=LOVE、≠ME、≒JOY……指原莉乃が描くそれぞれの“シンデレラ” グループのイメージを活かす作詞力
指原のコメントにもあるように、=LOVEとも対照的な楽曲となっており、〈ヒロインじゃない〉と歌う≠MEの「モブノデレラ」に対し、=LOVEの「お姫様にしてよ!」では〈全員ヒロイン =LOVE!〉〈戦うヒロイン =LOVE!〉を掲げている。1サビの歌詞〈お姫様にしてよ!〉〈ほら 白馬乗って 渋谷を駆け巡ろうよ〉〈毒林檎かじって/眠りにつこう〉〈ガラスの靴は片方だけ/階段に残してあげる〉といったある種の“図々しさ”は、先述の楽曲に表れる“イコラブ像”とも一致しているように思う。一方で、「ナツマトペ」における〈王子様は要らない/プリンセスだけでいようよ〉という視点や、グループを象徴する“ヒロイン”がタイトルに冠された「ヒロインズ」で歌われている〈主人公は みんな!〉が、一貫して=LOVEが伝えているメッセージのように思う。
≒JOYにも同列に並べられる楽曲として「初恋シンデレラ」があり、グループにとっては初のラブソングだった。=LOVEや≠MEと比べると、ピュアな初恋を歌った楽曲になっており、驚くことにこの楽曲にも〈ガラスの靴〉というワードが入っている。それが〈ガラスの靴 残しても/必ず探し出す/午前0時 過ぎたって/僕のプリンセスだ ずっと〉というフレーズで、“プリンス”側の視点から見たガラスの靴を描写しているのが特徴的だ。MVを観れば分かりやすいが、センターの江角怜音がプリンス、ほかのメンバーがプリンセスといった描かれ方がされている。=LOVEや≠MEでは、顔を写さないカメラワークで恋愛相手の男性を登場させているが、江角がその役を担うのは大胆かつ斬新な発想だった。
あらためてだが、「モブノデレラ」では〈キラキラ光る ガラスのシューズ/奪い去って走る 勇気があれば〉と歌われている。シンデレラになれない、主人公にもなれない女性の心情を歌いながら、聴く人にとっては主人公になることができる、そこには指原の巧みなプロデュース力と作詞家としての才能が光っている。


























