FRUITS ZIPPERは時代を作る――『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』最優秀アイドルカルチャー楽曲賞受賞の必然

 FRUITS ZIPPERの活躍はアイドルシーンにとどまらず、2024年は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』に初出演。19時過ぎのアクトだったにもかかわらず、屋外ステージにはコアなファンから初見とみられる人まで溢れんばかりのリスナーが集い、ものすごい熱気で芝生を埋め尽くしていたことを筆者はよく覚えている。アイドルシーンから頭ひとつ抜け出し、大衆的に愛されていることは、長い目で見たアイドル界の発展においても非常に重要な出来事だろう。

 こうした音楽活動だけでなく、メディア出演も活発だ。たとえば、2024年には初の地上波レギュラー番組『マユリカとおねだりフルーツジッパー』(テレビ朝日系)、2025年3月からは『FRUITS ZIPPERの超めでたいさぷらいずTV』(ABEMA)、4月からは単独冠番組『FRUITS ZIPPERのNEW KAWAIIってしてよ?』(テレビ朝日系)と、さまざまな冠番組がスタート。さらに、5月14日にリリースした3rdシングル表題曲「KawaiiってMagic」は『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』の主題歌に抜擢され、Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”(5月21日付)で総合首位を獲得している。互いの個性を認め合い、まるで子どもの頃に憧れたキラキラした変身ヒロインアニメのような衣装やヘアメイクで新時代のアイドル像を生んだだけでなく、タイアップやメディア露出を通じて新規層とのタッチポイントを増やし、時代を捉えた“NEW KAWAII”という一貫したコンセプトを訴求することで、FRUITS ZIPPERは日々新たなファンを増やし続けているのだ。

 そうした人気を証明しているのが単独ライブ規模の拡大だ。2024年5月に初開催した『FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY 超めでたいライブ〜NEW KAWAII〜』では日本武道館での初公演が話題となったが、今年6月にはさいたまスーパーアリーナ公演を予定しており、さらに8月には同会場のスタジアムモードにて2days公演『さいたまスーパーアリーナ25周年 FRUITS ZIPPER 3rd ANNIVERSARY 超超超めでたいライブ -さん-』の開催が決定。たった1年で、2日間で2万4000人を動員した日本武道館から、1日で最大3万7000人を収容するさいたまスーパーアリーナ(スタジアムモード)2日間へと会場規模が拡大していることからも、FRUITS ZIPPERの人気拡大を感じずにはいられない。

 FRUITS ZIPPERは「それぞれの個性を大切にする」という現代的な価値観を体現し続けながら、今や日本のアイドルシーンを牽引する新たなエース格へと成長を遂げた。そして「わたしの一番かわいいところ」は、“かわいい”や“自己肯定”といったテーマが、ある種のムーブメントとして広く音楽シーンに浸透していく起点となった。日本、そしてアジアの音楽やアーティストの海外進出を後押しすることを目標の1つに掲げて創設された『MUSIC AWARDS JAPAN』での初代「最優秀アイドルカルチャー楽曲賞」受賞は、まさにそんな彼女たちに相応しいものだったと思う。FRUITS ZIPPER、ひいてはKAWAII LAB.は、これからも原宿から世界、そして宇宙へ“NEW KAWAII”を発信していく。彼女たちによってアップデートされた日本のアイドル文化が世界の音楽シーンを席巻する日もそう遠くはないかもしれない。

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