ORANGE RANGEが変わらずに変わり続ける理由 “王道”を裏切る「マジで世界変えちゃう5秒前」制作秘話

ORANGE RANGEの変わらぬ遊び心

15年ぶりのソニーミュージック復帰、12年ぶりのCDリリース

——そして15年ぶりのソニーミュージック復帰、さらにシングルのリリースは12年ぶりとなりますね。

HIROKI:すごいですよね、本当に驚きました。ファンの人がラジオへのお便りで教えてくれたんですけど、それを見て「え! そうなの!?」って。シングルCDを作るのはだいぶ久しぶりだね。

NAOTO:もうずっと配信でしかシングルを作ってなかったからね。

——最近では配信が主流になりつつありますが、そうした昨今の音楽シーンの変遷はどのように見ていますか?

NAOTO:最近では「家にプレイヤーがない」という話をよく聞きますね。

HIROKI:配信で聴いちゃうからね。

NAOTO:僕はCDで育った世代なので、こういう未来が待っていることは想像したことがなかったです。だからこそ、今回CDシングルのリリースができることをすごく嬉しく思っています。

——そんな変化がある中で、ORANGE RANGEはずっとスタンスを変えていないバンドでもあると思っています。デビューから20年を超え、バンド結成からは間もなく25年。年を重ねながらも頑なになるのではなく、より自由に音楽を鳴らしている印象です。長く音楽活動をしてきたお二人にとって、あらためて音楽制作の魅力を教えてください。

NAOTO:音楽って、常に新しいものになっていくんですよ。僕の感覚では“新しいものを作る”のではなく、“勝手に新しくなっていくもの”を楽しんでいる感覚というか。自然と進化していってくれるから飽きないし、いつだって刺激がある。新たな音楽が登場するサイクルもどんどん早くなっているし、実際トレンドなんてあってないようなものだからこそ、長く楽しめるんだと思います。

HIROKI:制作だけじゃなくちゃんとライブもやって、作ったものをリアルタイムで発信して、そのリアクションをもらう。そのサイクルがあるからこそ楽しめてます。「前回はこうだったけど、今回はこうやって遊ぼうぜ」っていう感覚でいられるのも大きいかもしれない。目標は常に高く掲げながら活動できていますね。

ORANGE RANGE(撮影=堀内彩香)

——コロナ禍の時期の活動はどのような感覚でしたか?

HIROKI:あの時は周りの状況を見ながら「自分たちはどうするか」と話し合って、その環境の中でできることを探して遊んでいました。NAOTOの部屋に集まって楽曲を作ったり、それをYouTubeに載せたり。そういう時期も「すぐに終わるだろう」くらいの感覚だったけど、予想以上に長引いちゃって。まあ、その中でも糸は切れることもなく、モチベーションは保てていたのかなと思います。でも、沖縄から1年くらい出ない年なんて初めてだったよね?

NAOTO:うん、初めてだった。

HIROKI:メンバーとも10カ月くらい会ってなかった気がする。あの時は1人ずつNAOTOの部屋に入って、録ったらまた次の作業をするっていう形でやってたから、本当に全員が集まったのは1年くらい経ってからだったかな。

——「沖縄から出なかった」期間は貴重でしたね。以降は沖縄とほかの地域を行ったり来たりとなったわけですから。

NAOTO:本当にそう。1年間も沖縄から出ないなんて、これまで一度もなかったですからね。

HIROKI:半年くらい経った頃には、さすがに諦めモードだったよね。最初はライブを中断させていたこともあって、振替公演だったりを考えてたけど、それもできないとわかってからは「じゃあ、のんびりやりますか」って。

——気持ちが途切れずにいられたのはどうしてだったのでしょうか。

NAOTO:その時だからこそやれること……たとえば実験的な曲作りなんかは「このタイミングでやるしかない」とか、状況を逆手にとって「今しかできないこと、やりたかったことをやろう」っていう気持ちがあったからかな。世に出す出さないは関係なく、とにかくやりたいことは全部やっていましたね。

ORANGE RANGEは「音楽を純粋に楽しめる場」

ORANGE RANGE(撮影=堀内彩香)

——間もなく結成25年。これだけ長く一緒にいるORANGE RANGEというバンドは、お二人にとってどんな存在ですか?

HIROKI:もう人生の中でORANGE RANGEでいる時間の方が、そうではなかった時間よりも長いからね。不思議だよね。

NAOTO:うーん、ORANGE RANGEって何だろうね。

HIROKI:ORANGE RANGEのHIROKIとしている時間は、そうではないシンプルなHIROKIでいる時間を逆転しているけれども、バンドを組む前からNAOTOとの関係性は一緒で、変わらないから。だからあまり住み分けがないんですよね。仕事仲間っていう感覚もないし、かといってただの友だちでもなければ家族でもなくて。

——「何して遊ぼうか」という言葉が頻繁に出る感じからも、子供の頃から一緒に遊んでいることの延長線上にある感じは受け取れますね。

HIROKI:それはあるかもしれない。

NAOTO:うん、遊び感覚はあるかも。曲を作る作業も茶目っ気や遊び心があるし。たとえば、たまにほかのアーティストと制作する時は自分の洒落や不真面目な部分が出しにくいし、それを出したら怒られるんじゃないかって思うことはあるけど、そういう素の部分も気を遣うことなくここでは出せちゃうんですよね。自分のクセも思う存分発揮できる。だから、音楽を純粋に楽しめる場なんだなって感じますね。

——そんなORANGE RANGEがこの24年活動をしてきて、変わったところと変わらないところを教えてください。

HIROKI:楽屋でのトークテーマは変わったかな。「身体が痛い」とか。

NAOTO:「この薬は効くよ」とか。

HIROKI:「ストレッチはちゃんとしたほうがいいよね」とか、健康に関する話は増えた(笑)。

NAOTO:人間ドックの結果とかね(笑)。

HIROKI:うん、そこは変わったところですね。

ORANGE RANGE(撮影=堀内彩香)

——変わらないものは?

HIROKI:学生ノリがあるところかな。音楽がどうこうというよりも、一人の同級生、友だちとしての会話ですね。「あの時のあいつのこと、覚えてる?」って話をいまだに楽屋でしてます。時が止まってますね、ずっと。

NAOTO:だから、たまに同級生と飲んでいると、俺たちしか覚えてないことが多くて。普通の人たちってそういう話をしなくなるのに、俺たちはずっと話し続けてるから覚えてる……(笑)。

HIROKI:それを地元でみんなで集まった時に話しても「そんなことあったっけ?」って言われるよね(笑)。

NAOTO:よく飽きずにしゃべってるなとも思うけどね。だってもうネタは増えないんですよ。思い出だから。ネタは尽きるんです。でも何回も繰り返ししゃべっちゃうんですよね。

HIROKI:あとはレアな友だちの名前とかを「お前、あいつのこと覚えてる?」「え?」「いたいた!」みたいなことばっかり(笑)。

NAOTO:「もっとレアなやつ、思い出したい!」ってなる。だって、このインタビューをする前もそんな話をしてましたからね。ヤーマー(YAMATO)がいきなり「音楽の、宝塚みたいな先生知ってる?」って言い出して。確かにその先生はレアキャラだった。

HIROKI:小学校3年生くらいの時の先生だったね。幼なじみだから、共通の話題が多いんです。

NAOTO:しかもそれが毎回面白いしね。そういうものがあるからORANGE RANGEの音楽は変に真面目にならず、変わらず面白みがあるのかもしれない。

——ORANGE RANGEとして、今後も変わらずに在りたいものを教えてください。

NAOTO:“音楽性を固めないこと”ですね。それがかっこいいバンドもいますが、俺らはそこではなく、いろんな方向にのらりくらりいくことが合っているし、そのほうが面白い。たまに「凝り固まってきてるんじゃないか」と思う時があるんです。年や体力の衰えとともに。そこは抗っていきたいですね。

YAMATO(撮影=堀内彩香)
HIROKI(撮影=堀内彩香)
RYO(撮影=堀内彩香)
YOH(撮影=堀内彩香)
NAOTO(撮影=堀内彩香)
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——そして絶え間なくライブをされる皆さんでもあります。ライブの際に意識しているのはどんなことですか?

HIROKI:ライブは制作と切り分けています。制作には自分たちのエゴを詰め込みたいけれど、ライブに関しては求められるもの、ニーズに寄り添う。みんなが「楽しかった」と言ってくれるような作りを目指しています。

NAOTO:自分的にはライブはいい意味で“無責任”にやることですね。ライブは好きですし、自分以外のみんなが真剣に作ってくれるものに乗っからせてもらって、精一杯それを楽しむ。あまり考えてやらない、ということをいつも意識しています。

——最後に「マジで世界変えちゃう5秒前」についてレコメンドしてください。

HIROKI:アニメ同様に、“表と裏”のどっちも詰まっています。裏だと思っていたものが表に、表だと信じていたものが裏になってしまう仕掛けも含めて、楽しんでもらえたら嬉しいです。ORANGE RANGEって掴めないよね、と思われるような存在でいつまでもいたいと思っているので、新しい世代の人たちにも聴いてもらいたいですね。

『マジで世界変えちゃう5秒前』
『マジで世界変えちゃう5秒前』

■リリース情報
『マジで世界変えちゃう5秒前』
配信日:2025年4月23日(水)
発売日:2025年5月21日(水)

サブスク&ダウンロード:https://ORANGERANGE.lnk.to/msk5m
購入:https://ORANGERANGE.lnk.to/Majide_sekai_kaecyau5_byoumae

【完全生産限定盤(CD+BD)】
品番:SRCL-13333~13334
価格:¥6,600(税込)

<収録曲>
Disc1:CD
01.マジで世界変えちゃう5秒前
02.マジで世界変えちゃう5秒前 -TV size-
03.マジで世界変えちゃう5秒前 -Instrumental-

Disc2:Blu-ray
01. TVアニメ『戦隊大失格』ノンクレジットOPムービー
02. ORANGE RANGE LIVE TOUR 024-025 〜タコス DE ピタゴラス〜 @NHKホール

■関連リンク
ORANGE RANGEオフィシャルHP:https://orangerange.com/

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