平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太が生み出すライブの世界観 雨、鏡、ダンサー……視覚的表現の構築美

Number_i、ライブの世界観と構築美

 昨年、全国7カ所で開催されたNumber_iの初のライブツアー『Number_i LIVE TOUR 2024 No.Ⅰ』。12月24日にライブ配信されたさいたまスーパーアリーナ公演の映像に編集を加えた『Number_i LIVE TOUR 2024 No.Ⅰ 特別編集版』が、Amazon Prime Videoにて配信されている。

『Number_i LIVE TOUR 2024 No.I』OFFICIAL本予告|プライムビデオ

 Number_iのライブパフォーマンスの魅力のひとつに、作り込まれたステージが挙げられるように思う。MVもそうなのだが、彼らは曲の世界観を視覚的に表現し、観る者を引き込むのが上手いのだ。

 本ツアーで言えば、特に印象的なのは“雨”の演出。天井から大量に水が降り注ぎ、雷鳴が聞こえて1曲目の「INZM」へと向かうオープニングは高揚感を誘うものだった。「INZM」はツアータイトルにも冠しているアルバム『No.Ⅰ』のリードトラックであり、“雨”の演出も公演中に随所に取り入れられている。ほかにも、雨が降る街で平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太がそれぞれ相手を待つ映像が流れ、その物語をステージ上で紡ぐようにして届けられた「Rain or Shine」、ダンサーが雨に打たれながら曲の切なさを表した「Blow Your Cover」、透明な箱の上から雨が降り注いだ神宮寺のソロ曲「Bye 24/7」と、“雨”はどれも曲の世界観を引き立てる役割を果たしていた。

 平野、神宮寺、岸も個々で高いダンススキルを持つが、3人にダンサーが加わり、より迫力の増したステージが繰り広げられるのも見どころだろう。大勢でライブの序盤を盛り上げた「GOAT」「FUJI」「SQUARE_ONE」や、一体となったパフォーマンスで情熱さを表現した「ICE」など、公演内では曲やシチュエーションに合わせてビジュアルにも変化をつけて楽しませてくれた。

 一方で、中盤の「No-Yes」「Midnight City」「Banana (Take It Lazy)」はトロッコで客席に向けて歌っていたり、ラストの「iLY」は撮影可能だったりと、ライブならではの双方向性を感じられる一幕も。

 メンバーごとの個性が発揮されたソロステージもあれば、コメディ要素のある映像を交えながら進行していくユニークな部分もあった。芸術的でありながらも、親しみを持てる余白はきちんと残す。『Number_i LIVE TOUR 2024 No.Ⅰ』は、今振り返っても彼らにしか生み出せないライブだったと思う。

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