つばきファクトリー、結成10周年で咲かせる花 ファンが八木栞に送る、フルネームのコールという餞

 映像を挟み、河西・八木・福田・豫風のリトキャメの4人でしっとり歌うのは「ふわり、恋時計」。冒頭のMCで秋山が紹介した通り同期でのパフォーマンスになる。石井泉羽・村田結生・土居ら"ひなーず"は「私がオバさんになっても」「気高く咲き誇れ!」「青春まんまんなか!」とインディーズ時代の楽曲を元気いっぱいに披露。そんな3人と入れ替わりで登場したのは、小野瑞歩・小野田紗栞・秋山の3人。人気楽曲「低温火傷」のパフォーマンスは、メンバーの脱退・卒業を経てもグループのカラーをパフォーマンス面で守り続けてきた3人の存在の大きさを改めて感じるものだった。最後に登場するのはもちろんつばきファクトリー最後のオリジナルメンバーで現リーダーの谷本安美。キュートに歌う「17才」からは谷本がグループに添えてきた華を感じる。「うるわしのカメリア」は期ごとにパートを分けての歌唱となり、加入期それぞれに名前を持つつばきファクトリーらしい期ごとの個性を感じられるものになっていた。「君と僕の絆」間奏では一人ひとり八木にメッセージを送る。最後にマイクを取る谷本は思わず涙ぐみ「ヤギシオリ……」と呟くしかできないという場面も。

 涙も束の間、メジャーデビュー曲「初恋サンライズ」では先ほどの涙を乾かすほどパワフルに披露。「三回目のデート神話」など、キラーチューンが続く中、リトキャメで歌い継ぐ「アドレナリン・ダメ」の〈私の人生 私が面倒見るんだ〉というフレーズではファンが八木への渾身の「ヤギシオリ」コールで応える。八木自ら「16分音符で刻んでほしい」と希望した5文字コールも最初は戸惑うファンも多かったが、ここに卒業のタイミングで完璧に揃えるのがファンから八木への餞だ。

 アンコールでは真っ白なドレスにメンバーカラーのオレンジのリボンをあしらった八木が登場。歌うのは「My Darling ~Do you love me?~」だ。同曲の作詞作曲を務め、つばきファクトリーを楽曲面で支えた中島卓偉は同曲のライナーノーツにて「(愛していると)言いたいけど言えずにいるというのがポイントです」と語っていたが、八木の言葉には出さずともファンへのまっすぐな愛情を感じられるものだった。

 手紙の中ではファンのリアクションが八木のアイドル生活を支えていたと感謝を話し、各メンバーへの感謝も話す。谷本の涙ながらの挨拶も挟み、「My Days for You」を歌い、温かい雰囲気で八木を、そして11年目へと歩み出すつばきファクトリーを送り出した。

 卒業発表の際に八木はミュージカル女優の夢を目指すというコメントを残している。八木が愛しているミュージカルの道を進む中で、八木がつばきファクトリーとして過ごした日々は心強いものになるはずだ。八木のこれからが明るいものであり、その道を照らすのは八木自身の輝きはもちろん、つばきファクトリーのメンバーやファンの存在であると確信できる。そして、そんな八木を見送ったつばきファクトリーもさらに美しく咲き続けるはずだ。

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