クレナズム、アルバム『a beautiful days』に収めたかけがえのない日常 表現の広がりやアジアへの意識も語る

クレナズムが描く“日常”

衝動、葛藤、後悔……感情とサウンドが密接に結びついた楽曲たち

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)

――なるほど、腑に落ちました。アルバムに話を戻すと、最新シングルは「あのモーニングセット」ですね。しゅうたさんの作詞作曲ですが、どんなイメージで?

しゅうた:ちょっと恥ずかしい話にもなるんですけど、裏テーマは「ストーカー」なんです(笑)。1行目の〈また出会えたね〉って歌詞は一言話したぐらいの相手に恋をしちゃったということを書いていて、遠くから見てるだけでも幸せだけど本当はちょっと近づきたいみたいな、ちょっと気持ち悪い曲にしたくて(笑)。

――萌映さんは歌っていていかがですか?

萌映:曲自体すごく短くて、一瞬の感じがすごく表現されてると思います。ライブで歌っていると酸欠状態みたいになるんですけど、こういう言葉を詰め込んだ曲ならではの疾走感はめちゃくちゃライブ映えするなと思っていて。お客さんの反応もいい感じなので、これはライブでもっともっと育てていける曲だなと思います。

クレナズム『あのモーニングセット』culenasm『Breakfast special』Lyric Video

――「リベリオン」は映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』主題歌というお題があった曲ですが、出会ったばかりなのにもう別れの気配がある歌詞が面白いです。

しゅうた:すごく感情が忙しい人ですね(笑)。映画の主人公が高校生というお題があったので、大人に対してのムカつきとか嫌なところを詰め込んだ歌詞になりました。もちろん大人に対してだけじゃなく自分の日々葛藤していることについても書いていて。これもすごく短い曲で、短くした理由はさっきの「あのモーニングセット」同様、感情と結びついていて、この年代にしかない一瞬の輝きというか、一瞬の青春感を短い曲に詰め込みたくて。感情と曲の長さってすごく結びついてるんだなって最近はすごく感じるようになりました。

クレナズム『リベリオン』culenasm 『Rebellion』(Official Music Video)映画「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」主題歌

――しゅうたさんが気に入っている歌詞の部分でいうと?

しゅうた:〈明日をのろった代償〉ら辺は韻も意識したし、僕も十代の時は日々呪いながら生活していた時期もあったので(笑)、結構私情が入っている感じはありますね。

萌映:映画の脚本にもリンクしているし、自分の気持ちにも組み合わさって、歌っていてすごくスカッとする。

しゅうた:レール通りの生活をしてたらたぶんバンドマンになってないしね。

萌映:(笑)。

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)
まこと

――そしてまことさん、萌映さん作詞、まことさん作曲の「センチメンタル」。個人的にはクレナズムの曲ってこういうイメージなんですよ。

まこと:ああ、そうですね。サウンド面では昔を思い出しながら作った曲です。こういうちょっと轟音系のサウンドを使っている時は暗い気持ちを乗せやすいというか。そんな感じをイメージしながら作りましたね。

――自分に自信がないのかあるのか? みたいな状況が見えます。

まこと:テーマ的には「後悔した人」。自分のことなんですけど、めちゃめちゃ後悔の多い人生を歩んできてるので(笑)。

――50年ぐらい生きてる人みたいですが(笑)。

一同:(笑)。

まこと:なんていうんですかね……友達と縁を切っちゃったことがあるんです。それをめちゃくちゃ後悔して後悔して、後悔しても仕方ないので曲にしてしまおうと思って。曲にして考えないようにしようと思って作りました。本当にどうしようもなく自分勝手な歌詞だなと思います(苦笑)。

――クレナズムのイメージが強い曲なので萌映さんも自然に歌っているように聴こえるんですが、実際は?

萌映:クレナズムでは、楽曲を作った人がディレクションも担当するんです。なのでこの曲もまことに「もっとこうしてみて、ああしてみて」っていろいろアドバイスをもらって、ようやく出せた感じがします。

culenasm『センチメンタル』(Official Music Video)

――感情を乗せる時に何がいちばん難しかったですか?

萌映:歌い出し始まりの曲だから、ここはもう聴いている人にグッと入ってきてもらいたくて。そこをどういうテンションで行くべきなのか、どういう発声の仕方が耳に入りやすいのか。そういうところはいろいろ考えた上で何テイクか録ったよね。

まこと:感情違いで録ったりとか。いちばん録ったのは〈あの時の選択 間違えてしまったな〉のところなんですけど、すごく後悔してる感じ、嘆いてるに近い感じで最終的に録ったと思います。

萌映:ただ綺麗に歌うだけじゃ届かない言葉だなと思ってたので、内側から出る悲劇、負の感情を出すのに苦戦した気がする。

ツアーに海外が入っているのが当たり前、そういう距離感でいきたい

culenasm - Blur(ใจลอย)[original song by QLER]
culenasm×QLER『Goodbye Goodnight 』(Official Music Video)
クレナズム I Mean Us 『木村 楓』culenasm I Mean Us『Kaede kimura』(Official Music Video)

――終盤にはQLERさんの「Blur」のカバー、コラボ曲「Goodbye Goodnight」、I Mean Usとのコラボ曲「木村 楓」が収録されています。

しゅうた:僕が提案して実現したコラボなので、3曲ともやらせていただいてすごく嬉しかったんですけど、みんなには「大丈夫だった?」という気持ちもあって。

萌映:初めてやることだったしね。

しゅうた:でも、「Blur」も単なるカバーじゃなくて日本語の歌詞にしたし、クレナズム色がけっこう出せたのかなと。全体的に新しいことをやったなっていうのはすごく覚えてますね。

まこと:最初聴いた時はタイ語なので全然意味が分からなかったんですけど、すごくいい曲で。いい曲を日本語にして日本の人にもわかるように出したいという気持ちはあったので、それをQLERに確認したらOKしてくれたので、僕らもできるだけQLERのいいところをなくさないように心がけました。

けんじろう:「Blur」でやったことの続きというか。アジアのいい曲をもっとみんなに知ってほしくて、いま週1ぐらいでいろんな国のいい曲を日本語に訳したワンコーラスをSNSにアップするというのもやっています。

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)
しゅうた

――最近はどんなアーティストの曲を?

しゅうた:インドネシアの音楽は聴いたことなかったんですけど、Spotifyとかで探して、「めっちゃいい曲だな」と思ったミゼリアというアーティストをカバーしましたね。

萌映:インドネシアの方からもコメントが付いて、「あ、届くんだ、嬉しいな」と。

――ところでアルバムタイトルの“a”には意図があるのかなと。daysにかかっているんですよね?

しゅうた:最初に「変な言い回しだな」って引っかかってほしいというところもあります。意味としては、いくつもの日々、その一つひとつがかけがえのない日々だととらえてほしくて“a”をつけました。やるせない日やうまくいかない日がそれでも綺麗だなって思うことが絶対人生の中にはあったと思うので、いくつもの日々、その日々の曲の集合体を強調する意味で“days”というふうになってます。

――最後にアルバムのリリース後の今年後半の目標を教えてください。

萌映:まず、海外公演はもっと増やしていけたらなと思います。

しゅうた:ツアーに海外が入っているのが当たり前みたいな、そういう距離感でいきたいなと思っていますね。

まこと:今後作る楽曲も、ジャンルに縛られずに自由にやって、自分たちの色をつけた楽曲をいっぱい作っていきたいなと思います。

しゅうた:個人的にはすっごいシューゲイザーの曲を作りたいですね。タイアップが多かったのでなかなかシューゲイズの曲は作りにくいところもあったんですけど、そういうの関係なしに10分ぐらい超える曲を作りたい。

けんじろう:僕は夏のツアーをとりあえず成功させるように頑張って、冬につながるように、というのが一番最初にあるんですけど、もう一つ言うと、今回は僕のクレジットの曲がなかったので、次はリリースできるように頑張ろうと思っています。

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)

クレナズム インタビュー写真(撮影=Yasuda madoka)

■リリース情報
2ndフルアルバム『a beautiful days』
5月21日(水)発売
配信リンクファイヤ:https://orcd.co/culenasm_a-beautiful-days

<収録曲>
1. ホーム
2. 教えてください、神様。
3. あのモーニングセット
4. リベリオン
5. センチメンタル
6. Blur
7. 木村楓
8. Goodbye Goodnight

『夏のバリよかワンマンツアー2025 〜夏空に夢を追いかけて〜』
6月7日(土)福岡LIVE HOUSE OP’s
6月14日(土)心斎橋Music Club JANUS
6月15日(日)名古屋 CLUB UPSET
7月6日(日)SHIBUYA CLUB QUATTRO
チケット:https://eplus.jp/culenasm/

■クレナズム公式サイト
https://www.culenasm.com/

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