連載『lit!』第69回:つばきファクトリー、#ババババンビ、タイトル未定、始発待ちアンダーグラウンド…“アイドルの秋”楽しむ新作
この季節になると一度は耳にする「〇〇の秋」という話題。昔から疑問に思っていたのですが、どういうわけか音楽がフィーチャーされることが少ない気がします。日中も過ごしやすい秋は、ライブを楽しむのにも最適な季節です。充実の新作をチェックしつつ「アイドルの秋」を存分に楽しんでいきましょう!
つばきファクトリー『勇気 It's my Life!/妄想だけならフリーダム/でも…いいよ』
つばきファクトリー久々の新作はトリプルA面でのリリース。中でも注目したい「でも…いいよ」は禁断の恋を赤裸々に描いた衝撃作です。スムースなR&Bサウンドはハロプロでいうと太陽とシスコムーン「Everyday Everywhere」あたりを彷彿とさせ、ハロプロ屈指の高難度の楽曲として知られる同曲に勝るとも劣らない、高度な表現力の問われる楽曲に仕上がりました。ちなみにこの意味深なタイトルが何を表しているかはサビで明らかになるので、字幕をONにしてYouTubeで公開されているMVを見ることをオススメします。
今作は他にも卒業する山岸理子を明るく送り出す「勇気 It's my Life!」(同じく卒業発表済みの岸本ゆめのは制作時に療養中だったため今作には不参加)、スマホでの視聴を想定した縦型のMVが楽しい「妄想だけならフリーダム」を収録しており、バラエティに富んだ1枚です。
#ババババンビ「ゲイシャフジヤマ」
結成からおよそ3年半、快進撃を続ける#ババババンビがキングレコードからついにメジャーデビュー。デビュー曲「ゲイシャフジヤマ」はタイトル通り“和”のテイストを打ち出し、日本文化の楽しさを詰め込んだパーティーチューンです。
現代の日本文化の中には日本生まれのものもあれば、海外から伝わった後にガラパゴス的に独自の進化を遂げたものもあり、総じて言えば案外雑多です。そしてJ-POPやアイドルソングもまた、世界中の音楽を呑み込んで進化してきた歴史があります。「ゲイシャフジヤマ」はスウィンギンなビートを基調にトラップやラップの要素を取り入れたかと思えば、突然「さくらさくら」風のフレーズが飛び出すなど、ごった煮というか面白ければ何でも取り入れる、まさに日本でしか生まれ得ない音楽です。「馬鹿騒ぎ日本一」を掲げたグループコンセプトにもよく合っており、キングレコードの先輩・ももいろクローバーZに通ずるものを感じます(そう言えばももクロも“和”をテーマにしていた時期がありました)。来年に控えた初の日本武道館公演に向け、今チェックしておきたいグループです。