ本シリーズにおいて、過去のコンセプトライブを再演することは、楽曲と体験の二点においても大きな意義を持つ。

【PV】ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 103期Fes×ReC:LIVE ~first crossing~

 『ラブライブ!シリーズ』自体もそうだが、展開中の各コンテンツも長期間にわたり活動を続けている。そのため、楽曲数も膨大となり、長らく披露されていない楽曲も珍しくない。たとえば、Liella!なら「GOING UP」や「Dream Rainbow」は、2ndライブ以降一度も披露されていない。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会では、4月6日に行われた『LIVE&FAN MEETING TOUR ニジガク校外学習 歌おう♪踊ろう♪語ろう♪』大阪公演で、2019年ぶりに「開花宣言」がフル歌唱で披露され話題を呼んだ。ほぼすべてのシリーズが100曲以上、またはそれに近い曲数を有しているため仕方のないことだが、ここ数年でファンとなった人はライブで耳にしたことがない楽曲も多いだろう。リバイバルライブは、そんな楽曲たちに再びスポットを当てる機会になってくれるはずだ。

【試聴動画】ラブライブ!スーパースター!! Liella! 2nd LoveLive! ~What a Wonderful Dream!!~

 また、リバイバルによって、特定のアルバムやアニメを軸に置いたライブを再び体験できる可能性も見逃せない。特に、アニメの文脈を最大限伴って聴ける機会は、やはりアニメをコンセプトに据えたライブしかない。楽曲自体を聴くことはできても、コンセプトとともに“体験”として楽曲を受け取れる機会は、限られた場面にしかないのだ。6月にはAqoursがライブを開催するが「finaleが初めて行くAqoursのライブ」だという人もいるだろう。それほどに『ラブライブ!』は長い歴史を重ねてきたのかと感慨深くなるのと同時に、新しく出会う人々は体験できなかった過去が存在してしまうという事実にはどこか切なさすら感じる。だからこそ、Liella!のリバイバルライブ発表は、これまでその瞬間に立ち会えなかった人々へ、一抹の希望を与える発表になったと信じたい。

 悔しい想いをした過去が戻るわけではないが、秒針が止まらずに進むからこそ、私たちは新たな未来を見ることができるのだ。あの日、会場にいた人、情勢のために会場に行けなかった人、まだ出会っていなかった人――今回のリバイバルライブがそんな“みんなの夢が叶う場所”になることを心から願っている。

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