IVE、BABYMONSTERらTikTok投稿急増中の「スーパースター」 “職業・アイドル” 三宅健、セルフプロデュースの手腕

TikTokで話題の「スーパースター」に注目

  最近、K-POPアイドルのTikTok投稿を中心にバズを引き起こしている楽曲があることをご存じだろうか。三宅健が2024年10月にリリースした「スーパースター」である。リリース後の昨年11月、BilllieのTSUKIとSHEONがこの楽曲の音源で踊ったのを発端に、今年のバレンタインデーにはグループ公式TikTokのフォロワー数981.2万人という多大な影響力をもつIVEのWONYOUNGが、4月にはTikTokフォロワー930万超えを誇るBABYMONSTERのASAとRAMIが「スーパースター」を踊る動画を投稿。人気グループのメンバーが立て続けにこの楽曲をフィーチャーしたことでトレンドが広がっていき、この音源を用いた投稿(UGC)の数は1万件を突破した。

@ive.official 𝑺𝒖𝒑𝒆𝒓𝒔𝒕𝒂𝒓 𝑲𝒂𝒘𝒂𝒊𝒌𝒂𝒓𝒂 ♥️ #IVE #아이브 #アイヴ #JANGWONYOUNG #장원영 #ジャンウォニョン #ウォニョン #IVE_EMPATHY #ATTITUDE #IVE_ATTITUDE #REBELHEART #IVE_REBELHEART ♬ スーパースター - A ver. - KEN MIYAKE

@billlie.official Super🐰🐱🔥 #TSUKI #츠키 #SHEON #션 #Billlie #빌리 ♬ スーパースター - エフェクトver. - KEN MIYAKE

@babymonster_yg_tiktok Superstar ✮ ⋆ ˚。𖦹 ⋆。°✩ #BABYMONSTER #베이비몬스터 #ASA #아사 #RAMI #라미 ♬ スーパースター - A ver. - KEN MIYAKE

 筆者がこの曲を知ったのは最近のことだが、前述のアーティストたちによる動画やそのほかの投稿を見ていると、この曲がヒットの波に乗った理由が理解できた。

 まず、TikTokで用いられている音源「スーパースター – A ver.」は、楽曲の構成としてはイントロの部分にあたる。このパートでは曲が始まった瞬間に、ウィスパーボイスで〈光るスーパースター かわいい好き 愛 ! 美 !〉と語りかけるような声が聞こえてくる。TikTokでは三宅の公式TikTokアカウントから発信されている「#スパスタチャレンジ」を参考に、口元に手を当てて内緒話をするようにリップシンクする人が多く見られ、このボーカルを活かした「真似しやすさ」「キャッチーさ」も投稿数が増えた要因の一つなのではないかと考えられる。ダンスが世界の共通言語であるように、身振り手振りのジェスチャーをメインにした楽曲の視覚的拡散は、母国語が異なっても簡単にチャレンジできる「挑戦しやすさ」の観点から、UGCの増加を自ずと後押ししたのではないか。

@miyakeken_idol 上へまいります💁‍♀️ #スッパスター⭐️✨✨✨ #スパスタチャレンジ🕺💫 #三宅健 ♬ スーパースター - A ver. - KEN MIYAKE

@miyakeken_idol @CUTIE STREET の皆さんとスッパスター⭐️✨✨✨ #スッパスター⭐️✨✨✨ #スパスタチャレンジ🕺💫 #三来軒🍜 #三宅健 ♬ スーパースター - A ver. - KEN MIYAKE

 次に、歌詞に注目してみよう。曲中には〈スーパースター〉〈かわいい〉〈かっこいい〉〈好き〉と繰り返すフレーズが幾度となく登場する。世界共通言語として認識できる 「super star」は言わずもがな、「かわいい」「かっこいい」といった日本語はおそらく海外の人にとってもある程度馴染みのある日本語だろう。きゃりーぱみゅぱみゅなどによって原宿カルチャーが大成した頃から、日本の“kawaii”はアニメや漫画と同様、世界的に認知されている日本文化であり、最も聴き馴染みのある響きを持った日本語の一つだからだ。

 さらに、音源に使用されているパートではないが、イントロから続くVerse1では〈むり すき やばすぎ 沼る 推し〉など、推し活を彷彿とさせるポジティブな歌詞が並んでいる。アイドルやアーティストといった自分の推しがこの曲で踊っている姿を見て、まさに歌詞通りな気持ちになるファンも少なくないはずだ。前述の動画にも「スーパースターだよウォニョンちゃん」というコメントが書かれていたが、肯定するようなワードがテンポよく並ぶ歌詞のチョイスが、推しのことなら語彙力をなくしてなんでも肯定したくなってしまう推し活ならではの“沼”の特徴と非常によくマッチするように感じられる。こうした歌詞の特徴も直近でTikTokでのバズを生んだAiScReam「愛♡スクリ~ム!」やM!LK「イイじゃん」などの楽曲とも共通している点であり、「スーパースター」が注目を集めているのもどうやら偶然ではないと推測できるのではないだろうか。

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